第13話 スライムの襲撃

俺は父の体を置き、目の前の魔物に向き直った。


魔物は変わらず無表情で佇んでいる。


「うおおおおおおお!」


俺はありったけの魔力を使い、氷の玉を作り出した。


しかし、魔物は俺に目を向けることなく、ぴょんぴょん飛んで、村の方へ入っていってしまった。


「待て!」


すると、魔物は村にいる人間を次々に襲い始めた。


「いてぇ!」


「きゃああああ!」


魔物は、村人に切り傷を与えたり、酸を飛ばしたりしている。家屋も酸で溶かされていってしまう。


「やめろ!!」


叫び声を上げるも、虚しく、声は届かない。


気づいたら、自分の家まで来ていた。


「そこだけは...」


魔物は、自分の体で作り出した刃で扉を切り刻み、家の中で怯える母とセレナがあらわになった。


「今度こそくらえ!」


母とセレナの前に回り込んだ俺は、今度こそ氷の魔法を魔物に打った。


しかし、やはり効かない。


すると、魔物は体の一部をハンマーの形に変え、横向きに俺の体を殴った。右脇腹をものすごい勢いでなく破られた俺は、息ができず、左に吹き飛ばされた。木でできた家の壁に突っ込んだ。


「ガハッ!」


「ニブル!」


母の声が聞こえた。

あまりの衝撃に意識が朦朧とし、立ち上がることができない。


「やめ...ろ...」


かろうじて声を出すのも束の間、母が切られるのが見えた。血しぶきが上がった。


「母さん...!!」


俺は力を振り絞り、もう一度氷魔法を放った。

すると、先ほどの反応とは違い、バリがなく、攻撃が当たった。

少し魔物がよろめいた。


しかし、そこで俺は力尽き、意識を失った。

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