第五話「イイワケ、ゲット!」

「ボフー!(訳:クマー!)」

 ユウはイイワケを採取すると、急いで地上へ降りた。辺りを見回し、元クマを探す。

 すると、

「お、重いぃ……」

「クマクマ、クマクマ(訳:言い訳させてください、言い訳させてください)」

「ボフー?!(訳:クマー?!)」

 死んだと思われていた元クマが、エクスキューズを下敷きにして倒れていた。

「ボフ! ボフフ?!(訳:女神! いったい何が起こった?!)」

 女神も興奮した様子で答えた。

「奇跡ですよ! 魔王エクスキューズさんがクッション代わりになってくださったおかげで、元クマさんは無事だったんです! 良かったですね、エクスキューズさん! 来世はもうちょっとマシな環境に転生できますね!」

 当然、エクスキューズには女神の声は聞こえていないため、苦しんでいるままだった。

 元クマはユウを見つけると「ボフクマー!(訳:ボフさーん!)」とエクスキューズの上から退き、呑気に手を振った。エクスキューズは重みがなくなって安心したのか、安堵の表情で意識を失った。

「クマックマ?(訳:イイワケ、採れた?)」

「ボフ。ボフボフ(訳:おう。これで元の体に戻れるぜ)」

 ユウと元クマは意気揚々と、魔王城を後にする。

 残された魔王の部下達は混乱した。

「なんてことだ! 我らのエクスキューズ様が、ただの村人に負けてしまわれるとは!」

「魔界にいらっしゃるお父上に、なんと報告すれば……!」

「エクスキューズ様! しっかりなさってください! あの村人とクマを倒してくださいませ!」

 後日、エクスキューズは魔界へ帰宅。「修行して出直してきてやる!」と悔し涙を流し、全世界に宣言した。

 放置された魔王城の屋根には、一番高い屋根に限らずイイワケが生い茂り、近くの村の特産品として重宝された。おかげで、ユウや元クマのように魂が入れ替わって困っていた、多くの人々を救ったという。イイハナシダナー。

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