だから僕はアニメ視聴をやめた。

いずも

第1話

 子どもの頃はたくさんあった趣味も大人になると減ってしまった。新しく増えたものもあるが、多くの場合時間が取れないという理由で切り捨てたものもあるだろう。


 例えばアニメの視聴時間。十代の頃は毎週数本の新規アニメを視聴していたが、今や一本最後まで見ることすらままならない。こちらとしては積極的に見たいと思っていても、だ。


 理由は優先順位の低下だ。仕事で疲れた後に30分拘束されるのは辛い。だがそれはゲームでもYOUTUBEだって同じはずだ。


 つまりのところ、コミュニケーションツールなのだ。

 世間が盛り上がっている最中に同じゲームで遊んだり、同じドラマを見たり、同じ試合中継を見ることで会話のきっかけになる。同じ体験をしたという仲間意識を得られるのだ。


 会社の先輩夫婦は二人とも元々アニメなど全然見なかったのだが、動画のサブスク契約を機に一気にハマったようで正直私よりもアニメに詳しくなった。

 しかしそれは夫婦間のコミュニケーションツールとして機能しているのであって、他の誰かと内容を話し合いたいわけではない。何を見るか、当たり外れも含んで会話を楽しんでいる。視聴した作品の半分くらい奥さんは途中で寝ていたという話も聞くが、本人たちは気にしていない。


 もちろん自己完結している趣味もある。ソロキャンなんかそうだろう。勘違いしてはいけないのはあれはガチの世捨て人がやっているのではなく、他のコミュニケーションツールを持っているから自己完結型の趣味を楽しんでいるのだ。そんな人間に「寂しくない?」と問いかけるのは見当違いだし、表面上だけ真似しても面白くないのは当然だ。


 趣味とは究極的には他人のために行っているように思えてきた。結局の所アニメを見るのも会話のため。オタク話出来る友人と疎遠になってアニメも遠のく。創作のための視聴は趣味でなく義務だ。

 いつまで趣味を続けられるだろう。

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