第49話 ティス町特産料理
四日目の旅が始まった。
ミレイちゃんのおかげで、泉がなくても体をさっぱりできるので、とてもありがたいし、衣服の洗濯から、皿の洗いまで……もうミレイちゃんなしでは生きていけない体になったかも知れない。
朝食はみんなが望んでいたフレンチトースト。
お昼は
どこまでも続くと思われた街道も目的地――――ティス町で最後となった。
ティス町は人口五万人が暮らしており、町の中では比較的大きな町である。
特産品のトウモロコシにしたトーモロを生産を生業にしている町だ。
町の後方には黄色い畑がずらりと並んでいた。
ティス町について、いくつかある宿屋兼酒場でブレインさん達が愛用している宿屋にした。
「今日は俺達の奢りだ! ここの肉もまた美味いぞ! ――――ノアくんのお肉には負けるが」
「僕は作るだけじゃなく食べたい側なので、楽しみです」
ブレインさん達のおすすめのスペアリブを大量に頼んで、他にもサラダや町自慢のトーモロ焼きを頼んだ。
運ばれた大量のスペアリブに回りからも「おお~」と声が上がる。
二十人前を頼めば、こんな感じにもなる。
「セレナちゃん。遠慮なんてしないでガンガン食べてね!」
「うんっ!」
セレナがスペアリブを手に取って、珍しく「ふーふー」と冷ました。
「ノアっ、はいっ」
「お、お!? あ、ありがとう」
まさか僕に渡すとは思わず驚いてしまった。
セレナが冷ましてくれたスペアリブを手に取り、口に運ぶ。
噛んだ時、ソースのしょっぱさと肉の旨さが同時に口の中に広がる。
「うまっ!?」
「美味しい~!」
「だろ! ここのスペアリブは最高なんだよ~さあさあ、ライラさん達もどんどん食べてくれ!」
それから僕達は夢中になってスペアリブと、少し硬いパンと一緒に食べた。
スペアリブで腹が満たされ始めた頃、甘い香りが広がって、大量に積み重なったトーモロ焼きがやってきた。
早速食べてみる。
かぶりつくと、口の中にトーモロの甘い香りと風味が一気に広がって、噛むことで濃厚な旨味が、いっぱいだったお腹を感じさせなくする。
スペアリブを食べながらパンを食べて、トーモロ焼きで口直しをする。
このコンボは中々罪深いな……。
実家で暮らしていた頃の質素な食事を思い出して、兄弟達が少し可哀想に思えてくる。
それにしても、毎日こういう食事を繰り返したら……さすがに太りそうだ。
セレナは【暴食】の力でいくらでも食えるが、僕は色々気を付けないとな。
その日は、ブレインさんのおかげで、満腹になるまで食べることができて、セレナも初めて僕ではなく、違う誰かからの奢りを体験することができた。
さらに凄まじい食べっぷりに、酒場に集まった町民達から差し入れがある程だった。
やはり美味しそうに食べるセレナが世界一可愛い。
宿屋も一泊お世話になった。
僕はブレインさんと相部屋、セレナはエリナさんとシズルさんと相部屋、ライラさんとミレイちゃんは久しぶりに母娘で泊まった。
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