第一世界 疾走の昇格試験
「月が出てきたなぁ」
今日は店じまいするか、と思っていると、シルバーの鎧が見えた。
「やってるか」
「はい、馬はそちらへ停めておいてください」
やってきたのは、風の国の騎士だ。ふぅ、と息を付く姿は、任務終わりだろうか。
「お疲れまさです。何を飲まれますか」
「テキーラ」
「えっ」
「ショットで」
「あっ、はい」
さすが、風の国だ。出した瞬間に一気に飲んで、さらにもう1杯。疾走感がある。
「どうした。疲れた顔をしてるな」
「あ、すみません。ちょっと今日は、言ってしまっては申し訳ないのですが、疲れが溜まってしまって」
「まぁ飲め。俺も飲む」
なんて男前だろう。ありがたく、水を飲む。
「悩みがあるなら、聞くぞ」
「滅相もない。私こそ、今日何があったのか、教えていただきたいです」
前のめりでそうか、と言う姿は、どこか寛容さを感じる。
「今日は昇格試験があってな」
「騎士団のですか!!どうでしたか」
「まぁ、大きな声では言えないが、手応えはあったな」
ニヤリと笑って、ショットを煽る。
「女王陛下も、直々に褒めてくださった」
「それは!!素晴らしいではないですか!!」
気持ちが一気に高揚する。飲んでいる水の味も変わった。騎士もご機嫌だ。
「ただ、あまり速さにこだわるのは、良くないとご指摘があった」
「えっ!?」
風の騎士と言えば、素早い行動力だ。勢いを大切に、切り込んでいく姿を思い出す。
「もう少し、落ち着いて考えて動けば、さらに良くなると言われてな」
ハハハ、と笑って、カップをこちらへ、向けてきた。これは、
「乾杯だ」
呆気に取られた。どこの風の騎士も、このような穏やかさを感じたことがない。
「私は移動しなければならないので、騎士様のお姿が見れず残念ですが、健闘を祈っております」
「あぁ、楽しみにしていてくれ」
しばらく笑いながら飲んだあと、馬を引いて、帰って行った。
なんとも素敵な終わりだ。
そして自分が飲んでいたのが、水ではなく酒だと気づいた。
『解説』
お客様:ソードナイト
お話:審判、太陽
アドバイス:女帝、戦車逆位置
結果:皇帝
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます