プルプル、僕悪い侵略生命体じゃないよ

宇宙人、しかも侵略生命体である。首無しの時とは違ってそもそも地球の生き物ではないし、意思の疎通はできない。


首無し曰く、ガチャから排出されるユニットは俺の命令に対して拒否することはできないらしい。

なので、俺は

『勝手に吸収、侵略するの禁止』

『勝手にコピーするの禁止』

『勝手に増殖するの禁止』

『地球と生き物に対して攻撃禁止』


などの命令をした。



こいつは俺の命令に対しても何も反応せず、ぷるぷるとしていた。


だがこいつはどれだけ厄介そうに見えてもSSR。何かしら役に立つかもしれないし、こいつの性質を解明するためにも検証が必要だ。


そこで俺はある物を吸収させてみようと考えた。



とりあえず、九十二式7.7㎜機銃を侵食吸収、増殖するように命令した。


すると宇宙人(これからはスライムという)は、機銃に取付くとキュオンキュオンという音を発生させながら、機銃の表面全体にその体積を拡大させながら纏わり付き、そして波打ちながら機銃を覆い尽くした。



それからしばらく立つと、機銃はスライムによって吸収されたのか跡形も無くなり、スライムは機銃の体積分大きくなった。


ここまでは想定通り、俺は機銃をコピーするように命令するとスライムは九十二式7.7㎜機銃の姿となった。見た目は銀色の金属で出来た九十二式7.7㎜機銃そのままだった。



なるほど、見た目はスライムと同じ色の金属に変わっているが、ほぼ完璧にコピーできるのか。


よし、もう元に戻っていいぞ。


………


機銃は俺の方向を見て、黙っている。何かを俺に訴えかけているようだ。



………なんだ?よく分からないが、俺たちを傷つけないなら、何でもしていいぞ。


スライムはショッピングモールの壁を向くと、ドンッという銃声とともに一発の弾丸が発射された。



●破壊不能オブジェクトです!



銃弾は壁の手前に落下し、液体金属となって機銃の元に戻る。




スライムは元の姿に戻り、10体ほどに分裂した。


その見た目はなんだか誇らしげだ。




………えっ、その機銃には銃弾は入ってないはず。こ、こいつ、どうやって銃弾を生み出したんだ?

まさか、学習したのか?吸収した機銃から、この機銃がどういった物なのか、これを動かすには何が必要なのか学習理解して、その結果として弾丸が必要だと考え生産し、発射したというのか。



………こいつは、俺が思ったよりもまずいかもしれないな。

俺は餌として与えるオレンジジュース以外の侵食吸収コピー、増殖、そして機銃の姿となることを禁止した。






では、今日のログインボーナスは『宇宙関連アイテム確定ガチャコイン』


宇宙、なにがでるにせよ、今は必要の無いものだ。




それでは、ガチャ!





ガタンッ






C『自転車』


自転車。英語ではバイク。ふたつの車輪を前後に並べた構造をもって走行する二輪車のこと。

その起源は1817年にドイツ人のカール・フォン・ドライス男爵が発明したドライジーネが起源。

第一次世界大戦、第二次世界大戦では自転車部隊が多く設立され、自動車が量産されるまでは活躍した。

日本の道路交通法では「軽車両」に分類される。






…自転車?


出現したのは、何処にでもあるような鍵なしの赤い自転車だった。


………え、なんで自転車?宇宙関連アイテムだよね。



………宇宙飛行士が体力強化の訓練に使っている自転車だろうか。

鍵なしの自転車らしいので乗ってみる。うん、普通の自転車だ。


そう思っていると自転車が浮き出した!自転車が空を走っている!ゆっくりとだが確実に進んでいる!




うう、面白い。このまま俺はショッピングモールの2階に向かおうとする、しかし自転車がひっくり返った。うわぁ、墜ちる!


と思ったら、落下しなかった。俺と自転車は逆さまになって走り続ける。




検証の結果、自転車に乗っているあいだ、自転車の周りが無重力になることがわかった。



うーーん、これは宇宙関連アイテムなのか?いや、これってあの指と指を合わせる映画の自転車なのか!?





続いては、無料ガチャの時間です。


さあ、来い!






R『スキル【ミダースの手】』


ミダース。ギリシャ神話に登場する王の一人。

オリュンポス十二神の一柱、ディオニュソスの養父を助けたことでその礼として、触れたものを黄金にする能力を願い授かった。彼は枝や石を黄金にし喜んだが、しかし食べ物や飲み物も黄金に変わり餓死の危機に陥る。

飢餓からの解放を彼はディオニュソスに祈り、そしてこれを聞き入れたディオニュソスはパクトロス川で行水するように命じ、その通りにすると川底の砂が砂金に変わり、能力は失われたという。

これとは別に、王様の耳はロバの耳で耳がロバになった王様としても有名。




このカプセルを開けても何も起きなかったのでシステムを開きスキル一覧を見ると、浮遊に加えてミダースの手というスキルが加わっていた。



なるほど、排出されるスキルは自動的に俺に取得されるタイプと電気ショックのように本として出現するタイプの2つなのか。



さて、スキルの詳細は………



●ミダースの手

スキルを使用すると触れた物体を金に変えることが出来る。消費魔力は黄金化する物体の体積に比例する。黄金に変えた物体に対しもう一度触れてスキルを使うと、元の物体に戻る。



………よかったぁ、これで餓死することはなさそうだ。万が一のことがあっても元に戻せるらしい。よかったよかった。


俺は早速みかんジュースを黄金化した。へえーこれが金か。結構綺麗だな。



………さて。



クエスト機能という物がある。このクエスト機能は指定国家制度の解放に付属してきた、システムの一つだ。





●クエスト

ユーザーとユーザーを指定した国家はクエストという形で取引を行うことができる。基本的に国家からユーザーに対してクエストは発注され、ユーザーの側からはできない。

発注できるクエスト数には制限が存在する。


取引は基本的に対等な関係かつ、等価交換で行われる。




今日の朝からこのクエストが数多く届いていた。

ほとんどがベーコンキャベツと生活必需品との交換を希望していた。



だが、このミダースの手というスキルを習得してから、一つのクエストが届いた。





●『君の建国を認めよう』

依頼主 シーランド公国 マイク・バーツ公

要求品 金100キロ

報酬  山田ドラゴンガチャ王国の承認と山田ドラゴンガチャ王国とシーランド公国との間の平和友好条約の締結




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