く、なんて卑劣な!

もはや敵天使軍は総崩れだ。


前進し続ける我らホムンクルス軍に対して天使軍は組織的な抵抗が出来ず、ただ銃弾と剣で血の海で染まる地獄の最前線に兵士を投入し続けるという、ソ連軍も真っ青な人海戦術によりホムンクルス軍を物理的に押し止めている。



もはや地獄絵図。天使の死体は山のように重なり、ネクロマンサーによるアンデッド化や転生の祭壇による強制転生が追いついていない。



敵天使達は前線に出ればすぐに銃弾の雨が襲い、何とか陣地に隠れてもホムンクルス達により切り刻まれる。

さらに制空権を得たホムンクルス軍により爆撃、砲撃、機銃掃射。天使達は碌な抵抗も出来ず、撃破される。


既に天使軍の将校や上級天使などの指揮官級の天使が数多くがホムンクルスに討ち取られ、首だけとなって悪趣味な【首狩り記念館】にて展示されている。ホムンクルスは蛮族。天使達もダンジョン出身者達もそう話している。




そんな天使軍の士気は高い。何でだよ。




俺は早速、転生の祭壇にて転生させ、神である俺に仕える忠実なる天使、元上級天使にどうにかして士気を下げることが出来ないか、話を聞いた。



「あの………!今の私はあなた様に仕える天使なのですが………その………」


「もぐもぐ………ん、何」


「いやカツ丼食べながら話さないでくださいよ!」


「君も頼めば?このカツ丼作った食堂は出前もしてるよ」


「あ、そうですか。それでは遠慮無く」




ダンジョン第51層でハント!『松茸豚』を贅沢に使った新商品!


松茸豚は永遠の秋の山にて育った、1メートル級の松茸を食べて育った、暴食の邪神も唸る最高級豚!


松茸の香りと旨みが溶け込み、肉汁たっぷりです!



秋山食堂にて、好評販売中!







「冥府神エリオ。我々の世界において、死後の世界を支配し君臨する、最上級に分類される神です。その神があの山脈の下に眠っているのです。当然、士気も高いでしょう」


「だよなあ」


「そして、死後もなおその力は絶大です。今第14エリアを守る全ての天使や要塞に対して様々な能力上昇の加護を与えているのです。これは一部の兵しか知りませんが、死してもなお生み出す膨大な魔力を利用して各地の結界や砲台のエネルギーとしてエリア各地に供給しています。神は一種のエネルギー資源なのです。上層部は何としてでも、この無限の利益を産む神を死守しようとするでしょう。ですが、何事にも限界はあります。」



「おお、何かあるのか」



「ええ、ここは私に任せてください。私も同胞の苦痛を望みません。それに、神をエネルギー資源として使うなんて、余りにも酷いと思いませんか?」


そうして、彼が提案した作戦は………











「お前らぁ!こいつらがどうなってもいいのかぁ⁈」




「たすけてーー」


「このままではころされるー」


「うわぁーー、死にたくないーーー」





「く、人質だと!なんて卑劣な………」


「ああ、伯爵様!生きておられたのですか!」




そう、人質による脅迫作戦である。




・ガラテア記念騎士団長

・第4義勇軍副団長

・ミケル伯爵

・稲妻のハロルド

・聖軍陸軍中将

・異端審問官

・フューラー艦隊指令

・左翼司令部参謀長

・第561重装騎兵師団司令

・異界遠征軍第14エリア方面軍団長



他にも約100人の天使軍幹部達!彼等が拘束された映像を第14エリア全域に現在生配信中!


まあ、こいつらは全員、アンデッドになったり、転生の祭壇にて運命教会所属となった天使達、つまりは裏切り者である。



「皆、命を無駄にすべきではない。我々は負けたのだ。これ以上の抵抗は無意味だ、全ての責任は私が取る。慈悲深い神も我々を許してくれるであろう。」


「だんちょお………」


酷いマッチポンプだあ。




しかし降伏する兵士は少ない。だがまだまだ終わらないぞ!最後にこの方!





「さあ、上級天使エヴァンズ君!天使達を降伏させるような演説頼むぞ!成功すればボーナス(非課税)だ!」


「暴食の魔王様によるディナーもお願いします!」



もうこの天使俗世に染まってるな。



「あ、あれはエヴァンズ様!生きていたのですね!」



天使達が驚愕の声が聞こえる。

こいつは元々、この第14エリアの防衛部隊の司令官だったのだ。その部下を第一に考えるその心に多くの天使が彼に忠誠を誓ったらしい。実際こいつは撤退する味方の殿として戦い、ホムンクルス軍を足止めして戦死し、転生の祭壇にて蘇ったらしいのだ。




