第020話 黄金週間 The First-1

(side:日記)

4/29

いよいよ、この日がやってきた...と言うことで、ゴールデンウィーク。

まず、大事なのはソシャゲに使う時間と遊ぶ時間の割り振り方だ。とは言っても、基本的には普段と時間配分は変わらない。そんなわけで、今日もいつも通りの時間に起きて、習慣になっているランニングを済ませての流れを終わらせる。普段なら、弁当作りの時間だが、学校が休みだとこういう時間をソシャゲに回せるのは良いことだ。

昼ご飯を食べたら、篤人と映画に行く。映画割引券を貰ったらしい。実際に映画館に行ってから何を見るか決めた。今回は最近話題のアクション映画だった。結構面白かったので、DVD出たら買おうか本気で迷う。

晩ご飯は回る寿司。100円寿司ってある意味凄いよなぁ...普通に美味しいし。

GW初日は存分に楽しめた。明日もまた楽しんでいこう。


(side:リアル)

ゴールデンウィークという特別に長い休みに浮き足立っていたかもしれない。予定していた時間よりも1時間も早く起きてしまった。...要はいつもの時間。僕は割り切る事にした。やる内容が変わるだけで、普段通りに過ごそうと。取り敢えずは、二度寝も魅力的だが、最近の日課のランニングをする。走っていると普段は見掛けないような人も歩いていたりするのは長期休暇ではよくあることだろう。

僕はランニングなどの朝の日課を終わらせ、弁当作りの時間をソシャゲに回す。GWイベの無償の石。今日は4/29だから29個。大盤振る舞いか?これだから、ゴールデンウィークにガチガチのイベントを入れてくる所のソシャゲは神でしょ。ガチャの高レア度の排出率が渋いのが玉に瑕だが。

僕はイベントのストーリーを終わらせて時間を見ると、それなりの時間になっていた。この後、篤人と映画に行くし、早めに昼ご飯にしておこう。今日は冷蔵したご飯を使い切るためにオムライスにしよう、そうしよう。トロトロオムライスも好きだが、オムライスとチキンライスの間にチーズを入れるのが好きなので、僕は薄焼きバージョンにする方が多い。これぞ、The ランチ感があって良き良き。セットにコーンポタージュを。まぁ、インスタントだけど。

僕は昼ご飯を終え、篤人と待ち合わせしている映画館前に着くと女子に囲まれている姿を見つける。断ろうとしているが、肉食系とはああも群がるものかと感心していたが、映画の時間もあるし、篤人を回収しよう。


「篤人、待たせてゴメン。...悪いけど、僕の連れだから、離してくれないかな?」


僕が篤人の腕を取って回収しようとしたが、何故か僕も囲まれそうになった。この後、予約している映画があると嘘を言って無理矢理解散させることには成功したが。


「春、助かった...ありがと」


「全くだよ。まぁ、僕も巻き込まれるとは思ってもみなかったけどさ」


そして、僕たちはどの映画を見るかすぐに決ま...らなかった。


「おいおい、春...お前、こっち選ばないのかよ。原作読んでいるんだろ?」


篤人は恋愛映画を指差し、


「そういう篤人こそ、こっちを選ぶでしょ。1だって一緒に見に行ったでしょ」


僕はアクション映画を指差していた。そして、僕たちは両方の次の上映時間を見ると余裕がある。


「全く...強情な君と決着はアレで決めよう」


僕はとある物に視線を向ける。篤人も同じもの見るとニヤリと笑う。


「仕方がないか...負けても泣くなよ?」


「そっちこそ」


そして、僕たちは...ディベートしながらエアホッケーを開始した。


「ま...ずは!!1を見たのに2を見ないのは冒涜!!」


「いやいや、原作もアニメも読んだり見たりしているのに、スルーはしないだろ」


「甘い甘い!篤人の言う方は大ヒット間違いなしだからこそ、早い段階でサブスクが出る!というよりも、確定している!」


「はぁ!?マジかよ!って、あ!?」


「ふ、これで1点先取。ちなみに、僕の選んだ映画はサブスク未確定...まさに、優先順位からして僕の方でしょ」


僕は事前情報から動揺を誘って1点を奪う。僕と篤人のエアホッケー成績は五分五分。高い確率で接戦をしている。


「くそ!!だったら言うが、DVDの発売ぐらいは分かっているだろ!そっちで見るのも有りじゃないか?」


「同じことを返すよ。そっちのだってDVD決定しているじゃん!」


こうして、ディベートしながらのエアホッケーは予定通りの一進一退で進んでいた。そして、僕のマッチポイント。僕は自身の調子と篤人の調子を考える。お互いにディベートしながらのため、細かいところに意識が回っていない。今日の得点はストレートとフェンスの跳ね返りを交互に交ぜてのフェイントからの裏を取るのが非常に高い得点率となっている...はずだ。そして、篤人からして左。ここに隙がある。物理演算出来る相手なら難しいだろうが、あいにくと僕も篤人も出来ない。しかし、この角度ならおおよそのコースは掴める。だから、ここだ!!僕の放った円盤は篤人の左側のコースからゴールに入る...と思ったが、篤人がダイレクトで返してきた。左右に連続して高速で跳ね返る円盤に僕のコース予測が追い付かない。僕は止め損ねて得点を許す。


「終盤だから、理詰めで攻めてくると予想していたが大正解だな!これでラスト勝負だ!!」


僕は篤人の宣言に息を大きく吸い込み意識を変える。今日、僕は...この最後の1点をもぎ取る!!そして、再びの攻防が始まる。篤人は先程と同じような戦法で僕のタイミングを崩そうとしてくる。僕は必死に守る。そして、僕が円盤を返すと思いっきり前に出て、至近距離からの攻撃だ。まさに諸刃の剣と言える攻撃に僕は...篤人が今日は一度もしてこなかった攻撃にニヤリとした。僕はこれを待っていた。篤人が前に出て攻撃...がら空きのゴール。僕は高速で迫り来る円盤にタイミングを合わせて返す。円盤は篤人からのエネルギーを残したまま僕の打ち返したエネルギーを纏い一直線に篤人のゴールに吸い込まれる。篤人は戻りきることが出来なかった。

僕は片手を挙げる事で、この接戦の勝者であることを示した。


「あー...くそ...負けたか...」


「それじゃ、2で決定ー!」


「そういう話だし、仕方がないか...」


篤人は軽く肩を落としていた。


「まぁ、サブスクの方で近々するんだから、一緒に見る?」


「...そうする」


こうして僕たちの熱い戦いが終わり、前に一緒に見たアクション映画の続編を見ることになった。

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