第25話「フォロー」

 ある女性は、今日も仕事でミスをした。

 上司に注意をされる。ああ、またやってしまったと後悔と悔しさと情けなさが女性の中にもやもやと残る。

 自分の席に着き、ふとパソコンの画面を見ると、メッセンジャーが送られてきていた。同僚の男性からのようだ。とりあえずポチっと開いてみる。


『気にすることないよ。誰にでもミスはある。今日飲みに行かない? 美味しいお店見つけたので』


 男性は優しかった。いやこの人はみんなに対して優しい気がするが、今はその優しさが嬉しかった。

 女性はポチポチと返信を打った。


『ありがとう、私がドジだからいけないんだ。今日空いてるよ。飲みに連れて行ってくれる?』


 女性はまだこの会社に入って三ヶ月。慣れてきたことと、まだまだ慣れないことがある。それはみんなそうなのだろう。しかし女性はけっこう気にするタイプで、落ち込みやすい人でもあった。

 男性はそのことも理解しているのかもしれない。


『オッケー、任せといて。こういう時は気分を変えないとね。愚痴でもなんでも聞くから』


 恋心……かどうかは分からないが、男性の優しさが嬉しいと思っていた女性だった。単純なものである。

 その日は夜遅くまで、女性は男性と愚痴やとりとめのない話で盛り上がった。その時間がとても嬉しかった女性だった。

 

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