第20話 刹那の風景5:メイキング対談:楽しい語らい1
――今回のメイキング対談は、『トルコキキョウ 楽しい語らい』について話していこうと思います。おそらく、4部構成になるかと思いますので、気楽に読み続けていただけたらと思います。
――今回も今までと同様、読者層は、『刹那の風景 5巻』を読んだ方で、『小説家になろう』の『刹那の風景』シリーズを読んでいる方を想定します。書籍版に興味がない方や、『刹那の風景 5巻』のネタバレを気にする方はブラウザーの戻るボタンを押すことを推奨します。
――また、書籍化された『刹那の風景』しか読んでおらず、5巻以降の展開の話を望んでいない方もいると思いますが、その方々のために、先の物語の展開にかかわる個所は伏字にしておきます。
――なお、本の後書きから読むネタバレ派や、書籍を買うか迷っていてきっかけを探している方、書籍は買わないけどどういう観点でWeb版から書籍版を作っているのか気になる方が、この読み物だけを読むことに関しては、全然問題ありませんので、楽しんでいってください。
――以下、緑青を「緑」、薄浅黄を「薄」でお送りします。
――<トルコキキョウ 楽しい語らい:プロット>
薄 : では、『トルコキキョウ 楽しい語らい』の章のプロットについて話します。といいつつ、プロットの前に、状況の整理をすると、この章においては、パーティーをするという物語群だけが、最初にあったんだよね。そして、『刹那の風景』のリペイドの物語を考える上で、これらの物語を削除することはありえないという判断が、念頭にあったと。
緑 : そうそう。
薄 : で、こういう状態を踏まえて、この章で何をしなければいけないかをまとめます。
緑 : まだ、プロットではないと。
薄 : まぁ、やらなければいけないことの羅列かな。で、一つは『セツナとサイラスの関係修復』。続いて『パーティーをする理由付け』。最後に『模様替えの話を作成』だね。
緑 : 『セツナとサイラスの関係修復』って、アメジストセージで話ついたと思ってたんだ。
薄 : まぁ、よく考えると、ユージンからセツナへの対応が残っているよね。
緑 : 僕がユージンの謝罪っていってた。
薄 : そう、でも謝罪じゃないんだよ。ユージンはセツナに謝罪するようなことしてないからね。ユージンが謝罪しなければいけないのは、王妃だから。治療に対してと、王妃の思いを教えてくれたことへの礼はあるけど。
緑 : かなり、セツナへの対応が悪かったけど。
薄 : それを言うならセツナもやってることは酷いから、どっちもどっちでおあいこでしょ。
緑 : まぁ、どっちもあやまればいいじゃないとも思うけど。で、サイラスって言ってるのに、なぜユージンの話?
薄 : ああ、説明が間違えてたけど、言いたいこともでたから、いいか。セツナの心情の部分で酷いというか、大事にしすぎたという後悔の念が、残ってるのが意図せず話せた。
緑 : そうだね。特に直接の当事者でないサイラスを苦境に立たせてるから、そこへの後悔は残ってる。
薄 : で、サイラスの方はこれは後で話すから詳細は省くけど、セツナへの罪悪感があって、この二人のもやもやした状態を解消するというのが、やらなければならないことの一つ。
緑 : でも、『セツナとサイラスの関係修復』と『模様替えの話を作成』は、この章でやらなければいけない理由はないよね?
薄 : 正直、6巻に色々な問題を引き継ぎたくなくて、ここで全部解消したいというのがあった。
緑 : まぁ、そこは同意しかない。
薄 : で、その三点を考えているうちに、かみ合って、プロットが出来たんだよね。『部屋の模様替え』が終わったお祝いに『パーティー』をして、その場で『セツナとサイラスの関係修復』をすると。そして、それについての指示を起こしたわけです。
緑 : 酷い。酷いんだ。
薄 : まず、パーティーの導入部書き下ろして。パーティーの話を加筆修正して。サイラスが謝罪する場面を書き下ろして。以上。
緑 : いや、流れ作っただけで、丸投げ、またしても、丸投げ。
――緑青はこういっていますがプロット書いていた当時は、そんな一言があれば大して苦労せずに話が作れるだろうと考えていただけで、手を抜いたというつもりもなかったんですよ。まさか、あんな苦労するとは思ってもいず。というわけで先に進みます。
――<トルコキキョウ 楽しい語らい:◇1ラギ 197頁>
薄 : このラギの話は書き下ろしになります。で、セツナとサイラスの関係修復がパーティの目的となるので、パーティー前に二人が会うことは避けないといけないため、サイラス達をどうやってパーティーに呼ぶかというところを書かないといけないとなって、この話を作ることになりました。で、どういう感じで書いたんだっけ?
緑 : プロット見ると、一言しか書いてない。
緑 : ひどい丸投げ感半端ないよね。『パーティの準備からパーティ開始』とかさ、意味分からないよね。これ、プロットですか?
薄 : だから、どうやって書籍の形になったのかが、このプロットの資料からだとわからないんだけど。
緑 : とりあえずWeb版は考えない様にして、知らないうちにこうなったと。
薄 : 知らないうちっていうか、知ってるでしょ。だって、制作者ですよ、緑青。
緑 : 覚えてないし。確か、セツナから話をしに行くのはないなといってた。
薄 : サイラスから来なきゃいけないよねっていうところは、すぐに、確定してたんだよね。じゃあ、サイラスが来るにはどうしたらいいかなっていうところで、プロットのところで触れた、ユージンがセツナにお礼をしていない点を生かして、サイラスを送るという筋書きができた。
緑 : そのせいで、追加で、アメジストセージの最後の部分を書き直させられました。
薄 : そうそう。で次に、来るように出来たのはいいけど、セツナと会うのはまずいから、会うとその場でサイラスが関係修復を始めるよなと考えて、セツナを外出させました。
緑 : あと、セツナに依頼をさせたかったんだよね。資金稼ぎを、ほぼやってないから。
薄 : そうだね。なんというか、割のいい依頼も延び延びになっているし、そもそもそういう目的で長期滞在するつもりだったから、むしろ依頼をしないのはおかしいしね。
薄 : ただ、そんなに都合良く多量の依頼あるかなと思ったときに、リペイド国で魔物を討伐している話があったのだから、国からギルドに依頼を出せば、依頼が多くあっても不自然ではないなとなった感じだったね。
緑 : そうそう。
薄 : 国で抱えている、仕事量を少なくしないと、アメジストセージでの問題は、根本的には解決しないしね。まぁ、財政難のリペイド国にそんな依頼を出すためのお金があるのかというと、難しいところだけどね。
緑 : ラギもそこは不思議に思ってる感じにしてたね。
薄 : まぁ、理由付けは考えてはいるけど、5巻では話と絡まないところなので、一旦脇に置いておきました。
薄 : それで、だいたいの流れがそれで決まって、書き下ろしてもらったんだけど。
緑 : かきまみた。
薄 : そして、次に模様替えの内容だけど、これも詳細はなくて、お任せで書き下ろしてもらいました。
緑 : そうだね。
薄 : でも、もう書くことは決まってたからね。壁紙の張り替えをするよっていうところで、約束していたノリスとエリーがやってきて。
緑 : そうそうそうそう。Web版でラギの家によく集まってたっていう描写をいれててさ、だから、5巻でラギとの関わり合いの話をパーティー以前にも入れて、こんなこともあったんだという話を増やしたかったんだよね。
緑 : こうなんていうのかな、ラギと仲良くなっていく、空気感を作りたかったんだよ。
薄 : 皆が仲良しになっている雰囲気に、もう少し説得力を持たせたかったと言うこと?
緑 : うん。だから壁紙の張り替えっていうのは、そのために4巻で入れたんだ、5巻で描くつもりでさ。
薄 : なら、この模様替えの話自体は、最初から出来てたの?
緑 : 覚えてない。ただ、そこら辺の、なんていうのかな、繋がりっていうのはちゃんと、模様替えだけじゃなく、この5巻全体で深掘りできたんじゃないかとは思ってます。
薄 : まあ、足りなかったところだよね。
緑 : そうそうそうそう。
薄 : Web版だとエリーとラギが初めて会うのがパーティだけど、書籍だと4巻の看病からだから、それだけ繋がりが強くなってると思う。
緑 : 4巻からのテーマだったけど、リペイドで生活している感じを出すっていうことを目指してたけど、そういうのも出せたのかなとは思う。
薄 : そうだね。建国祭のところは、どっちかっていうとリペイドに住んでる人たちを書いて、リペイドっていう国をちゃんと描写したかったのがあったんだ。それに対して、このパーティーでは、エリーとかノリスとかソフィアとかのサブキャラの人物像を深掘りしたいというのがあった。
緑 : あとはラギが幸せにしている場面を、もっと増やしたかったっというのも僕は考えていた。場面をもっと多く出したかった。
薄 : えー。根本的にラギの話は、4巻から増やしているから、あえて課題にしようとは思わなかったけど。
緑 : 積み重ねだよ。
薄 : まぁ、セツナとの繋がりだけじゃなくて、プロローグの過去のところから始まって、セツナの相談の話、建国祭での話を経て、少し人物歴史が語れて、ラギの過去から今に繋がる部分も深掘りできて良かったと思う。
薄 : そして、そんな中で今は人間とどういう風に関わっているのか、人付き合いをしてるんだろうっていうところも、クローズアップしていこうかなと言う感じでした。じゃぁ、横道に逸れた話を模様替えの話に戻します。
緑 : 戻されます。
薄 : まあ、模様替えたらパーティーするっていうのは、あまり聞かないよね。ネットで軽く調べた限りでは、何かの節目があって、それにともなって模様替えをしてパーティをするというのはあるみたいだけど。だいたい、新年とか春分とか夏至とかだったりだけど。
緑 : そうだね。
薄 : で、この模様替えしたらパーティするという発想は、どこからきたの?
緑 : 模様替えしたらパーティーするっていうのは、ほぼないと思うよ。で、家の建て替えとか、新築になったらとかでパーティするよね。そこから、パーティーやろうかっていうところに結びついた感じ。
薄 : なるほど。
緑 : まあ、ちょっと、違ったけどね。
薄 : 何が?
緑 : エリーとノリスが想像してたものとは、違うけどね。
薄 : ん?
緑 : よくわからない、パーティーになってたけどね。アルトのせいで。実際、そんなもんじゃないのだけど。
薄 : じゃあ、普通のはどういう感じなの?
緑 : ちょっと、こうお菓子とかお茶会みたいな感じ。食事を贅沢にここまで用意して出すってことは、ないな。
薄 : ん?お茶会みたいな感じのイメージを、最初は考えていたってこと?
緑 : いや、違くて。考えていたじゃなくて、エリーがね。
薄 : ん? 緑青の中の考えの話だよ。変わったってこと?
緑 : 私は、もう最初から。
薄 : 違う違う違う。話がかみ合ってない(笑)緑青の中の考えでは、まず、普通のリペイドでの模様替えのパーティーっていうのは、お茶会みたいなもんだったってこと?で、まあそこにアルトのせいで、一般的なパーティーじゃなくてお食事会になったから、違う物になったということね。
緑 : そうそう。
薄 : 私は、緑青が当初書きたかった物と違うものになったというように聞こえたよ。お菓子持ち寄っててのが本来の姿で、だから、サイラスはお菓子持ってきてるみたいな話になっているんでしょ?
緑 : そうそう。サイラスが「は?」とか言ってるのは、普通は、「壁紙を張り替えたことで食事会にはならない」ということを、書きたかった。
薄 : 模様替えとパーティの話はそんなかんじだね。で、ちょっと話が前後するけど、サイラスがきたときの話をしよう。ここ、なんで最初からノリスとエリーを交えて4人でサイラスを迎えなかったの?パターンとして、4人で出迎えるってこともあるでしょ。この部分でアルトとラギだけにしたのか、まぁ、アルトは後で出てくるんだけども。
緑 : 反対に聞くけど、友達が来てて遊んでるとして、誰かが来たら、その友人と一緒に玄関に行く?
薄 : 話がかみ合わないな。それは、二人で迎えにいく場面を作りたいから、その場面を作ったわけだよね。
緑 : どういうこと?
薄 : 例えば、玄関にたまたまみんながいて、そこにサイラスが尋ねてきたら、4人で迎えられるじゃない?
緑 : うーん。
薄 : だから、なんでその形を取らなかったのかなと。4人を2組に分けて2回も出会いの場面作ると間延びすることもあるし、手間がかかって難しいと思うんだよ。私なら一気に終わらせたいと考えるけど。それが良い悪いじゃなくて、うーんと、なんだろ。緑青が書いたものを見ると、純粋に私ならやらないなと思って、この書き方にした理由を聞いている感じ。
緑 : そもそも、玄関に集まってるっていうことがあんまりないでしょ。
薄 : いや、玄関というのはあくまで例だし。他の例ならば、井戸の水を汲みに出ていって、戻ってきたところで鉢合わせとか。色々思いつくと思うけど?一気に解決しようとは、思わなかった?
緑 : あんまりこう、一気にっていうか、どっちかっていうと、あんまり一気にというか、順調立てて話をしていく方が好きかな。
薄 : また、かみ合わないな。順序立ててというのは、(4人を2組に分けてが前提の話だから)一気に解決の答えにはなってないよ。まぁ、いいや。話を進めよう。
――ここ、進行も前後したり、二人の話が全く噛み合わなかったりで、困りました。お互い長時間話をしていて疲れてたんです、ごめんなさい。でも、緑青の書き方のスタンスが分かり、これはこれで面白いかなと思い、残すことにしました。なお後で話を聞いたのだけど、ここは先に、ラギとアルトがノリスとエリーの話をして親睦を深めている姿を書くのが前提であったから、サイラスが来たときに、家の主であるラギが応対に出る流れ以外なかったと言うことでした。
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