第11話 魔物

平和な日常は突然終わりを告げた。

いつもと同じ1日を過ごしていたある日。村の人が尋常ならない様相で走り込んできた。


「みんな逃げろ! 魔物だ!」


「魔物? こんなところにかい?」


村人のおばちゃんが返答した。

今住んでいるのは、都市部から大きく離れたはずれの辺境の村。ここ数十年と魔物1匹出てこない平和そのものだ。だから魔法が使えない人でも暮らしていける。そんな村に魔物がやってきたというのだ。


「なに!? どんな魔物だ?」


村一番の力持ちである父が、魔物を見つけてきた村人に聞いた。


「今まで見たことないやつだ。まんまるの形をしてる! 俺も昔冒険者を10年やってたが、あんな魔物見たことがない!」


「まんまる? 新種の魔物か!?」


村人も父も心当たりがないらしく、謎の魔物らしい。


「何匹いる?」


「1匹だ」


「たった1匹? わかった、すぐ向かう!」


と言うと、父は玄関に立てかけてあった桑を手に取り、村の外へ向かった。


「父さん! 俺もいく!」


この村で唯一魔法が使える自分が行けば、戦力になれるはずだと申し出る。


「わかった。でも無理はするなよ。俺の後ろに立っていてくれ」


「わかった!」


2人で魔物が出た村の入り口に向かった。


村の入り口に向かうと、早くに駆けつけた他の村人たちが魔物と応戦していた。


が、みんな傷を負っていて、切り傷などを受け、血だらけになっていた。


「おい! みんな大丈夫か?」


「くっ......おお、あんたか......」


気絶しそうな村人が掠れ声で答える。


「魔物はどこにいる?」


父の質問に、苦しそうに震える手を伸ばし、村人は魔物のいる方向を指差した。

そちらに視線を向けると、俺は衝撃を受けた。


青みがかった水色の丸い楕円形の形をした物体がそこにあった。


「スライム...?」

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