第18話 刹那の風景5:メイキング対談:すれ違い1
――今回のメイキング対談は、『ヒヨドリショウゴ すれ違い』について話していこうと思います。2部構成になりますので、気楽に読み続けていただけたらと思います。
――今回も今までと同様、読者層は、『刹那の風景 5巻』を読んだ方で、『小説家になろう』の『刹那の風景』シリーズを読んでいる方を想定します。書籍版に興味がない方や、『刹那の風景 5巻』のネタバレを気にする方はブラウザーの戻るボタンを押すことを推奨します。
――また、書籍化された『刹那の風景』しか読んでおらず、5巻以降の展開の話を望んでいない方もいると思いますが、その方々のために、先の物語の展開にかかわる個所は伏字にしておきます。
――なお、本の後書きから読むネタバレ派や、書籍を買うか迷っていてきっかけを探している方、書籍は買わないけどどういう観点でWeb版から書籍版を作っているのか気になる方が、この読み物だけを読むことに関しては、全然問題ありませんので、楽しんでいってください。
――以下、緑青を「緑」、薄浅黄を「薄」でお送りします。
――<ヒヨドリショウゴ すれ違い:プロット>
薄 : このヒヨドリショウゴの章を目次で見て、新しい話を書き下ろしたのかなと思われる人がいたかもしれません。まぁ、書籍しか読んでいない方には、全部が新規だから関係ないとは思いますが。
緑 : そうだね、全部が書き下ろしだね。
薄 : まぁ、残念ながらそうではないのですが。Web版を読んでいる人は、分かっている人もいるし、知らない人もいるかもしれないけれども。刹那の風景っていうのは、実はどっかに埋もれている話があるのですよ。
緑 : そんなの、あったんですね。
薄 : そうそうそう。トゥーリとそのセツナの触れ合いの場として作ろうと思って立てた場所があったんだけど、なんか、1回書いて、その後ね、そのまんまどっかにね、消えてしまったという忘れられたという章があったんですよ。
緑 : 手が回らなかったんだ。
薄 : それが、えっと。
緑 : あれです。
薄 : 『刹那の風』っていう短編集です。ヒヨドリショウゴの章の元になりました。これは、まあ、小説家になろうで検索かけたらきっと出てくるよね。
緑 : 検索除外してなかったら、出てくるような気がするよ。
薄 : 刹那の風景シリーズのトップからいけば、きっと見つかります。アクセス解析見ると、アクセスのトップテンが2013年までという、歴史を感じさせる短編集です。
緑 : 探さなくてもいいよ。本で読んでくれているんだし。
薄 : で実のところ、この刹那の風っていうのは、3巻ぐらいから話を入れよう、入れようとしていました。
緑 : 3巻の杜若にだったっけ?
薄 : そう。2巻で別れたそのあとのトゥーリは何をしていたのか書くには、物語内のカレンダーからいったら、丁度いいかなと。
緑 : でもダメだった。
薄 : そうなんだよね。『刹那の風』の『トゥーリとクッカの精霊話』がちょっとしんみりした話だったから、3巻の終わりで晴れやかな感じでしめたから、ちょっと合わないかなと思って。
薄 : じゃあ、4巻で入れればいいかなと思って、
薄 : 『トゥーリとクッカの精霊話』と次の『トゥーリ:はじめての手紙1』の2話分を杜若に入れようかなと。
緑 : 思ったんだけど?
薄 : 4巻の杜若見てもらったらわかるように、10ページしかない。つまり何が言いたいかっていうと、ページ数が膨れ上がったから、これらを入れることができなかった。
緑 : しょうがない、しょうがないんだ。
薄 : まあ、もう少し丁寧に説明すると、「第69番目の勇者とティレーラの話」を削除して入れることも、考えたんだけども、そうすると、削った分を5巻に持っていかなければならなくなるから、5巻でティーレの話がかなり長くなっちゃうんだよね。
薄 : 1巻に対して、1話で20ページあるから、5巻で40ページ分やる? みたいな。
薄 : いやいや、そもそも番外の話がね40ページ分もまとまってて、それをみなさんが読みたいですか? ないだろうなという思いがあって、じゃぁ、やっぱりここは、10ページ分は、ティレーラの話でいきましょうと。
緑 : そもそも、ティーレの話、20ページではなく、10ページに縮小してるんだよね。
薄 : 4巻のページ数、おおかったからね。だから、5巻は30ページになってます。さっきの話で、40でも30ページでも変わらず読みたいか?っていう疑問は残るんですが、5巻はまぁ、勇者の話をちょっと頑張ったんで、読んでもらえたら嬉しいなと、特にWeb版勢の方には、驚ける話になっていますので。
薄 : まあ、そういうことで、結局、『刹那の風』は3話分まとめて、5巻のこのタイミング入れる事になりました。結果的には、全てまとめて、ここに新章作って入れられて、よかったなって思います。という流れで、ヒヨドリショウゴのプロットの説明です。
緑 : それは、プロットを生かせたと言うことで、よかったってこと?
