第26話「散歩」
寒さが少しずつ和らいできたような気がする今日この頃。
俺は家の近所を歩くことにした。散歩ってやつか。歩くのは大事だとテレビでも言われている。普段は車移動が多いため、こうして休日はのんびりと歩くことにしている。
とりあえず家の近所をぶらついてみる。家の近所とはいえ、車ではなかなか通らないような細い道もあったりして、ちょっと新鮮な気持ちだ。
(あ、ここの家、建ったんだな。それにしても大きな家だな、二世帯住宅だろうか。表札も二つあるし)
最近できたと思われる大きな家を通り過ぎる。この道は車もそんなに通ることがなく、歩くのにはちょうどいい……と思っていたら、後ろから一台の車が通り過ぎて行った。まぁ通れる道だしたまには車くらい通るだろう。
……しかしその車、俺の横を通った後、少し先の方で停まった。この近くに住んでいる人かな、駐車するのも大変そうだなと思っていたら、助手席から一人の女性が降りてきた。その女性はこちらの方へと歩いて来る。
「……すみません、
女性が俺に訊いてきた。なるほど、道に迷っていたのか。千光寺といえばこの先を左に曲がったところにあったな。
「あ、はい、このまま進んでもらって、左に曲がったところにあります。駐車場はたしか一本手前の道を右に入ったところにあったような」
「ああ、ありがとうございます! 行ってみます」
女性はペコリとお辞儀をして、車へ戻って行った。ゆっくりと車が動き出す。車は俺が言ったとおりにこの先を左に曲がって行った。
ちょっといいことをしたみたいで、気分がよくなった。今日はもうちょっと遠くまで歩いてみることにするか。
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