第42話 妹の様子がおかしい
「沙耶乃!?」
これはどういうことなのか……?
沙耶乃は俺に全裸で縦四方固めのようにがっしり抱きついていた。おまけに俺のパジャマははだけにはだけている。周りを見れる範囲で見回すと沙耶乃の脱ぎ捨てたブラジャーやパンティが散らばっていて、まるで事後のよう。
昨日のカラオケボックスのレッスンのあとのゆのちゃんとの別れ際に彼女の言った俺を想って歌うというのが引っかかってしまったらしい。
どちらかというと綾香に対しては余裕を見せる沙耶乃だったが、ゆのちゃんには嫉妬しているような素振りだった。
はっきり言って、俺にはもったいないくらいの沙耶乃が俺のことを想い、必死に掴んで離さない。そんな沙耶乃がかわいくて堪らなくなってしまう。
「お兄ちゃんは沙耶乃のこと……好き?」
彼女として、どうなのか……。
もちろん、沙耶乃のことは目に入れても痛くないくらい大好きだ!
「俺は沙耶乃のこと、大好きだよ」
「うん、知ってる……。でも、妹としてでしょ?」
あうう……。
その通りだった。沙耶乃に迫られてキスをしていたけど、俺から求めたことはない。沙耶乃の頬を撫でると、背に手を回して身体を抱き寄せる。素肌同士が触れ合い、俺は自分の意志で妹とキスした。
ん……。
キスを重ねるほど、沙耶乃のことが妹から彼女なのだと意識が少しずつ変わっていくように思えた。今は理性でヌードで迫る沙耶乃の気持ちをはぐらかしているが、理性がいつ崩壊してもおかしくない。
「春臣ー! 沙耶乃ー! 朝ご飯出来てるわよ!」
ビクゥーッ!!!
母さんから呼びかけられたことで、びっくりして身体が飛び跳ねそうになった。それは沙耶乃も同じみたいで、左右をきょろきょろ見て慌てている。
「いまいくよー!」
「はー……んぐんぐっ」
沙耶乃が母さんに返事しようとしたので、思わず口を塞いでしまった。すぐに返事したら俺たちが一緒にいると両親にバレてしまう。
一緒にいるだけならまだいい。
義理とはいえ兄妹なのに、どっからどう見てもえっちしてたと疑われてもおかしくないから。
俺はすぐさま沙耶乃に説明した。
「沙耶乃、ごめん……。一緒に返事したら、部屋にいることがバレるかもしれないし、こんなところ、見られでもしたら父さんも母さんも俺たちの交際を認めてくれなくなる」
沙耶乃が目を一旦閉じて、頷いたので口を塞いでいた手を離した。
「う……うん」
「じゃあ、なにかうえに着なよ」
お布団にくるまった沙耶乃に服を着せようとしたときだった。
トントントン。
階段をのぼる足音が響いてくる。反響から考えて、母さんだ。床をスリッパで歩いているのか、パタパタと音がしていたがピタリと止まるとガチャリとドアを開ける音がして、心臓が止まりそうになった。
「沙耶乃! 起きてるのー?」
隣の部屋で名前を呼んでいる声が伝わってくる。沙耶乃が返事しなかったことで母さんが起こしに来たらしい。
トントン、トントン。
これで母さんが入ってきても大丈夫!
と思ってたのだが、俺は重大な見過ごしをしていた。焦って対応しようとしたときだ。ノックされるとドアが開いて、母さんが不思議そうに訊ねてくる。
「春臣、沙耶乃来てない?」
「ん? トイレか、顔でも洗ってるんじゃない?」
平静を装い母さんに適当なことを伝えたが、額から流れる冷や汗が止まらない。
慌てて沙耶乃をクローゼットに隠して、お布団を仕舞うが、ノックされる直前に沙耶乃のパンティが床に落ちているのを見つけ、とんでもなく焦ったのだ。
乙女のパンティが見つかろうものなら、母さんの好感度はゼロになるどころか、変態のレッテルを貼られる。それだけなら、まだマシだろう。沙耶乃とえっちなことをしてるとかバレたら、家に居られないかも……。
「は、春臣……ごめなさいね」
不思議なことに母さんはぽっと顔を赤らめて、俺の部屋をあとにしてしまった。俺は真剣で斬りつけられるのとはまた違う意味で肝を冷やしている。
階段をおりる音を聞いたあと、沙耶乃に「もう大丈夫」だと声をかけたのだが、クローゼットから出てきた沙耶乃まで赤面してしまっていた。
あっ……。
慌ててパンティを隠したから、股間がもっこりしていたのだ。そ、そりゃ母さんも沙耶乃も恥ずかしくなってしまっても仕方ない。
股間に妹のパンティを格納する変態ニキ……。
隠し腕なら許されても、隠しパンティは許されないだろう。
まさにジ・エンド・O!!!
