第7章
久しぶりに身体を綺麗にして眠ったからか朝からとても身体が軽い。
日課の鍛錬をこなして軽く食事をした後、翼は意気揚々と出発する。
ボス ボスッ ボスッ
出発して20分ほど歩いていた時、 バリアに何かがぶつかる音が聞こえてきた。
え・・?何かがバリアにぶつかってるわ
よくよく見てみると、石をまとったスライムぽいやつが翼に向かって一生懸命石を飛ばしてきているのである。
うーん、鑑定!
ロックスライム:石を吸収しているので殻が固い。吸収した石を飛ばしてくる。魔石は普通のスライムと同じ価格。
ふむ、これは防御力が高くなったスライムだと思えば良いかしら。
となると薙刀で核を突くのは少し難しそうね・・。
バリアを超えてこないから無視することも可能だけれど、一応倒し方を学んでおくことも大事だろうし・・。
えーっと、どの攻撃方法でいこうかしら・・・
・・・・・・
・・・・・・
あっ!そうね、そこまで速さはないようだし、遠距離を飛ばしてくるようならこちらも遠距離で対抗しましょう!
そう思いつくと翼は芦を刈る為に強くしたウインドカッターをぶつけてみる。
やぁ!! シュッ!! ボフッ・・ぽよーん・・・
思った通り、そこまで素早さがないので体の中心に向けて綺麗に着弾したが草刈りしかしていない翼のウインドカッターではロックスライムが纏っている石を何個か飛ばしてそのまま2mくらい後退させるだけにとどまった。
くっ!!まだ威力が足りないのね・・でも攻撃が通っていないこともないしここは手数で勝負よ!!
こうして翼は納豆作成の為に鍛えた草刈り乱舞をロックスライムにお見舞いする!!
シュパパパパパパ!!!! ウインドカッターを飛ばす翼!
ドドドドドドドドド!!! 石を飛ばすスライム!
こちらからの攻撃にバリアの魔法は干渉しないように意識しているからか、ロックスライムだけが切り刻まれていく!
ふぅ・・10回連続で当ててやっと1匹倒せたわね・・ちょっと非効率だと思うけれど今はしかたない。
こうして、倒したロックスライムの魔石と念のためにと落ちていた石に鑑定をかけて水晶(小)がとれたのでそれも収納しておく。
うーん。ロックスライムが吸収したのかしら?それとも吸収されてから石が変化したのかしら??
良くわからないけれどお金にはなりそうなので積極的に狩っておきますかねっと!
それから翼はお昼ご飯までに20匹程のロックスライムを倒して魔石と5つ程の水晶をてにいれた。
お昼はすっぱいりんごとジャーキー。
ここら辺を見た限り水晶がたまたま落ちているってことは考えにくいから・・やっぱりロックスライムの中で何か変化が起きたと考えた方がいいのかもしれないわね
もしかしたら他の場所にいるロックスライムだと別のクォーツを落とすかもしれないから、ロックスライムは基本倒す方向で行きましょう!
水晶がそこまで高価になるとは思えないが、アイテムをドロップするとなれば狩も楽しくなってくる!
本当ならこのロックスライムを捕まえて鉱石を吸収させてみたくもあるが、アイテムボックスに生き物を入れることはかなわなかった。
こういう時は、テイムだとか仲間になりたそうにしている・・って出てくれたらありがたいんだけど・・そこら辺の情報は街に行って図書館で調べてみるかしらね。
翼はそう言って忘れないように地図にロックスライムの絵を書いておいた。
その日は結局20個程の水晶を手に入れることができた。途中で普通のスライムやらモスンも出てきたので向かってくる魔物だけを倒して歩いて行った。
夜、床についてステータス画面を開いてみる。
名前:エン・ツバサ
性別・種族:女・人間
レベル:19
生命力:4500(回復速度毎分500)
魔力 :1050000(回復速度毎秒1000)
知力 :680(社会人歴30超)(母親歴30年超)(グーグルンの恩恵)
精神力:11000(オバタリアン上)
力 :100
素早さ:120
幸運 :555
魔法熟練度:1200(禅)(魔力操作)(水魔法)(時空間操作)(土魔法)(風魔法)(電撃ラケット)
装備:地球の服(劣化防止復元有)(素早さ+30)(温度調節(微)
地球のアクセサリー指輪:シールド機能・火・水・土・風・雷・電磁波・放射能(50)
地球のアクセサリーネックレス:各種精神攻撃無効・各種毒攻撃無効
超強力電気ラケット
スキル:1(グーグルン先生)2(超強力電気ラケット)3(未入力)4(未入力)5(未入力)
薙刀 3
ボーナススキル:【アントニオの加護】異世界言語(インストール済み)・アイテムボックス(中)・鑑定(極上)・隠蔽(極上)
【日本の神の施し】幸運(食料)
やったわ!!やっと力と素早さが100を超えたわ!!
魔力はいつも通りさくさくとあがっているし神様の計らいもあるのだろうけど、今のところ旅も順調。
無理をする場所にいかなければなんとなる!!
若い身体が少しずつ成長していくことにとても感激しながらにやける翼。
時折バリアに何かがぶつかる音を聞き流して翼は今日も早めに就寝したのであった。
拠点から出発して5日目の朝
今日も日課の鍛錬をこなして元気に歩き出す翼。
日頃の鍛錬のおかげか前世の若い時よりも身体の動きが良い。
草の背丈が大分低くなってきたわね~。街の東側には森の裾が広がっているはず、と遠くを見ると薄っすらとそれらしき森が見えてきている
無理せずに歩いているからこの分だと後2日も歩けば街につくかしらね、とのんきな翼。
このまま南下していけばいずれは道をみつけることもできるだろう。
草が低くなっているせいか、でっかい牛に似た動物も遠くに見える
あれは、牛かしら・・美味しそうだし、鑑定したいけどあまり近づいて襲ってこられても困るしもし近くにいたら見てみることにしましょう。
口惜しいけれどもしバリアを突破されても上手く仕留められるかわからないのでちょっと残念ではあるがここは見送ることにした。
翼はそのままどんどんと歩いていく、草の背丈はどんどん低くなって薬草や野花も見つかるようになった。
<今日までに翼が見つけた薬草>
・ポインズ:毒消し草 解毒・殺菌作用有、ポーションの素材(黄色くタンポポに似た小さな花
・ヨモモギ:傷の殺菌、回復を促す薬の材料。お腹の調子が悪い時に煎じて飲むことも可(地球のヨモギに似た草
・アロロン:消炎作用有、火傷の薬になる(地球のアロエに似た多肉植物
・ドクダンミ:殺菌効果有、傷、火傷の薬になる。お茶の材料にもなる(地球のドクダミに似ている草
・ミントト:殺菌、抗炎症、解熱作用有。繁殖力が強く薬やお茶の材料になる(地球のミントに似ている草
地球と似た草花が多くて助かっている。
翼は大体どの薬草も100本を目安に集めて、アイテムボックスの中に入っていた薬草袋に10束ずつ渇いた芦でまとめてしまっておいた。
アイテムボックスに調剤セット(乳鉢・棒・瓶・壺)が入っていたので、街で落ち着いたら薬作成に挑戦してみても良いかしら
もしくは、回復系の魔法がどうしても習得できなかった場合、調剤に関するスキルを神様にお願いすることも考えても良いかもしれないと翼は思考する。
だって 今のところ傷を負うこともないけれど、やっぱり無傷で生き抜けるほど甘くはなさそうだし、何処かのタイミングでバリアを解いて魔物と対峙してみる必要がありそうね・・。
そんなことを考えていたからだろうか、バリアにどかっとぶつかる音がした
あれは!!!!鑑定!
ホーンラビット:角を持つウサギ、攻撃的であるが肉は食用になる。毛皮に需要はあるが角は冒険者ギルドで討伐の証にしかならない。
ほー。定番のウサギちゃんでてきたわね!そして冒険者ギルドもあるのね、一応、街に行ったら覗いてみよう。
翼は毛皮に需要があるとのことで、なるべく傷をつけないように薙刀を構えた。
バリアは身体の周りだけにしておきましょう。人ごみに入ってこれをずっと展開するわけにもいかないしなるべく身体に近い場所へ薄く張るようにと・・
ウサギは的が小さいので、できれば首かお腹へ一発で仕留めたい。翼はゆっくりと深呼吸をして気持ちを落ち着かせる
バリアに突進してきているウサギの動作を確認しながらウサギがジャンプしてきた瞬間を狙って薙刀を下から掬い上げる!
ヤッ! ドサッ・・
成功・・・良かった。翼は安心して気を緩めてしまった。
ドカッ!!!
気付いた時には足に別のホーンラビットが突進してきていた!
バリアのおかげて血はでていないが、不意のことでよろめく翼。もう一度突進されて転ばされてしまう!
ホーンラビットはにやりと笑ったように転げた翼めがけて突進してくる!!
あわや・・大惨事・・
となりそうだったが・・
いっいい加減にぃいいいいい しろやごらぁあああああ!!!
ブチ切れた翼・・バリアを気持ち強めに張り、突進がゆるまった隙に右手でホーンラビットの耳を捕まえると地面に叩きつけてそのまま膝を乗せる。
薙刀で倒すと決めていたくせにそのまま首をぐるっと回してホーンラビットを仕留める。
そう・・翼は昭和生まれで田舎育ちなのである・・野犬だっていたし、イノシシや猿に遭遇することだってある。
あれらには隙を見せてはいけない。基本は徹底的に無視して通りすぎる。例え威嚇されてもだ。舐められたらだめなのだ。
それに親戚のおじさんが猟犬を飼っていて、翼は小さい頃は猟犬を親に持つ柴犬と育ち、大人になってからもサイズが大きい貰い手のなかった保護犬を引き取ったりと気難しい犬に慣れている・・。
特に日本犬を飼うには自分がしっかりとリーダーにならなければいけないので猫かわいがりはしていない。
何故なら例え家族に懐いていても、他人に牙を向けてはいけないので、何かあった時は素早く取り押さえることくらい朝飯前なのだ。
ふぅ・・やっぱり一人で暮らしている時間が長いとカンが鈍っているのね・・
そういう問題ではないとつっこみがきそうだが、翼的にはそうらしい。
幸い、ホーンラビットなら何匹突っ込んできても大丈夫なくらいのバリアを突破できそうにないので、反省した翼はそれ以降向かってくるラビットは全て素手で仕留めることにした。
剣や魔法の異世界何処行った・・。いるのはアマゾネスのようなおばちゃん(見た目だけ若い)の素早い手さばきだけだった・・。
フンっ!うちのコロちゃんの方がよっぽど捕まえづらかったわよ!!
翼はそう言い切るとまた1匹ホーンラビットを捕まえていた・・。
お昼を過ぎて地球で15時くらいになった頃だろうか、ようやくラビットや他の魔物が近づいてこなくなったので、少し開けた場所に腰を下ろして翼は昼食にする。
幸運なことに、ラビットをアイテムボックスに入れると、毛皮と角と肉に解体されてアイテム欄に収納されるらしく解体に手間がかからないのでほくほくだ。
30匹分の肉が手に入ったわ~~(喜)ジャーキーも飽きてきたし本当にありがたいわ!!
魔道コンロに鍋をおいて、水を少しいれて蒸し焼きにする。塩コショウを少しかけて食べてみるととても美味しい!!
本当なら焼いた方が美味しいだろうけど、あまり匂いがしすぎるのもよくないだろうと今回はこれで我慢することにした。
この味だったらきっとホワイトシチューにすればもっと美味しいわね・・この世界で材料を用意するのは難しいだろうけれど、機会があったら試してみようと思った翼であった。
こうしてこの日はラビットをもう20匹ほど狩りつつ、ついに遠目に街の外壁が見えるくらいの位置まで到達することができた。
明日はついに街につくわね!
人に会うのは久しぶりになるので、なるべく清潔になるように念入りに身を綺麗にしてから床に就く。
ちゃんと無事に入場できるかしら・・。変に絡まれないようにだけ気を付けないとね・・
期待と少しの不安で珍しく直ぐには寝れなかったが、考えてもしょうがないと直ぐにあきらめて夢の中へ入る翼であった。
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