第23話「スーパー」

 十月になり、秋らしくなってきた。

 先月まではエアコンがないと暑くて仕方なかったが、今日は最高気温も二十五度。日差しはあるが気持ちがいいと感じるようになってきた。

 今日はお母さんとスーパーに買い物に来ている。車で行くことが多いのだが、たまには歩いて行こうかという話になり、歩いてスーパーまで来た。歩くのも大事だろうと思っている。


「あらー、野菜が高いわねぇ、こんなものだったかしら」


 野菜コーナーでお母さんがそんなことを言った。物価高騰で何でも値上げとなってしまう世の中だが、それだけじゃないことを私は知っていた。


「なんか、夏が暑過ぎてもよくないらしいよ、野菜の生育に影響があるとかで」

「あら、七海ななみ、よく知ってるわねー、だんだん賢くなってきてるのかしら」

「い、いや、ニュースでそんなことを言っていたのを聞いたんだよ」

「なるほどねー、でも野菜も食べないとよくないからねぇ、少し買うことにしようかしら」


 そう言ってお母さんがトマトやナスなどの野菜を買い物かごに入れていた。


「七海、何か食べたいものある?」

「うーん、豚の生姜焼きが食べたいかなぁ」

「ああ、七海好きだもんねぇ、そしたらお肉を見てみましょうか」


 何でも高くなるのは困ってしまうが、食べたいものを我慢するのも厳しい。みんなそんなものだよなと私は思っていた。

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