第2話 今世

昔の記憶を夢に見ながら彼は起きる。

「水凪〜!起きてるの?」

水凪「起きてるよ母さん。」

「じゃあさっさとご飯食べて用意しなさい。お兄ちゃんも起こさないと。」

水凪「はい。」


あれから僕は俗に言う転生というものをしたようだった。

前世と違って戦争は無い。

僕は学校と呼ばれる教育機関に通っている。

生まれ変わったら記憶は消えるものだと思うが僕は例外なのだろうか?


朝食を済ませて僕は中学校に行く。

現在は15歳で僕が死んだあの日と同じ歳になった。

「水凪!おはようさん!」

水凪「おはよう、瀧谷たきや。」

彼は櫛原くしばら 瀧谷たきや中学に入ってから出来た友達。

瀧谷「昨日のニュースみたか!また、防撃隊がcorpseを討伐したって話し!」

水凪「うん、まあ。」


この世界に戦争は起こっていない。

けれど、平和な訳じゃない。

何年前に突如現れた異空間生命体、それがcorpseだ。

詳しい正体は不明。

人工生物なのか、はたまた宇宙人の様な物なのか全くわかっていない。

遺伝子を採取してもその謎は深まるばかりである。

ある科学者が遺伝子情報から弱点を解明して、それを元に武器を開発した。

それを使って戦うのが防撃体と呼ばれる組織だ。


瀧谷「いいよな〜俺も入りてぇよ。収入良いし格好いいから女の子にモテモテだぜ!」

水凪「けど、そう簡単じゃないでしょ?士官学校は毎年倍率高いし今年もここの学校だけで多くの志願者が出てる。」

瀧谷「そうだけどよ〜。」

水凪「まあ、瀧谷がなりたいなら応援するよ。」

「おはようございます。」

瀧谷「おっ!小衿こえりちゃん!おっはー!」

水凪「小衿、おはよう。」


やってきたのは寒林かんばやし 小衿こえり

彼女は幼稚園からの付き合いで幼馴染に当たる。

清楚な美少女で皆から人気がある。


小衿「何の話ですか?」

水凪「瀧谷が防撃隊の士官コース受けるんだって。」

小衿「そうなんですね。頑張って下さい!」

瀧谷「そういやお前の兄ちゃんは受けるんだっけ?」

水凪「みたいだね。」


僕には違うクラスに双子の兄がいる。

顔は似ているが髪型などの雰囲気の違いがあって区別しやすい。

それに僕と違って兄は優秀で皆に好かれている。


瀧谷「良いよな〜顔は良いし頭も良くてスポーツ万能でまるで主人公様だ。嫉妬とかしないのか?」

水凪「特にそういうのは無いかな。兄さんは兄さんだし。僕には瀧谷や小衿が友達なら満足だよ。」

瀧谷「そっか…小衿ちゃんは受けるの?」

小衿「まだ悩んでて。」

瀧谷「へぇ〜けど小衿ちゃんも結構成績優秀だから行けそうだけどな。」

小衿「水凪君は受けるんですか?」

水凪「士官コースは受けないよ。兄さんと同じ学校には行くけど。」

瀧谷「お前受けないのか!?」

水凪「同じ学校の技術開発コースにしたよ。僕は戦いは好きじゃないんだ。けど、皆が死なないように頑張ってサポートはしたいんだ。」

瀧谷「マジか…」

小衿はその言葉を聞くと少し嬉しそうに。

小衿「水凪君は昔から優しい人ですから、それが良いと思いますよ。」

そう言われると水凪は少し俯いて。

水凪「…臆病なだけだよ、僕は。ただ、怖いだけだから…」




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中学時代は次で終わりで、4話目から本格的に始まります。

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