いいわけレポート
春雷
第1話
論文構成
1、はじめに
2、友人からの飲みの誘い
3、面白過ぎるどうぶつの森
4、怠惰
5、まとめ
1、はじめに
今回は蒙古襲来に関するレポートを書け、との課題が提示されたが、様々な要因により、レポートを書くことができなかった。主な要因は3つある。友人からの飲みの誘い、面白過ぎるどうぶつの森、怠惰。この3つである。以下、その要因について詳しく述べることにする。
2、友人からの飲みの誘い
友情というものは得難い。そして美しいものである。友情を汚す行為は人として許されない行為のひとつでもある。「友情とは素晴らしいものであり、非常に素晴らしいものである」(藻子、2004)という言葉に表れているように、友情とは素晴らしいものであるということに、疑いの余地はない。絶対に友情は素晴らしいものである。
それ故に、たとえば友人から頼みごとをされた場合、それを断ることは友情を汚す行為であり、人としてどうかしていると言わざるを得ない。私は人ととしてどうかしている人間ではないので、友人からの頼みごとは基本的に聞くようにしている。今回のケースも、この私の基本姿勢によって説明することができる。すなわち、友人からの飲みの誘いは頼みごととほとんど同じであり、私にはそれを断ることは難しい、と、そう言えるのである。たとえその誘いがレポート締め切りの前日だとしても、断るのは困難だったと言わざるを得ないであろう。
3、面白過ぎるどうぶつの森
世の中には実に様々なゲームがあるわけだが、その中でもとりわけ面白いゲームと言えば、「どうぶつの森」である。
現在、様々な媒体でどうぶつの森を楽しむことができるが、私がプレイしているのは「とびだせ どうぶつの森」である。
「とびだせ どうぶつの森」とは、任天堂が発売しているカセットのことで、主に3DSでプレイすることができる。主人公=プレイヤーがどうぶつたちの暮らす村の村民となり、どうぶつたちと交流したり、村で事業を起こしたり、釣りや虫取りをするなど、実に様々な楽しみ方ができる。
様々な楽しみ方ができる、ということは非常に好ましいことではあるが、一方で、永遠にやり続けられるという危険性も孕んでいる。
たとえレポート提出の前々日だとしても、「どうぶつの森」の面白さに人が敵うはずもなく、かっぺいの訳のわからない歌を聴きながら、ボートで南の島に行って、カブトムシやらクワガタやらサメやらを捕獲してしまうのである。ジンベイザメを一本釣りする主人公の腕力と釣り糸の耐久性には感心すると同時に、いつやめればいいのか全くもってわからない、というループモードに突入してしまい、最終的には村中に穴を掘ってそれを埋めるという不可解な行動にまで発展してしまう。「どうぶつの森」はそれほどに面白いゲームであり、レポート執筆を阻害する大きな要因となった。
4、怠惰
確か七つの大罪の一つに数えられる人間の性質、怠惰。怠惰は厄介な性質である。レポートを書かなければならないと頭ではわかっていても、身体が動かない。ようやく身体が動いたかと思うと、掃除や片づけなどをしている。その最中に見つかった卒業アルバムを眺めては、ひとつひとつ思い出を嚙み締めている間に、日が暮れていることもしばしばである。要するにやりたくないことからの逃避であり、それは怠惰という人間が本来持っている性質に由来する。怠惰は、今回のレポート執筆を阻害する最大の要因となった。
一週間前からきちんと執筆計画を立てて、レポートを完成させる予定ではあったのだが、予定を立てただけで満足し、その後レポートを書くことはなかった。予備校に入っただけで大学に受かったようになる気分、それに近い感覚である。実際に執筆を行わなければ完成しないのに、もう完成した気でいる。それは改めるべき精神ではあるが、「人間なんだもの」(相田)、仕方がない。
5,まとめ
先に述べた要因の他に、頭痛、腹痛、腰痛、四十肩、吐き気、悪寒、便秘、下痢、老眼、乱視、近眼、遠視、鳥眼、魚の目、肌荒れ、そばかす、にきび、乾燥肌、胃痛、寝違い、二日酔い、しゃっくり、咳、欠伸、睡眠不足、などの要因があり、レポートを書くことは非常に困難な作業であった。
その気になれば質の高いレポートを書くことは可能ではあるが、これだけの障壁がある以上、レポートを書かない方が賢明と判断し、レポート執筆を断念した次第である。
むしろ人より多くの単位をあげる方が、この場合には適切であると思われる。
引用参考文献
藻子(1998)「友情即是友情也」毬藻社
相田ふたつを(2003)「人間なんだもの」喪二服社
いいわけレポート 春雷 @syunrai3333
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