第9話 フェアリーフェスティバル②
李とリイリー、メイリーは『ジャックと豆の木』が終わると舞台袖に下がった。大急ぎで、お揃いのハート柄のTシャツを着る。
そして、また表舞台に戻ると、簡単なダンスを、曲に合わせて踊った。リイリーとメイリーは、練習通りにステップを踏めている。集まった生徒達と父母の歓声が聞こえた。
ダンス曲は成功して、また舞台袖へと下がる。次はユニット曲だ。
嵐藍と夕依と李は手を合わせた。
「行くわよ、李ちゃんは緊張せずにリラックスして」
「はい」
「えいえいおー!」
三人は、制服に着替えて舞台へ立った。リングには、嵐藍のフェアリー、夕依のフェアリー、そしてメイリーが立っている。リイリーは舞台裏で待機だ。
嵐藍のフェアリーが赤の衣装、夕依のフェアリーが黄色の衣装、メイリーが青の衣装を着ている。かぼちゃパンツのお尻にはそれぞれの色のボタンが付いている。
曲が鳴り出し、メイリーのお尻のボタンが光った。嵐藍のフェアリーがそれに合わせて走り出す。しばらくすると、夕依のフェアリーのボタンが光り、すぐに嵐藍のフェアリーのボタンが光った。走っていた嵐藍のフェアリーは急ブレーキで止まる。それぞれのボタンは、信号を模していたようだ。
またメイリーのボタンが輝きだす。今度はメイリーが走り出した。嵐藍のフェアリーの赤いボタンが点いてもメイリーは止まらず、嵐藍のフェアリーを蹴飛ばして走り続けた。またメイリーの青信号が点灯した。
生徒達の笑い声が聞こえる。初等部ユニットは、成功したようだ。
舞台袖に捌けると、3人は笑った。
「お疲れさま」
次は、中等部の発表だ。
新崎由梨乃が舞台に出てきた。由梨乃とフェアリーはチアガールの格好をしていた。曲が流れ出すと、フェアリーはポンポンを回して、くるくると回る。本当はこの曲は李がやる予定だったのだが、肩の荷が重かったため、由梨乃にお鉢が回ってきたのだ。ポンポンの次は、バトンを出して、くるくる回す。バトントワリング部に所属している李はこの曲をやりたかったのだが、バトンを回すのが難しいのだった。これを軽々とこなす由梨乃は凄い。
曲が終わり、舞台が暗くなり、再び明るくなるとフェアリーはレオタードに着替えていた。リボンを持っている。今度は曲に合わせて新体操をする。リボンを回し、鮮やかにリング中を駆け回る。また、リボンだけでなく、フープを持って、綺麗に開脚し、観客を魅了する。由梨乃自身は、体操部に所属しているため、フェアリーのチアリーディングや新体操といった動きが得意なようだった。
由梨乃が舞台裏へと下がると、今度は中等部2年の
2曲目は、キャンバスの前でフェアリーがダンスをした。途中で、蝶ネクタイをした大きなクマがリングに上がってきた。そのクマとフェアリーは社交ダンスを始める。カラフルな絵の前でターンをし、絵と音楽を見事に融合させた。
次は、フェアリーの創始者、
一転して次の曲は、ポップな曲調になった。
フェアリーはレインコートを脱いだ。ピンクのTシャツを着ている。フェアリーは、クラッカーを持って、パンパンパンッと鳴らした。会場中が盛り上がる。なずなは、あまりフェアリーの難解な技術は使っていないが、会場を盛り上げる勘どころを分かっているようだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます