第009話 試験の終わりは打ち上げと共に

(side:日記)

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今日が試験最終日だったので気合いを入れて学校に向かった。篤人も最終日だったのでピリピリしていた。

無事に終わった試験。そして、それは試験終了の打ち上げの人いうことだ。そんなわけで、篤人と夏奈と一緒に僕の家に向かった。玄関で琥珀と加藤さんと合流したので、昼は何のデリバリーが良いか相談するとピザとなった。家に着いてしばらく話しているとピザが届いたので皆で楽しく食べた。たまにはこういうのもありだと思った。

試験前に話していた通り、マルコの懇親会をする事になった。篤人や琥珀、夏奈と遊ぶために買っていたのだが、やっぱり一人でやるよりも面白いと思ってしまった。

そして、時間が時間なので、解散となった。久しぶりに琥珀の家族に晩御飯はどうだと呼ばれたので一緒にご馳走になる。昼と夜を一緒に食べるのは久しぶりだと感慨深く思ってしまった。


(side:リアル)

朝。最終決戦の日である。残り科目は英語と古文と理科、保健体育。ケアレスミスさえなければ、問題ないだろう。しかし、ライバルに今度こそ勝ち越すためには、そのケアレスミスが非常に重くなる。それはライバルも同じだ。僕は学校に行くギリギリまで粘る。

そして、時間となったので、学校に向かう。途中、篤人と合流したが、真剣な表情の篤人はなかなかに良い顔をしている。流石にちょっかいを掛ける気にはならなかった。

そして、試験時間。それぞれを順調に終わらせていく。見直し等をしたが、ケアレスミスさえなければ、満点の自信がある。

こうして終わった高等部一年の最後の試験。解放感に笑顔となる篤人と一緒に教室を出ると同じような笑顔の夏奈がやってきた。テストの話に花を咲かせていると玄関で琥珀と加藤さんと合流した。二人とも自信があるようだ。


「それじゃ、今から僕の家だね。昼は何を頼もうか?」


僕がそう聞くと各種出てくる。最終的にはピザと寿司の二択になったが、3対2でピザになった。


「よし、ピザに決定。あ、このクーポンあるんだけど、ここので良い?」


僕が持つアプリクーポンを見せると皆賛成だったので、やいやい言いながら決めていく。意見が纏まったので、信号待ちのタイミングで注文した。その後は、僕の家に着くまで試験の話で盛り上がった。僕の家に着いて、ゲーム機の準備とかをしているとピザが届いたので皆で食べた。


食後のマルコの懇親会の真剣勝負が始まった。何だかんだで2回やることになった。1回目はすんなりと終わってしまったからだ。そして、割と良い時間となる。


「ふわぁ...んん...流石に盛り上がりすぎて疲れました...琥珀ちゃんと先輩方、今日はありがとうございましたっ!!また遊びましょうね」


そう言って、加藤さんが出ていく。


「んじゃ、俺も帰らせて貰うわ。春も皆も今日は楽しかったよ。それじゃ、また来週」


次は篤人が帰る。


「ハルハルもハクちゃんもまたねー」


最後に夏奈が出ていく。僕は家の戸締まりをして琥珀と一緒に外に出る。目的地はお隣さん。そう、木島家の晩御飯にお呼ばれしたのだ。どうやら、テスト勉強の時の昼御飯をご馳走した際のお礼だそうだ。だそうだ、と言いつつも、琥珀と勉強する時は昼は僕の家で、夜は琥珀の家と言うことも少なくない。むしろ、先週のようなパターンの方が珍しいぐらいだ。


「お邪魔します」


僕がそう言うと琥珀は振り返り、


「キキ先輩、いらっしゃいです」


そう返してきた。


「おかえり、琥珀。そして、よく来たな、春希!おじさんとゲームで勝負しようじゃないか」


そう言って、迎えてくれるは琥珀のお父さんである直樹(なおき)さん。ゲームの師匠でもある。


「もう、入ってきて早々それはないわよ、直樹さん。琥珀ちゃんも春ちゃんもおかえりなさい」


直樹さんに怒りつつも、僕らに笑顔を向けているのは琥珀のお母さんで、昔から僕の面倒を見てくれた彼方(かなた)さん。僕は琥珀と顔を見合わせ、声をかける。


「「ただいま」」


僕も琥珀と直樹さんは晩御飯が出来るまでの時間、ポケットマスコットのゲームで対戦した。僕のゲームの師匠は相変わらずマスコットの特性や技などの組み合わせとかが上手い。結局は直樹さんには一回しか勝てなかったので、二位三位争いとなってしまった。


「三人ともご飯よー」


彼方さんの呼び掛けに僕たちはゲームを終了する。今夜のメインは豚の角煮。しかも、煮卵付き。この味の染み加減が素晴らしい。ご飯が進む進む。そうして食べ終わると、直樹さんと一緒に片付けをする。小学生の頃からお世話になっているので、勝手知ったる他人の家というものだろう。家の子になりなよとはよく言われたものだ。

片付けが終わった僕も直樹さん。先程の三人に今度は彼方さんも含めて、決闘者となる。昔はカードで集めていたが、データ化されたので、好きなデッキを手軽に持ち運べるのは時代だなと思った。


「よし、僕のターン!」


僕のデッキはマジックドルチェ。このデッキでtier1になった...そして、無事に琥珀には勝った。次は直樹さんと彼方さんの闘い。基本的に直樹さんの方がゲームは強いが、彼方さんはこのゲームに限り拮抗する。僕としてはどちらが勝っても苦戦必至なのだ。結果は直樹さんの勝利。彼方さんはとても嫌な顔をしていたが、どうしてだろうか。三位決定戦として先に琥珀と彼方さんの闘いが始まったが、バーンデッキのワンターンキル。琥珀の絶望の表情は忘れられないだろう。そして、次に一位決定戦。ポケットマスコットの借りはここで返す。


「「決闘開始!」」


先行は直樹さん。そして、最初に出したカードを見て彼方さんの嫌そうな顔の正体を知る。


「完全なソリティア系じゃないですか!?」


直樹さんの本気を甘く見ていた。一枚初動で始まるソリティア。何枚もカードを使うのに減らない手札。むしろ、増える。そして、デッキが残り数枚というところで、手札を公開する。そう...揃えたら勝利する伝説のカード。この勝負、僕のターンは来なかった。

その後、何回かのトーナメントをやって良い時間となった。木島家にお礼を言って、僕は家に帰る。

久し振りに昼も夜も両方とも誰かと食べた。


「あぁ...やっぱり、楽しかったなぁ...」


僕は寝る前に日記を書きながら、そう思うのだった。

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