第13話 刹那の風景5:メイキング対談:良き語らい4

――<トルコキキョウ 良き語らい:◇7セツナ 51頁>

薄 : そんな感じで翌日のセツナのところです。またここも、書き下ろしになるんだけど、セツナの気持ちはどうやって整理するんだろうというのはあるんだけど、それはラギ視点でやろうということになって、ここでは、建国祭の準備について触れてねということで、お願いしました。緑青さんに。


緑 : そうね。

薄 : 出だしは、昨日王妃と会ったことを思い出して、サイラス達と事を構えたくないっていうのと、王妃を見捨てたことにならないのかなっていう葛藤でなやんでいるんだけれども、建国祭の準備に話は流れていきます。


緑 : Web版では、建国祭の話をあんまり入れなかったというか、ほぼ入ってないからね。準備に関しては、なおさらね。そもそも、セツナは1日目の建国祭に行かなかったんだよね。


薄 : でも、書籍版では、行かないっていう選択肢がないよね。

緑 : だって、もう4巻から建国祭の仕込みをやってたからね。

薄 : 逆に、読者の皆は建国祭この後どうすんだろうな、Web版も読んでいる人達は、上記のようにセツナの行動を知っているから、二日目に建国祭の話持ってくるのかなと、考えていたりもしていたのかな?まぁ、その建国祭については、アメジストセージでふれるとして、ここではその準備について。


薄 : それで、緑青が書いてくれたのを読んで、よかったよね、これ。

緑 : 何が、どこら辺で?

薄 : なんか街の人の行動を見て、セツナがラギさん頼ってみようかなみたいな心境になるていうところが。アルトのことを考えて、集団行動の大切さを学ばせるために、建国祭の準備に手を貸したとか。


緑 : そこら辺の話のヒントは薄浅黄からでたよ。

薄 : ヒントなんか、出してないよ。

緑 : 出してるって。気づいてないだけでね。薄浅黄はね、ちょこちょこいろいろ言ってるの。

薄 : 100歩譲ってそうだったとしても、そのヒントを自分の中で消化して、物語を作れるのはすごいし、その内容に感動したわけ。


緑 : 腑に落ちない。

薄 : 町民に声かけられて輪に入っていくところとかは、私には思いつかないよね。

緑 : 違うよね。これも薄浅黄、考えてたじゃん。プロット見ればわかるじゃん。家と家の間でランタンを遠等間隔に並べていくってさ、図を僕に見せて、こういうふうに書いたらって言ってたじゃん。


薄 : これはどうやって配置していいかイメージできないって言うから、図を書いただけであって、ヒントではないよね?


緑 : そこまで書かれたら、普通かけるよね?

薄 : 図を提示されて話かけるんだったら、インターネット見ている人達、皆、小説家になれるよ!それに、魔物の皮を杭に縛って、地面に打ち付ける話も、図見ただけじゃ、普通考えないよ?


緑 : 違う。それはランタンの話をしたときに、薄浅黄が、ランタンの光りだけだと明るくするにも限度があるからって、魔物のこと言い出したんだよ。木の魔物がいて、木の魔物から皮を剥ぐ。その皮の裏側は白くて、光が反射されやすくなってるんだよって説明してた。じゃあ、その皮をどうやって立てるのって聞いたら、杭にはりつければいいじよねって言ったでしょ。


薄 : 杭の話は、全然してないと思う。

緑 : してたから。

薄 : してない。でも、仮に杭の話をしていたとしても、こういう風な物語を書いてくるのは、素晴らしいと思います。


緑 : アリガトウゴザイマス(棒読み)

薄 : でその話の流れで、で、最後、アルトがね、杭を打とうとするエピソードね。魔法で強化するように修正をしたのは、私だけど……。


緑 : いいんじゃないの。

薄 : でも、トンカントンカンする話を作ったのは、そこだけ変えたけど、やっぱり、緑青の発想力の勝利だよね。


緑 : これはちょっとね、楽しいシーンを入れたかったんだ。ラギとアルトとセツナの。

薄 : いいよね。

緑 : 重たいって言いながら、アルトがふらふらしてるシーンは、そんなラギさんが危ない目にあうようなことはさせないだろといわれ、削除されたけどね。


薄 : このラギとアルトが二人で一つの仕事をするという発想がいいよね。

緑 : いいよいいよ。フォローはいいよ。

薄 : だから、これを魔法で強化して、フラフラにはならないエピソードになった事なんて、些細なことだから。よかった、よかった。


――書籍になる前に、実は結構な量、緑青の書いた文章を私が削るのですが、それを思い出したのか、この話をしていたときは、やさぐれ緑青が爆誕して、大変でした。そのため、いつにもまして、私の気に入った箇所を挙げて機嫌を直してもらおうとしていたのですが、あまり効果がありませんでした(泣き)



――<トルコキキョウ 良き語らい:◇8ラギ 65頁>

薄 : 更に続いて、書き下ろしです。町の人達と協力して作業をしたからこそ、誰かを頼るという気持ちに自然になって、ラギさんに相談しようっていう心境になりましたという流れになります。


薄 : これもどっちかのプロットとしては、ラギさんとセツナは、この1カ月で、精神的に頼って頼られているような関係性になっているというのを、書いて欲しいと言う感じでした。


緑 : Web版でちょっと書き足りなかった部分で、セツナの人生に深く関わってる人なんだよっていうことを、書きたかったんだよね。


薄 : そうそう。

緑 : ここは、ほぼプロット無視して、僕の好きに書きました。

薄 : そうね。

緑 : ちょっとね、薄浅黄のね、考えたプロットの展開がね重すぎてね。僕には耐えられなかったんだよ。

薄 : そんなことないよ。

緑 : いやだってさどう考えたってさ、重いよね。難民を見捨てるって話だよ?

薄 : プロットでは、過去のラギの話のところで、ラギが、友人とともに人間と戦うか、難民を保護してその場から退避するかという選択を迫られることになり、結果、ラギは友人と戦うことを選び、難民は他の獣人が保護しながら逃げることになったんだけど、友は救えたが、人間によって、全滅させられてしまった。そのことを踏まえてラギが、感じたことを話すんだけど、友人を危険にさらしたくないっていう気持ちで、選らんだ行動だったが、今になっても、あの時の選択は正しかったか悩むことがある。そのことを踏まえると、どんなことを選択をしても、正解と思えることなど余りないのではないかと思う。セツナさんは優しいから、弱い立場の者を見捨てればうまくいかなかった時に、間違いなく、酷く後悔する。だから迷ったときは、弱い者の立場に立った方がいいと話す、と書いています。


緑 : それが、重かったんだよ。僕には、それが書けなかったんだよ。見捨てたために全滅した難民を見て、ラギが苦しむ姿しか思い浮かばなかった。友達が助かってよかったっていうよりも、見捨てたっていうその罪悪感で今も苦しんでそうと。


薄 : そういう、見方もあるよね。

緑 : プロット通り書くと、そんなふうにラギがなってしまうから、それはくしたくはなかったんだよ。

薄 : でも、結局出来上がったものも、獣人が死んでいるという点では変わらないよね?

緑 : そこは、今まで通りで、ラギが見捨てたのとは違うからね。

薄 : なるほど。

緑 : 後、プロット通りにしなかった理由だけど、ラギとこの友人二人とカイルとの繋がりを書きたかったんだよね。


薄 : 5巻のあそこの人物は、カイルだったのをここで、ばらしますか。あと、Web版でもこの4人に繋がりがあるなんて、書いてないよね。


緑 : 全然、全く何も出てこない。

薄 : っていうことは、やっぱりこれ、みんなが初めて知る衝撃の事実だよね?

緑 : そう。

薄 : なんで今まで伏せてたの?

緑 : 書籍でってこと?

薄 : Web版で。

緑 : サガーナ建国にカイルが関与していたっていう設定は、ずっとあったんだけど。短編でだす余裕がなかったんだよね。本編には組み込めないし。


緑 : 今回、この話を収録したのは、セツナはカイルとは思ってないけど、読者には覚えていて欲しかったみたいな感じです。


薄 : でもここ読んでいる人以外、確証を持ってカイルとはいえないよね?それでいいの?

