数は力。質も高ければなおよし。


「あ、あああ。あああ」


【陛下】は声にならないうめき声をあげる。なんで、どうしてこんなことに。



●【尖兵】サッチャー・ナイトハルトが死亡しました。

●【極光】イドリア・ホーネットが死亡しました。

●【花火師】アリス・アルベリヒが死亡しました。

●【勝ち馬】ヘルソン・アーカンソーが死亡しました。

●【精神科医】マックス・マスタングが死亡しました。

●【悟者】ハジメ・タチカワが死亡しました。



「止めろ!止めてくれ!」



死んでいく。自らが送り出した仲間たちが死んでいく。



●【騎兵】イ・ユンギが死亡しました。

●【妖怪】ファン・ティ・グゥエットが死亡しました。

●【演奏家】ドナルド・フランクリンが死亡しました。


あ、ああああ。


みんな、死んでしまった!49人!頭に彼らの声、顔、性格がフラッシュバックする。


何もできない!僕は何もできない!彼らの絶望と助けを求める声を想像してしまう。


確かに、彼らにとっては打算だけの関係だったかもしれない!


だが、僕にとっては数少ない、心を許せる人たちだったんだ!一緒に酒を飲んで、肉を食べて、とても楽しかった!ああ、どうして!





それに…




「よくも、マレニアを」



僕の大好きなユニット。彼女にどれだけの時間とお金を使って、育成したと思っているんだ!

彼女との思い出。隣り合わせで幾度となく戦場を駆けた。彼女と共にモンスターを倒し、珍しいドロップアイテムを獲得した喜び!かけがえのない思い出!



それを!よくも!



「許さない…!」



僕は自室から出、謁見の間へと進む。


そこには、僕に忠誠を誓うユニットたちが跪き、僕の言葉を待っていた。



「報復だ」



「!」



ユニットたちが歓喜の声を漏らす。ついに、ついにこの時が来たのだと。



「上位ユーザーとの決戦のために温存したが、もう出し惜しみはしない。全力で潰せ。躊躇うな。降伏も無視しろ。全軍出撃だ、既に派遣しているユニットたちと共に、殲滅せよ」




「さあ、進撃せよ!山田竜を討ち取り、我ら連盟の力を示」



「陛下!お取込み中、失礼します」


「貴様!一般兵ごときが謁見の間に入るばかりか、陛下の言葉を遮るとは、何事だ!」


「よい、何があった」


「は、はい!」








「各地の味方が襲われています!救援要請が止まりません!」



「なんだと⁉」












ところで、ホムンクルスだが今どのくらいの数がいるのだろうか。


ホムンクルス工場は日々拡大を続け、休むことなく増産を続けている。


それだけではなく、生産されるホムンクルスについても改良が続けられており、最初期のホムンクルスを遥かに上回る性能のホムンクルスが生産されるだけではなく、古い世代のホムンクルスも、統括個体を通じてアップデートが繰り返し行われ強化されている。



また、貴重なアイテムと合成することで、珍しい能力を保持したホムンクルスや強力かつ多様性にあふれた様々なホムンクルスが生産された。




その数、既に億を超えていた。


山田ドラゴンガチャ王国の真の脅威は、数である。国民皆兵士。それも死を恐れない、戦いを望み、戦いのために生まれたホムンクルス。



彼らは、戦いに飢えていた。望んでいた。暇であった。天使との戦争も飽きかけていた。



総動員令により、全ての血に飢えたホムンクルスが解き放たれる。



そこにあるのは、地獄であった。






【艦隊司令】はアイテムとして、宇宙を飛翔する、何百万人もの軍人を収容可能な、超大規模要塞が与えられた。この要塞内には造船工場も存在し、これらのアイテムを活用し宇宙艦隊を結成。


現状で唯一、星間航行が可能なユーザーである。もし他のユーザーが住む星を発見すれば、敵の攻撃が届かない宇宙空間から惑星に攻撃、勝利するという戦い方ができた。




今回要塞と星間艦隊はイベントのためにエリア内限界高度から地表に向け攻撃を行っていた。

要塞は艦隊に囲まれ、天使たちは激しい対宙射撃により、近づくこともできない。



はずであった。



《こちらラッキー1、目標を破壊した。これより帰投する》




たった1機のエースパイロットにより、艦隊は壊滅した。既にエースパイロットにより防宙艦、対空砲台、空母打撃群、主力戦艦、旗艦、精鋭戦闘機が揃って撃破された。艦隊の防空網はずたぼろ、この機を狙いホムンクルスが殺到し、星間艦隊は崩壊。


要塞に上陸するホムンクルスを阻止できず、ついには、何百万もの軍人が住む要塞にて、地獄ともいえる近接戦闘が行われていた。







【守護者】は、ユーザーの中で最も防御力に優れていた。ありとあらゆる攻撃に耐えることができる。そう考えていた。自らの鎧は、神の攻撃すら防いだことがあると自慢するほどに、防御力に信頼を置いていた。



「硬いだけだな」



一閃皇帝には、紙切れに等しい。彼の持つ【完全防御無視貫通】の前に切り伏せられた。一閃皇帝から剣を学んだホムンクルスたちに、防御力に優れていた騎士団は押しつぶされた。







【紳士】は【太陽剣】より『光の剣』を授与されていた。【紳士】はこの剣で、山田を討ち取ろうと一人で山田軍に挑んだ。数多くのホムンクルスを切り伏せた。切り捨てた。切り刻んだ。




「惜しいね。君は強い。でも、君より強い奴なんて、うちにはいくらでもいるの。」


黒髪ロングヘア―剣豪系女子高生。疲れ切った【紳士】の前に現れた少女。それは慈悲。剣士として、自らよりも劣る個の集団に圧殺されるのではなく、自らよりも優れた個に敗北したい。その願いのため、彼女はわざわざ【紳士】と一対一で戦い、そして【紳士】は敗れた。



「…無念。だが、悔いはない」







【劇団】とすべての配下は美術館の展示物となった。


【剣匠】は創り出した魔剣や聖剣を臣下である騎士団に貸し出していた。だが、すべての剣はホムンクルスに奪われ、【剣匠】はミナモトインダストリーにて確保され、現在労働中。



【怪獣】はその名の通り、怪獣を生み出す。恐るべきはその巨体。百メートル以上の巨体が武器だった。なんでも踏みつぶし、吹き飛ばす巨体。厚い脂肪で身を守るその耐久力。


怪獣との戦闘跡地は、暴食の魔王と魔人の指揮の元、ホムンクルスたちと共にBBQ会場へと変貌した。



【黄金】とその軍勢は、神父と最高司祭、聖女により溶かされて金貨製造の材料となった。















【陛下】直属部隊会議室



「ふふふ、ついに私たちの出番がくるなんて。少し早いとおもわない?」



【虚無】


虚無の王国を統べる女王。虚数エネルギーの研究者。

魔力を消費することなく自らを中心に虚無の軍勢を召喚可能。




「それだけ油断ができないということだ」



【継承者】

どの国家からも指定を受けていないにも関わらずその驚異の成長スピードで中位ユーザーにまで成長した期待の超新星。

一定条件を満たしたユーザーやユニットの能力を使用可能。




「なんでもいいよ。敵なんでしょ、そいつ。じゃあ、僕の安全のために殺さなきゃ」


【蝗害】

このゲームのことを誰よりも恐れており、生き残るために他者を殲滅する。

無尽蔵に増殖し進化する昆虫類を従えた彼らの軌跡は、飢餓の一言で終わる。




「おお、太陽剣…貴様の仇はとってやるからな」


【龍神】 

ユーザーの中でも僅かに存在する神性保持者。自らの血を分け与えた龍を覚醒状態に移行。配下の龍が強ければ強いほど神性が上昇する。

下位ユーザー『龍騎士』上位互換。




「まあ、気楽にいこうぜ。ほら、肩の気を抜いて、深呼吸深呼吸」



【ラッキーマン】ケニー・ロックハート    ランキング777位

アメリカ合衆国重要指名手配犯。現代の盗賊。

異常なまでの幸運により逃走を続け、ついにここまでという時にゲーム参加時の転移により逃走成功。なおこの幸運は与えられた能力やアイテムとは関係なく、ゲーム開始前より保有している生まれつきの物である。



「「「すべては陛下のために!」」」




【族長】オド

魔国東部領域総督兼第3軍司令官


【破滅の聖女】ベルダンディ

魔国宗教統制局 血盟の執行官

自身が率いる軍を生贄に捧げることで大魔術の行使や強化を行う。



【狂人】AAA

アルカディア帝国宮廷魔導科学院院長



「さあ、全軍出撃!」
























上記8名。

7号により全滅




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