そりゃそうだ。彼は殿として奮戦する壮絶な最期を遂げたのだ。まさか生きているだなんて思ってもみなかっただろう。




「死ねー!」


「くたばりやがれ!」


「何で生きてるんだ⁈」



んん⁉




「諸君!降伏する必要はない!己の命尽きるまで、最後まで戦うのです。全ては神のために!」


「ふざけんなー」


「お前のせいでどれだけの仲間が死んだと思っているんだ!」



………なんか話が違うぞ?………ん、どうした参謀。何だこの報告書は。


何々…殿として戦ったと言うが、実際は味方を切り捨てて自分だけ一番に逃げだそうとしたが、すぐに味方に気づかれ、撤退する味方に一人置いて行かれ、追撃するホムンクルス相手に戦ったことで結果として殿となった。


他にも目に見える成果を出すために無謀な反攻作戦を幾度となく立案し、いたずらに兵力を消耗させた、己の保身しか考えていない。部下を第一にというが、その部下は大切にするのは自らの取り巻きだけである。




嘘は言っていない!言ってないけど!






「おっと、食事の時間だ。異教の軍隊は捕虜にも丁寧に食事を与えてくれる………うん、美味だ」




「な、なんであんなやつが………俺たちはまともに飯食えてないのに………」



「うう………酷い………」



酷いやつだ。















それでは、今日の無料ガチャ!






ガタンッ





R『寄生虫』




●寄生状態に入りました!貪る者『ウロボロス』があなたの体に寄生します!





は、はあああああああああああ!寄生虫!?俺の体にだって!




鑑定!とりあえず俺の体を調べろ!




●山田竜 


日本人なのに日本国に指定されなかった悲しい王様。


大学生(休学中)現在その所業により退学にするべきか日夜大学関係者により会議中。

趣味 パチンコ、競馬、宝くじ。


山田ドラゴンガチャ王国国王 現人神 運命教会最高神。



違う!鑑定したいのは俺じゃない!


というか、た、退学の危機⁉



ふざけんな!いつか大学を買収して俺を退学にしようとしたやつらクビにしてやる!


い、いやそれよりも衛生兵ィィィィィィィィィィィ!






●ウロボロスがあなたに屈服しました。ウロボロスは以後、眷属としての道を歩み始めます。





んん?




●称号【眷属誕生】を獲得しました。報酬として、第一眷属の能力が強化されました。



具体的には?



●大きく成長します!






衛生兵ィィィィィィィィィィィ!!!








その後、ウロボロスは俺に概念的に寄生しているらしく、俺から摘出することは困難らしい。




うーーん、どうしよ。










まあ、いったん寄生虫のことは置いておこう。まずは今日のログインボーナスであるアーティファクト確定ガチャコイン!





ガタンッ






HR『モーセの杖』




モーセは杖を振るうことで紅海を割り、海底を歩いて逃げるという力を見せた。モーセを追ってきた軍隊も同じく海底を進んだが、しかし海は元に戻り軍勢は海に沈んだらしい。



出現したのは、古ぼけた木製の杖であった。





こ、これは!モーセと言えば、あの人!海を割ることで有名なあの人じゃないか!



つまりは、あれか⁉この杖を使えば、海を割ることができるということか!



俺が力強く杖を振り下ろすと、その一瞬、海が割れるような轟音が響く。水しぶきが天高く舞い上がり、割れた海の間からは、色とりどりの珊瑚礁や優雅な海藻が生い茂った地面が見えた。


割れた海はまるで透明な壁のように立ち上がり、その中央には幅広い一本の道が姿を現す。



そして、海底に一本の剣が突き刺さっていた。






こ、これはもしや。






●『名も無き聖剣』を発見しました!ワールドクエストをクリアしました!報酬として『首都防衛司令部 極秘資料』がプレゼントボックスに追加されます。



ええーーーー、お前、こんなところにあるのかよ。


分かるわけねえだろ!








報酬として得た『首都防衛司令部極秘資料』は、エメリス共和国の首都ヴァーヴァルに関するものであるということがわかった。





どこだよ!










日本東京中央新聞




山田竜氏が指定国家であるキリバスやツバルなど、海面上昇に苦しむ国々に輸出したモーセ海水除去装置が活躍しています。


この装置は杖のような形状をしており、起動すれば指定の座標の海を割ることが可能です。この機能を活かして海水から陸地を隔離することで水の浸食を防ぐことができ、海面上昇問題に解決の目処が立ち始めました。


数多くの海岸線を有する国々で、この装置は有効に機能すると考えられ山田氏には感謝状や勲章を授与する計画が進んでいます。


一方で、日本政府が山田氏を選ばなかったことに対する批判が高まっています。専門家たちは、もし山田氏を指定していれば地球の国家に対して日本による強いリーダーシップを発揮し世界をリードすることが出来ていただろうと批判しています。








______________________________

あと10話以内に終わります。最後までよろしくお願いします。

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