緑 : まあ、皆、読者はわかってるよ。


――セツナが自分の精神的なことで悩み、誰かに相談する場面は、Web版含めてなかった気がします。忘れているだけかもしれませんが。なので、緑青としては特に書き辛かったと思いますが、読者の皆様に受け入れてもらえたら、嬉しいです。



――<トルコキキョウ 良き語らい:◇9セツナ~挿絵2 75頁>

薄 : ここも書き下ろしかと思われる方もいるかと思いますが、この話は、加筆修正になります。タイトルは『建国祭での短編集』で、『刹那の風景』ではなく『刹那の破片』という短編集からになります。『刹那の破片』を知らなかった方は、是非覗いてみてください。


薄 : それで、本来短編は、本編を補完する位置づけで書いているんですが、私はほぼ関与していません。ただ、5巻を執筆するさいに刹那の破片をも目を通す訳ですが、この話は本編に入れた方がいいだろうと言うことで、今回、加筆修正を行いました。


薄 : 加筆修正に触れる前に先に81頁の挿絵について、触れようか。

緑 : めっちゃ目がキラキラしてる、王妃様もペンキンも。

薄 : 実のところ、Web版ではセツナが出したぬいぐるみが、ペンギンだと言及しているのは、この話だけになります。


緑 : 可愛いよね、ペンギン。

薄 : 王妃も綺麗だし。この絵は、何も要望も指摘もなく、ラフ画確認おわったよね。

緑 : そうだね。

薄 : なんていうか、こう、この世界にいない鳥という設定なのに、なじむんだよね。王妃に抱かれているのが。


緑 : まあ、可愛いは正義っていうからね。

薄 : 私の頭の中のペンキンのイメージは、細い感じのペンキンだったんですよ。

緑 : あ、そうなの? あ、あれ?僕の中では、ずんぐりむっくりしたイメージしかないけど……。あれ?

薄 : 失敗作のことは忘れないさい、いいね?

緑 : あ、うん、失敗作のことは忘れる。

薄 : それで、もう少しこう、南極でいるような、皇帝ペンキンみたいな細い、震えてるような感じのペンギンをイメージしてたんですよ。


緑 : ジェスチャーしても、皆にはわからないよ(笑)

薄 : でも、このペンキン見て、なんか、空中に浮く姿思い浮かべたら笑えてきて、これも有りだなと思いました。


緑 : 失敗作が、本物に昇格した。許された。

薄 : そうなるかな。

緑 : 本当、まじ感謝。simeさん。

薄 : っていうか、ここの王妃の服のリボンが、ついているんだけど……。

緑 : 四巻から同じ服だよ。

薄 : そうそう。

緑 : アクセントリボン。

薄 : 知っているよ。それで、この嘴でりぼんをツンツンしているイメージが、頭の中で暴走するんだよね。


緑 : そうなんだ。

薄 : ぬいぐるみだから動かないんだけど、リボンが餌みたいな感じで、可愛らしいデフォルメのうぃんなーみたいな。

緑 : ペンキン、ウィンナー食べない。ペンキンのご飯は魚だから。

薄 : 知ってるよ。

緑 : ウィンナー食べる鳥はいない。ひよこもにわとりもな!

薄 : 知ってるよ。でも、うぃんなーみたいな雰囲気で食べそうだなと思いました。

緑 : うん? リボンがウィンナーに見えたっていってる?

薄 : そう。あーお腹すいた。

緑 : simeさんに通報しとこ。

薄 : むしろ、かにさんうぃんなーの絵を描いて欲しい。

緑 : 無理です。贅沢なこと言わないように。というか、通報するのも無理ですけどね。

薄 : というわけで、うぃんなー、いや、ペンギン、いや挿絵の話はおしまいです。加筆修正に関しては、建国祭では王妃がバルコニーで焼き菓子を投げるんだよという話を追加したのが、一番の修正箇所かな?


緑 : ここは、あれだよね。ちょっとこう、セツナっぽい言い回しで依頼を受けてって指示があったよね。焼き菓子を受け取ることで返事してね、みたいな。


薄 : そうそう。この時点で、建国祭の焼き菓子をどう使うかは、完全に私の中では出来上がってたので、緑青に問答無用で書いてもらいました。


緑 : まあこの場面は、あんまり苦労しなかった気がするから、要望も苦ではなかった。

薄 : そうなの?

緑 : そうだね。全体的に言えば、苦労しなかったかも。全体的に言えば、苦労しなかったかも。大切なことなんで、2回言いました。


薄 : それは、よかった。まあ、こんな感じでしたが、『トルコキキョウ 良き語らい』については、終わりです。


――失敗作というのは、まぁ、刹那の破片を見に行けばわかります。


――長かった。『トルコキキョウ 良き語らい』はそんなに語ることないと考えていた時期が、私にもありました。蓋を開けてみれば大分時間がかかってますね。編集で3日かかってます。アメジストセージが怖い。それでは、次回もお付き合いくだされば、嬉しいです。


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