第19話 刹那の風景5:メイキング対談:すれ違い2

――<ヒヨドリショウゴ すれ違い:挿絵4 171頁>

薄 : 馬ちゃんが、可愛いです。これは明らかに、加筆です。馬を出したのは、simeさんに馬の絵を描いてもらいたかったからです。


緑 : 挿絵の依頼するときに、依頼のために作成した文書ではなく、メールに「クッカの子馬のぬいぐるみを描いてくれると、嬉しいです。」って書かされました。


薄 : 最初に編集さんが、このクッカとトゥーリが手紙を読むっていうところを挿絵にどうですかと提案してきてくれたんですが、まあそれはいいんだけど、この場面に文章では馬は登場していなかったんですよ。だから、絶対、馬ねってことで、書いて貰いました。


緑 : 薄浅黄のその馬好きは、なんなん?

薄 : そしたら、予想以上に可愛らしい馬ちゃんが描かれていて、頼んでよかったなーって和みました。

薄 : いや、これ、久しぶりにクッカとトゥーリが描かれていたのにも関わらず、一番最初に目に行ったのは馬だったんですよ。


緑 : それ、薄浅黄だけだよ。それ、薄浅黄だけだよ。僕は、ちゃんと全体見てたよ。

薄 : まず、最初に馬に目にいって、次に、こうなんか机の上にあるあれは何っていうところから全体見て、最後に、クッカも可愛いし、トゥーリも美人さんだなってなりました。


緑 : ひどい。ひくわー。

薄 : まあ、なんていうか馬だよね。

緑 : まぁ、今回の挿絵、ぬいぐるみ多いね。うさぎにペンギンに馬だよ。

薄 : まあ、2巻のぬいぐるみが全部集合したと思えばいいんじゃないの。プラスでペンギン。で、ここで触れられていないトゥーリのもらった熊に対しては、あまりにもフォローがなかったんで、カクヨムの短編『第7話 刹那の風景2:第三章 カルセオラリア:贈り物』でフォローしといた。


緑 : そうなの?

緑 : 熊のぬいぐるみのフォローと言いながら、出てたの馬と牛だよね?

薄 : 熊のぬいぐるみのフォローから始まった物語だよ。

緑 : ペガサスとユニコーンとケンタウロスとミノタウロスと……ねぇ、クマは?

薄 : カクヨムの方、よかったら読んでみてください。

緑 : 熊どこに出てきたの? 牛とか馬?フォローとは?

薄 : だって、結構ね、ジャッキーとか馬は、こうして絵になっているのに、トゥーリの熊に対しては、誰も覚えてないだろうみたいに思ったんだよね。だから、熊に対して申し訳ないなと思って。


緑 : じゃあ、しっかりフォローすればよかったんじゃないかな?

緑 : どう考えてもあのエピソード、

緑 : 馬が、またスポットライト浴びてるよね。結局、薄浅黄は馬が好きなんだよ。

薄 : 2巻の袖コメントの通りです。緑青が、熊をちゃんとフォローしてないのがいけないんだと思うんだよ、私は。


緑 : まぁ、馬のことばかりの薄浅黄はほっといて、挿絵の感想に戻ると、洞窟の背景がちゃんとあるのも嬉しかった。これ、2巻の表紙を踏襲してくれてるよね。


薄 : 結界が張ってあって、クッカがくっつくほど近づけないのもちゃんと意識してくれていて、嬉しかったです。


緑 : 机の質感も、なんか白黒なのに、ちゃんと感じるのすごいよね。

薄 : 肉が入っている瓶がすけて、机が見えているのも、芸が細かいよね。あと、馬の話に戻るわけじゃないけど、クッカの膝の上にある子馬と、クッカ自身が足を広げているのがシンクロしているように感じて、仲がよさそうだよね。


薄 : トゥーリの眼差しも優しそうで、アルトの近況報告を読んでいるんだろうなって、想像できるんだよね。


緑 : 分かる。トゥーリの優しさが、漂ってる。

薄 : と、きりがないから、次行きますか。


――simeさんの絵が素晴らしかったこともあり、間を開けてみたときに、トゥーリを洞窟から出してあげたいなと、ちょっと思ってしまいました。緑青さん、早くなんとかしてくださいね。のんびり揚げ出し豆腐食べたいとか言っている場合じゃ、ないですよ?



