第164話 ヒールポーションの作り方
水龍ちゃんは、ヒールポーション作りを行うために、トラ丸と一緒にダンジョンのお花畑へとやって来ました。ただし、今日は特大瓶と3号サイズの錬金釜を持ってきています。
今後、ヒールポーションを販売するにあたって特大瓶で納品する予定なので、今日はその予行演習といったところです。
トラ丸とヒールジカちゃん達がお花畑で元気に遊ぶ中、水龍ちゃんはせっせとヒールポーション作りを始めます。
さぁ、張り切ってヒールポーションを作るわよー!
まずは、美肌ポーションね。
ポーションケースから取り出してっと。
今日は3号サイズだから1瓶じゃ足りないわね。
ふふっ、分量は計算済みよ。
計量カップでちゃんと量って錬金釜へ投入っと。
次は、持ってきたデコポネル。
ハーブティーにするとオレンジ風味の甘みと酸味が出ておいしいのよね。
計量スプーンで量って錬金釜へドバっと投入。
あとは、魔法で水を出して……。
今日はちゃんと計量カップで量ろうかしら。
いつもは魔法でピッタリの水を出してるけど、改めて分量確認しましょ。
あ、小さな計量カップしか持ってきてなかったわ。
何度も量れば大丈夫よね。
誤差が大きくなるかしら……。
うん、魔法を使うし大丈夫よ、きっと。
よし、予定の水を魔法で出して浮かせておいてと。
そこから水流操作で計量カップへ注いで、確認したら錬金釜へドバっ。
めんどくさいけど、頑張れ私……。
……やっと水の計量が終わったわ。
魔法で水の温度を上げてっと。
温度計を確認。
うん、だいたい70度くらいね。
よし、ここからは時間との戦いよ!
ヒール草は、摘み採ってから時間が経つとダメなのよね。
なぜかポーション錬成がうまくいかないの。
ナイフよし!
まな板よし!
計量カップよし!
さぁ、元気なヒール草を摘み採ってまな板へ。
これくらいでいいかな。
手早く、刻んで計量カップへ。
うん、ちょっと多いくらいだけど、それくらいがいいのよ。
実験の結果、飽和っていうのかしら?
水に溶け出す成分の量は限界があるみたいなのよね。
ヒール草をたくさん入れても限界を超えるとそれ以上濃くはならないみたい。
錬金釜のところへ戻って、刻んだヒール草をザバッと投入。
さぁ、青い掻き混ぜ棒に魔力を込めて、ポーション錬成開始よ。
うん、錬金釜が大きくなったから掻き混ぜ棒が小さく感じるわ。
改めて温度調整をしながらゆっくりと掻き混ぜてっと。
ふふっ、淡い光とともに黄色いポーション成分ができてきたわ。
ぽわわと光るこの感じ、なんだか癒される感じがするから不思議よね。
温度は70度を超えないように注意しないとね。
70度を超えると急に苦みが多く出るようになるの。
おいしいポーションを作るためにも温度管理はしっかりとね。
うん、いい感じにキラキラ感も出てきたわ。
もう少しかな。
ゆっくりまぜまぜ、まぜまぜ、まぜまぜ……。
淡い光が消えてゆくわね。
あと一息よ。
まぜまぜ、まぜまぜ……。
うん、光が完全に消えたわね。
これでポーション錬成は終わり。
あとは、ろ過して冷やすだけ。
水流操作で、錬金釜の中身を空中にザバッと浮かせてっと。
液体だけを2本の細い流れにしてくるくるっとね。
直接特大瓶へと入れちゃいましょ。
うんうん、こうして螺旋を描いて流すのがいいのよね。
キラキラ、くるくると、なんだか見ていて飽きないわ。
それに、熱が空気中に逃げて冷えるのが早いのよ。
まぁ、魔法で温度を下げれるから必要ないかもだけど。
うふふっ、ヒールジカちゃん達もトラ丸と一緒に集まってきたわ。
ほんと、ヒールポーションの出涸らしが好きよね。
苦そうだけど、おいしそうに食べるところがかわいらしいわ。
その出涸らしだけど、なんか治癒効果がありそうな気がするのよね。
卵サンドは作らないけど。
ハンター達がむやみやたらに突撃したら大変だもの。
それに、出涸らしはヒールジカちゃん達が楽しみにしているしね。
さて、ろ過もそろそろ終わりね。
色、よし!
キラキラ感、よし!
少しだけ分離して小さな玉にしてっと。
香り、すんすん、よし!
味、ぱくっと、うん、よし!
いい出来栄えね。
水龍ちゃんが、小さなヒールポーションの玉を作ってぱくりと味見したのを見て、ヒールジカちゃん達は、そわそわし始めました。
「ふふっ、お待たせしたわね」
ろ過が終わり、水龍ちゃんは、ヒールジカちゃん達へそう告げると、ろ過して残ったヒール草の出涸らしを3つに分けてヒールジカちゃん達の前に差し出しました。
「さぁ、どうぞ」
水龍ちゃんが勧めると、ヒールジカちゃん達は一斉にパクつきました。いつもよりも大きな塊にヒールジカちゃん達はとても嬉しそうです。
水分多めの出涸らしですが、ヒールジカちゃん達は、むしゃむしゃとおいしそうに頬張ります。
「なー」
「ん? トラ丸の分はって? ふふっ、仕方がないわね。少しだけよ」
トラ丸が、羨ましそうな顔つきで水龍ちゃんを見上げると、水龍ちゃんは、人差し指をぴっと立て、水流操作で特大瓶から出来立てのヒールポーションを少しだけ玉にして取り出しトラ丸の前へと差し出しました。
「はい、どうぞ」
「なー!」
トラ丸は、嬉しそうに鳴くと、小さなヒールポーションの玉へとパクつき、とても嬉しそうでした。
「さぁ、特大瓶がいっぱいになるまで作るわよ」
水龍ちゃんは、まだ3分の1ほどしか入っていない特大瓶を見つめて、ふんすとやる気を漲らせると、再びヒールポーション作りに励むのでした。
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