第184話 緊急企画
2つ目のハントラリーを楽しくクリアした水龍ちゃんとトラ丸は、コンプリートしたハントラリーの紙と猫の手饅頭を交換すると、仲良く半分こして美味しくいただきました。
その後、水龍ちゃんは屋台で見つけたホットドックを購入しました。
「福引券をもらったわ。5枚集めると、福引が出来るらしいわね」
水龍ちゃんが、ホットドックを買ったときにもらった福引券を手に眺めながら呟きました。
福引券は期間限定で、特設会場に開設の屋台を利用した際、金額に応じて配られるようです。
福引券に書かれた説明を読むと、5枚の福引券と引き換えに、特設会場内に設けられた福引ブースにて福引が出来るとのことです。1等賞品は、なんと、ロニオンの街で使える商品券を金貨10枚相当で、ほかにもさまざまな賞品が用意されていると書かれています。
「金貨10枚分の商品券かぁ。プリンちゃん、奮発したわね」
「なー?」
水龍ちゃんが、福引を取り入れたのはプリンちゃんだと推察すると、トラ丸は可愛らしく小首を傾げました。
「それにしても、ほんと、屋台が増えたわねぇ」
「なー」
水龍ちゃんとトラ丸は、屋台で買ったホットドックを食べながら、一気に増えた屋台に目を向け、感慨深げに話します。
屋台は、昨日の倍以上に増えていて、朝には無かった屋台もあるので、どんどん増えているようです。
「さっそく、猫の手グッズの販売も始まってるわ」
「なー!」
水龍ちゃんが、今朝、猫の手グッズとして了承したばかりの手作り猫の手クッキーを見つけて嬉しそうに指さすと、トラ丸が、たべたーい! とキラキラとした目で叫びました。
仕方ないわねぇと微笑みながら、水龍ちゃんは、猫の手クッキーを買い、トラ丸と仲良く分けて食べました。
「う~ん、バターの風味が効いていて、とってもおいしいわね」
「な~♪」
水龍ちゃんとトラ丸は、猫の手クッキーを食べてご満悦です。猫の手の形をした可愛らしいクッキーは、街でも有名な菓子店が作った手作りクッキーで、サクサクと柔らかく、甘みもほどほどでとても美味しいのです。
『緊急企画開催のご連絡です。緊急企画開催のご連絡です。ただいまより、猫の手グルメラリーを開催いたします。――』
突然、会場全体にアナウンスが流れました。おそらく特設ブースから拡声魔道具を使って流しているのでしょう。
アナウンスによると、今から猫の手カップ特設ブースでグルメラリーの用紙を配るとのことです。記載されている8つの屋台グルメを購入するごとにスタンプが押されて、すべてコンプリートすると商品券がもらえるのだそうです。
「福引もそうだけど、このグルメラリー、なんだかノリノリのプリンちゃんが思い浮かぶわ」
「なー?」
水龍ちゃんの声に、トラ丸は、そぉー? と可愛らしく小首を傾げます。
「まぁ、イベントも楽しく盛り上がりそうだし、いい事よね。トラ丸、さっそくグルメラリーに参加するわよ!」
「なー!」
水龍ちゃんとトラ丸は、楽しそうに特設ブースへ向かいました。
特設ブース前は非常に混んでいて、スタッフが声を張り上げながらグルメラリー用紙を配っていました。
水龍ちゃんは、一番近くで用紙を配っていたスタッフのお姉さんから、赤色のグルメラリー用紙を手に入れました。
「3種類あるみたいだけど、混んでるし、あとでまたもらいに来ましょ」
「なー」
水龍ちゃんは、混雑する特設ブース前のようすを見て、まずは、手に入れた赤色のグルメラリーを楽しむことにしました。赤色のほかには、青色、黄色の三種類があるとアナウンスで言っていました。
「焼きそば、焼き鳥、野菜スープ……。これらを食べて回ればいいのね」
「なー!」
さっそく水龍ちゃんは、赤色グルメラリー用紙を見て対象グルメを確認しました。トラ丸も、たべるぞー! とやる気満々です。
水龍ちゃんのほかにも、赤、青、黄色と、各種グルメラリー用紙を手に食べ歩いている人たちが多いです。
「あ、焼きそばの屋台だわ。おいしそうね」
「なー!」
水龍ちゃんが、焼きそばの屋台を見つけると、トラ丸がキラキラと瞳を輝かせて、わーい! と食べる気満々に声を上げます。
水龍ちゃんは、焼きそばを購入して赤色グルメラリー用紙に猫の手印のスタンプを押してもらうと、焼きそば屋台の横に設えられたテーブルへ座りました。
多くの屋台は、正面にお持ち帰り用のカウンターが付いていて、側面に飲食用のカウンターが付いていて、屋台横のスペースに飲食用のテーブルを置いてあるタイプが多いです。
水龍ちゃんは、いつも持ち歩いているトラ丸用のお皿を出して、焼きそばを分け入れました。
さらにバックパックから小さなお椀とカップ、水筒を出しました。水筒にはお茶が入っていて、お椀とカップに注げば準備万端、さっそく焼きそばを食べました。
「おいしいわね~♪」
「な~♪」
焼きそばをぺろりと食べてしまった水龍ちゃんとトラ丸は、次なるグルメを探して屋台を見て回り、焼き鳥の屋台を見つけて購入しました。
「う~ん、どうせなら、いくつかのメニューを買ってから、どこかでゆっくりと食べたいわね」
「なー」
「いろいろなメニューを載せるトレーがあるといいわね」
「なー」
屋台の食べ物を1品ずつ食べ歩くのも良いのですが、いくつか買って、テーブルに広げて食べるのもいいものです。
そんなことを話したりしながら、水龍ちゃんとトラ丸は、急遽始まったグルメラリーを楽しむのでした。
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