――<ヒヨドリショウゴ すれ違い:◇2セツナ 185頁>

薄 : この話はWeb版の『幕間:僕と新月』の加筆修正です。

緑 : 4連続で加筆修正だから、それほど厳しくはないはずだったのに、この章はつかれたな。

薄 : アメジストセージの前にあったこの話を、この場所に持ってきたから、整合性を保つために気を配ったからね。


緑 : そうそう。

薄 : 色々説明すると長くなるので、一番分かりやすく表面にでているところだけで話すと、4巻のセツナの台詞で、「4の月に建国祭が催される」といっているんですが、セツナが花屋で仕事している月が、4の月なんです。で4の月中に建国祭をするとなると、12本薔薇の話というのはそのまま12日間のイベントなので、必然的に月末にするしかない。


緑 : Web版の建国祭は、マナキス1の月の満月の辺りに行われているのにね。

薄 : 建国祭の花を予約に来るお客様がいたと思うんだけど、1ヶ月以上も前に来るというのも、ちょと変だし、仕方なかったんだ。


薄 : それで、困ったのがこの話で、『幕間:僕と新月』とあるように、新月の時の話なんですよ。新月というのは、月の初め1日ですから……。


緑 : 困った。

薄 : なので、建国際の最終日をマナキスの1の月の1日の新月の日にして、この話の日にしたという感じです。


薄 : それで、プロットのところで言った話だけど、『トゥーリの持っている疑問を、読者目線では帰結する』だけど、トゥーリが謎に思っている人物は、間違いなくサイラスなんだけど、何故名前が書かれていなかったのかが、この10年以上、ずっと謎だったんだよね。


緑 : その理由は、特にないです。

薄 : そんなことはない(笑) Web版と書籍版だと手紙を出している回数が違ってくるから、まずWeb版の方について話して。


緑 : 本当は、セツナとしては、名前を伏せたことで謎な雰囲気をだして、質問されたらこういう人だったんだよと、説明するつもりでいたんですよ。


薄 : エンターテイメント的な? 気を引こうとしたわざと隠したわけでもないの?

緑 : 違うよ。ちょっと、難しいな。最終的には、そうなったという感じ。

薄 : じゃぁ最初は?

緑 : セツナの心情的に順を追って話すよ。まず手紙を書き始めたときに名前を伏せたんだけどその理由は、サイラスと一緒に行動したセナがセツナであることの証拠を残したくなかったからなんだ。セナが薬を作ったわけではないけど、薬のことでガイロンドはセナを調べようとするのは、ほぼ確定しているから。


薄 : まぁ、セツナがセナであることは、リペイド城の一部では知られているから、いずれつきとめられるとは思うけど。


緑 : そうそう。だから、そんな気遣いは無用だよなと気付くんだけど。それに、手紙は転移魔法で直接トゥーリに送るから、そこからセナだとばれたとしても、最短でトゥーリが結界からでる2年後だし、問題ないだろうなとも思ったりもする。


薄 : それで?

緑 : で、セツナは書直そうかとも考えるんだけど、見直したら謎な雰囲気があって話の種になりそうだからこのままでもいいかなって感じで、手紙を直さなかったという流れ。


薄 : なるほど。だけど、トゥーリはクッカと話したことで、サイラスの名前がないことについて忘れてしまい聞くことがなかったから。


緑 : そのままになったという感じ。

薄 : で、読者に謎が明かされることのないまま、10年過ぎましたと。

緑 : 今明かされる、衝撃の事実(笑)

薄 : 三回の更新でとまらなければなぁ。

緑 : すみません。

薄 : まぁ、許すかどうかは、読者が決めるのでそれは置いといて。

緑 : 厳しい。

薄 : じゃぁ。書籍版はというと、最初の手紙でセツナが名前を書かなかったのは、同じ理由でいいのかな?


緑 : まぁ、あとはサイラスと洞窟を通ってリペイドに来たことは口止めされているからね。

薄 : トゥーリに言ったところで、どうってことはないと思うけど。それで、トゥーリがその手紙を受け取ったときの反応はWeb版と同じで、そのながれから最初の新月の逢瀬の時は、トゥーリは忘れていてそのことを忘れたまま聞かなかったので、セツナも話さなかったという感じだね。


緑 : なんかトゥーリに名前聞かれても、書籍版だと名前話せない感じだよね。口止めのせいで。

薄 : 状況にもよると思うけど。例えば1000年後に聞かれたら、時効だし喋るんじゃない?

緑 : 時効なんて概念ないよ! いや、セツナの中にはあるのか。まぁいいや。話を戻そう。で、2回目の逢瀬の今回は、トゥーリはそのことを意識していて聞こうとするのだけど、口にできずじまいだった感じ。


薄 : 一方のセツナは、サイラスの話を無意識に避けていたこともあって、そのことに気付かなかった。

緑 : いや、あれは、サイラスの話題を避けていなくても、セツナが気付くのは無理だよ。無理(笑)

薄 : 確かに。そうかもしれないけど、じゃぁ、何故サイラスの話題を避けていたのかというと、次の章に続きます。



――今回のタイトルの「すれ違い」はクッカとセツナに関すると、トゥーリとセツナに関する「すれ違い」を表わすものとして、名付けました。クッカが泣いているのが可哀想だったので、セツナにはもう少し説明責任を感じてほしいところです。


――『ヒヨドリショウゴ すれ違い』は、ちょっと短い章でしたが、本編に組み込む際の苦労など、それなりに語ることがあって、意外にも収録時間が結構ありました。それでは、次回の『楽しい語らい』でお目にかかりましょう。

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