第9話「人間観察」
僕は、人間観察を趣味としている。
決して覗きではない。道行く人を眺めては、あの人にはこんな人生があるのではないかと、想像するのが楽しいのだ。
(おっ、今日もたくさんの人がいるぞ……あのサラリーマン風の男性はきっと使えない部下がいて、今日も怒ったんだろうな……あの親子は最近子どもがプリキュアのおもちゃ買ってとうるさくて、根負けして買ったんだろうな……あ、あのタバコ吸ってる男性は、タバコと共に彼女にフラれたことを吐き出しているんだろうな……)
よし、今日も順調だ。やはり人間観察は楽しい、想像がどんどん膨らむ。いいことだろうと勝手に思っている。
(あ、今度は高校生くらいのカップルがいるな、学校帰りかな……って、女の方は明るい茶髪のすげーギャルじゃないか。でも男の方はメガネをかけていて、見た感じその辺にいるオタクって感じだな。なんだろう、アンバランスなところがいいな……)
僕は、なんとなく気になってその高校生カップルを目で追った。
(でもなんかかなり仲が良さそうなんだよな、女の方が男にくっつきまくってる感じか。男の方はビビってるという……わかったぞ、尻に敷かれるってこのことだな。あの男も可哀想だな。これから女はギャルからおばさんになって、もっとキツくなるぞ)
ちょっと男の方に同情してしまった。人間観察には情がうつる側面もあるのだ。
(でも……楽しそうだな。ちくしょう、僕も彼女がほしいよぉ)
カップルを見ていると、結局はこうなってしまう。うう、もうカップルを見るのはやめた方がいいのだろうか……?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます