第18話 ポーション錬成技術の資格
3級ポーションを作った水龍ちゃんは、おばばさまから、改めてポーション錬成技術の資格試験を受けてみないかと誘われました。
「ばばさま、試験を受けるか決める前に、そのポーション錬成技術の資格について詳しく教えてもらえる?」
「おう、そうじゃのう。資格について良く知らぬのに、試験を受けるかどうか決められるわけがないのう。ポーション錬成技術の資格についてはの――」
おばばさまが、ポーション錬成技術の資格について教えてくれました。この資格は一定以上のポーションを錬成する技術があることを認める資格で、この国でポーションを作って販売するために必要な資格だということです。
嬉しいことに、ポーション錬成技術の資格を取得するのには、ハンター登録のような年齢制限はないといいます。純粋にポーションを作る技術を持っていれば良く、年齢や性別、身分などの制約はないのだそうです。
そして、ポーションを作って売れば、安定した収入を得ることが出来るため、お勧めの資格だというのです。
「う~ん、なかなか良い話ね」
「そうじゃろう? どうじゃ? 試験を受けてみる気になったかえ?」
「はっ!? まさか!? 資格を取ったら強制労働を強いられるのでは!?」
「そんなん無いわ!」
「はっ!? 資格試験を受ける為に、高額費用の請求があるのでは!?」
「それも無いわ!」
はっとして、詐欺まがいの手口を想像する水龍ちゃんに、おばばさまは鋭く突っ込みを入れると、受験費用は無料だと教えてくれました。
なんでも、このロニオンの街は、近くにあるダンジョンに潜るためにハンター達が集まっているので、ポーションの需要が多く生産が追い付いていないのだそうです。そのため、ポーションを生産できる人材を増やすべく、ポーション錬成技術の資格受験費用を街が負担しているというのです。
「ばばさま、私、そのポーション錬成技術の資格試験を受けてみるわ」
「おお、そうか、そうか。次の試験は、明後日じゃな」
「明後日ね。ばばさま、それまでポーション作りの練習をしたいんだけど、いいかしら? もちろん、ばばさまのお仕事の邪魔にならないようにするわ」
「もちろんじゃよ」
おばばさまは、水龍ちゃんからの練習の申し出を快諾し、薬草は好きなだけ使っていいと言ってくれました。そして、試験で使用する器材についても詳しく教えてくれました。ほとんど、今日、水龍ちゃんが使っていたものと同じものですが、魔導コンロだけは少し性能が低く、温度調節がしにくいそうです。
その後、水龍ちゃんは夕食を挟んで、ポーション作りの練習に励みました。水龍ちゃんは、薬草のことや、錬成する時のちょっとしたことなど、気が付いたことをその都度おばばさまに確認しながら、じっくりと練習に打ち込んでいました。
翌日も、水龍ちゃんは、朝早くから起き出して、ポーション作りの練習に打ち込みますが、ハンターギルドのアーニャさんと図書館へ行く約束をしていたため、適当なところで一度練習を切り上げました。ちゃんと後片付けをしておばばさまの仕事部屋をきれいに掃除することも忘れません。
それから、水龍ちゃんは、朝のラッシュが終わった頃を見計らって、ハンターギルドを訪れました。そして、アーニャさんと一緒に図書館へ歩いて向かいながら、明日ポーション錬成技術の資格試験を受けることを伝えると、すごく驚かれました。
「読み書きを覚える速さも凄いけど、ポーション作りまで出来ちゃうなんて、水龍ちゃんて、マジで神童ね」
「えへへへへ」
アーニャさんの言葉に、水龍ちゃんは、嬉しそうに笑いました。
「う~ん、明日試験だったら、今日は図書館へ行くのを止めてポーション作りの練習をした方がいいんじゃない?」
「えっと、図書館でポーションに関連した本を読んでおこうと思ってるの。練習は夕方からやる予定よ」
「そうなのね、いい本が見つかるといいわね」
「はい」
図書館へ着くと、水龍ちゃんは、アーニャさんと一緒にポーションに関する本を探して読みました。
お昼が近くなると、なぜかハンターギルドのギルマスが図書館を訪れてきて、お昼ご飯をご馳走してくれました。ギルマスも水龍ちゃんがポーション試験を受けると聞くと、やっぱり驚いていましたが、がんばれと応援してくれました。
水龍ちゃんは、おばばさまの家へ戻ると、ポーションの練習をたくさんしました。集中しすぎて、おばばさまからのご飯の呼び声に気付かないほどでした。
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