薄 : そうそう、では、プロットを説明していくと、まず、『精霊とはどういうものかという説明を分かりやすくする』。次に、『トゥーリの持っている疑問を、読者目線では帰結する』です。『刹那の風』は3話分まとめて5巻に入れたことで、後者の課題はクリアができたと思います。
緑 : それじゃ、本編いこう。
――『刹那の風』の話のみになっていますが、ヒヨドリショウゴには、『トルコギキョウ 楽しい語らい』から『幕間:僕と新月』も移ってきています。このトゥーリの話があるために、これ以上『刹那の風』を入れるタイミングを後ろに持っていけなかったという理由もあります。新月縛りがなければ、この話をもう少し後ろに持って行けたのですが、当時の緑青さんに小言を言いたい。
――<ヒヨドリショウゴ すれ違い:◇1トゥーリ 168頁>
薄 : さっきもいったけれど、この話はWeb版の『刹那の風』にある、『トゥーリとクッカの精霊話』、『トゥーリ:はじめての手紙1』、『トゥーリ:好きの種類 』の話を、加筆修正したものです。
薄 : ただ、物語上の時系列上このまま収録するわけにはいかず、すごく苦労しました。
緑 : 5巻で一番苦労した点ってそこら辺だよね。
薄 : 何が?
緑 : こう、章立ての部分が苦労したよね。
薄 : 何をどこに持っていって時系列を整えるかっていう、そこの構造は苦労したよね。ほとんど私がですが。
緑 : そうだね。でも、話の修正を丸投げさられたのは、僕。
薄 : 構造さえできれば、あとはね、書いてくれるだろうから。
緑 : ひどい。私の脳内妄想から生まれたはずなのに!
薄 : まあ、そういうわけで。
緑 : 流された。
薄 : で、この最初にくる話が、Web版と違って『トゥーリとクッカの精霊話』ではなく、『トゥーリ:はじめての手紙1』になります。これは、物語の時間が『セツナ達が建国祭初日を終えました』という時間軸の後なので、いきなり、それ以前の『トゥーリとクッカの精霊話』を持ってくるわけにはいかなかったので、回想という方法を使ったからです。三人称視点の作り方なら、「それより、だいぶ前に話は遡るが……」みたいな導入もあるとは思いますが、『刹那の風景』は一人称だからね。
緑 : でも、1巻のカイル視点や、この巻のジョルジュ視点はちょっと前の過去に遡ってるよね。
薄 : そうだね。でも、その日の話時点で留めてるじゃない。これ、1カ月前の話とかしたら、絶対読み手が混乱すると思うんだよ。
緑 : まぁ、そうかもしれないけど。
薄 : それと個人的には、1カ月前の話なら、物語のそのタイミングで書くべきだよねとは思っている。それを書いていないってことは、作者が今思いついた話を、物語のその時点に埋め込みたいという思惑を感じがしちゃうんだよね。
緑 : あくまで、薄浅黄、個人の感想です。
薄 : まぁ、回想にしたからってそれがなくなるかと言われれば、個人の主観の問題だからね。なんともいえないけれど、私としては、まだいいかなって。
緑 : あくまで、薄浅黄、個人の感想です。
薄 : まぁ、緑青は基本的にそういう点を気にしない派だから、仕方ない。プロットを私に任せたことを後悔するんだ(笑)
緑 : 後悔というか、グーで殴りたい。
薄 : 過去の自分を?
緑 : 目の前にいる人間をだよっ!
薄 : 鏡、探してこなきゃ。まぁ、いいや、次の話題いこう。精霊の話の部分ちょっと難しかったよね。精霊とはどんな存在か、というか、世界観というか、Web版は分かりづらかったと思うので、説明の順序を入れ替えたりして、整理して、もう少し分かりやすい文章にしたつもりです。
緑 : 普通は、契約者と下位精霊は精神的に繋がっているけど、セツナとクッカは繋がっていないよ、それがクッカには辛いよということを、当時は書きたかっただけなんだ。
緑 : あと、トゥーリが手紙にサイラスの名前が書かれてないことに対して複雑な心境になるところだけど。
薄 : これは、後ろの方でまとめて話そう。
――トゥーリ視点のこの話ですが、ページ数の割には話すことが少なかったのは、書くときには構造的な悩みとかが多かったのですが、どう難しかったというのを説明しづらかったんですよね。しかも、加筆修正された話を見ると、なんか苦労してできたように見えない。あれです、白鳥の足のようなものだと思ってくれれば、幸いです。
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