放課後の弁明(べんめい)

転生新語

放課後の弁明(べんめい)

英子「貴女あなたは私というものがありながら、美子と浮気うわきしました。みとめますね?」

私「みとめません」

美子「ええっ!?」


 いや、『ええっ!?』って言っちゃダメでしょ、美子ちゃん。私がわけしてるんだから調子ちょうしわせなさいよ。可愛かわいいなぁ、もう。

 女子三人しかない教室で、裁判さいばんごっこがひろげられている。卒業をひかえた私達は、学校に遊びに来てるようなものだった。


私「再確認しましょう、まず英子。貴女は昨年、私に『好きです。付き合ってください』と言いました。そうでしたね?」

英子「はい、その通りです」


 言い訳してる私が、何だか裁判長みたいになっている。別にいいよね? 三人しか居ないし、全員が当事者とうじしゃなんだから。


私「その時、どう答えたかは、おたがいにテンってたので記憶に無いですが。確か、『お友達から始めましょう』という結論になったと思います。ですよね?」

英子「はい……そんな感じだったと思います」


 英子はおぼえてないけど、これはうそである。私は恋人として、英子と付き合うと実際には約束したのだ。


私「そして英子が今回、『浮気うわき』と言った件は、私と美子が二人で映画を観た事です。しかし私と美子は友達同士。何の問題もありません」

英子「……冷静に考えたら、そう思います」


 英子がいてくれた。彼女は映画館の暗闇くらやみで、私が美子の体をあちこち触ってた事を知らない。美子には『友達同士どうしのスキンシップよ。普通、普通』と言っておいた。


美子「裁判長、異議いぎあり!」

私「何ですか、美子さん。まとまりかけたのに」

美子「私も英子さんみたいに、裁判長と仲良なかよくなりたいです。英子さんみたいに、お友達から始めてください!」


 私は裁判長ではいんだけど、そう言われた。「じゃー、三人でカラオケ。みななかふかめましょう。閉廷へいてい!」と私。「賛成さんせい!」と英子と美子。教室を出ながら、次は最近、気になっている椎子しいこも友達にくわえようと私は思った。

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