緊急事態とはいえ、沙耶乃にどう説明すれば良いのか、しどろもどろになってしまう。どうして俺は一難去って、また一難なんだろうか?
「沙耶乃、ごめんっ!」
パジャマのズボンのなかから、妹のパンティを取り出すというドン引きされるような状況……。それこそ紳士で高度なプレイをいたしたような感じ。
だけど、沙耶乃の反応は俺の予想を覆す。
「そこにあったんだぁー!」
「えっ!?」
薄い掛け布団で健康な男の子なら誰もが見たいと思わせる身体を隠していたのだが、沙耶乃は掛け布団をまるでマントのように捨て去る。
成熟した大人の沙耶乃のヌードが俺の目の前に!?
と思ったら、ちゃんとキャミソールからブラの肩紐が覗いており、ホットパンツも穿いていた。
残念……。
妹の裸なんて見ちゃいけない。だけど見たいと思ってしまった邪な心を持った自分が情けなく、恥入りそうなった。
つい先日、現国で習った太宰治の人間失格における冒頭の『恥の多い生涯を~』じゃないが、これでは沙耶乃の兄貴失格だ……。
情けなくて跪いて、まるで下僕のように沙耶乃に俺の股間で温めたパンティを渡す。これが草履なら沙耶乃さまは満足されるのだが。
「ありがとー、お兄ちゃん!」
これが本当のホットパンツならぬホットパンティを受け取ると沙耶乃は後ろを向いて、あろうことかノーパンだったホットパンツを脱ぎ始めていた。
「お、おいっ!?」
図らずも生着替えというか、生脱ぎを俺の目の前で沙耶乃は披露してしまっている。沙耶乃の白桃を思わせる美しい形の整った桃尻が俺の網膜に映し出されていて、見とれてしまい注意するどころか、無言で見とれてしまっていた。
沙耶乃は俺の純情をもてあそぶかのようにパンティを手馴れた手つきで穿くとサイドを持った指を離す。するとパチンとゴムが沙耶乃の素肌に当たり、音を立てていた。
(これじゃ、本当にまるで俺と沙耶乃がえっちしたあとみたいじゃないか!)
遠くない未来に俺と沙耶乃は……。
「お兄ちゃんが温めてくれたおパンツ温かーい! ちょっとお兄ちゃんに見られながら、着替えるの恥ずかしかったけど、これも予行演習だよね?」
予行演習っ!?
口に手を当てふふっ、かわいく笑った沙耶乃。俺は沙耶乃さまの手のひらのうえで転がされているような気分なってしまう。
「じゃ、またあとでね、お兄ちゃん!」
「あ、ああ……」
沙耶乃は軽く手を振り、俺の部屋をあとにする。それに力なく返事した俺。ひとりになって思ってしまうことがあった。
それにしてもあんなに成長していたなんて……。
影になっていたものの、俺の目の前で露わになってしまっていた沙耶乃のおっぱいに頭がいっぱいになり、妹に欲情する兄など最低だと思いつつも、沙耶乃は彼女なのだと、天使と悪魔がせめぎ合う。
(神々しいほどに綺麗だった)
ガキの頃、一緒にお風呂に入っていたときは沙耶乃も綾香も俺と大差のない洗濯板だったというのに甘い果実のように立派に成長していて、女の子ってスゴいと感心するしかない。
マジで危なかった。
沙耶乃の誘惑に負けて、えっちなことをしていたら、母さんに現場を押さえられて終わってた。
―――――――――あとがき――――――――――
お兄ちゃんとの子どもは5人くらいほしいとか言い出しそうな沙耶乃たんですwww やっぱり春臣は自重しなかった方が良かったという読者さまはフォロー、ご評価お願いいたします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます