新たな家



排出された11人の兵士はすべて若い男性で、まともな人間だった。

彼らは自分がガチャで生まれたということを自覚しており、そして一般的な兵士であり人間なため。首無しやカメラ人間に対し非常に驚いていた。


重要なのは彼らが兵士という設定のため、兵士としての教育を受けているということだ。


彼らはパイロットや潜水艦搭乗員など、今はその専門性を活かせないが、全員が体力やコミュニケーション能力、そして銃を使うことができるため戦力としては非常に有能だ。一部のユニットは銃を持参している。


動物兵ユニットとは違い、初めて人間の正規兵ユニットが手に入ったのだ。


さらに衛生兵がいるのは大きい。彼はこの中で唯一の医者であり、俺たちが怪我をしても適切な治療をしてくれる。健康面での不安も解消されたとみていいだろう。

ショッピングモールの空き店舗を医務室として貸し出した。


いつ、俺は交流戦システムがガチャから排出されるかわからない。

この地雷のような交流戦を引き当てるまでにある程度戦力を整えなければ、敵に蹂躙されてしまうだろう。




ではガチャの続きだ。


まずは住居確定ガチャコイン。これは非常に嬉しい。さすがに何十人で家具屋生活を送るのは限界だ。

もし普通の家が排出されたならば、家電一式や国土の拡張もできるだろう。



それでは、ガチャ!




ガタンッ




UC『アポロホテル【プリンス東京】』



それは出現した。


ショッピングモールが僅かに長くなり、そしてその長くなったスペースに通路が新たに発生していた。その短い通路の先には、豪華に飾られたホテルのエントランスが広がっていた。



そしてエントランスにあるホテルの説明には要約するとこう書かれてあった。


ホテルアポロ。

俺でも知っている日本最大級のビジネスホテルグループ。そのグループの日本で最も巨大なホテルこそ、ここプリンス東京。地下5階、地上60階、高さ200メートル以上の大規模ホテル。


なんと客室は2000を超えるという。やった!つまり最低でも2000人までガチャから排出されても大丈夫ということじゃないか!


地下にはレストラン街、無人で食材なども置いていなかったが広がっており、そして大きな宴会場まで設置されてあった。


公衆浴場よりもより大規模な大浴場、プールやジム、屋上の展望台に結婚披露宴会場!



すごい、これで生活の質上がるなぁ。


幸いにして電気ガス水道は使い放題のようだ。俺たちはフロントで鍵をかっぱらい、好きな部屋を占有した。

どの部屋にだれがいるか分かるようにフロントのパソコンに入力し、そして家具屋から好きな家具などを持って帰って自分の部屋に置いた。


これで完全なプライベート空間を手に入れることが出来た。

正直、すごく気が楽だった。










一眠りして俺はガチャの前に戻ってきた。






高レアリティユニット確定ガチャコインだ。高レアリティ。高レアリティというのが分からない。ゲーム的に考えてSR以上だろうが、この運営は意地悪なのでもしかしたらR以上かもしれない。



だが、どんな奴が来ても大丈夫。

今までいろんなユニットが出来たほとんどが役に立つか将来的に役に立つ可能性を持った奴だ。


さあ、来い!






ガタンッ







お、金色だ!SSRって刻まれている!来たっっ!



SSR『地球外侵略金属生命体』







耳障りな音が響く、きゅうきゅうと、機械のような音だ。


空中にワープ空間の入り口のような物が開く。これまでのガチャは何も無いところから突然発生していた。こんな入り口が発生したことは無い。つまり、特殊演出。





どちゃり。



ワープ空間からそれは墜ちてきた。



出現したそれ、いや物は蠢いていた。ぐちゃぐちゃと。どろどろと。まるで液体のように、しかし意思をもって動いていた。スライム状の塊となって、無言でこちらをみる。




あ、やばい。俺またとんでもないもの引いちゃったよ。



鑑定!



●『地球外侵略金属生命体』


液体金属で構成された生命体。触れた物に対し侵食を行い、文字通りすべてを吸収する侵略生命体。吸収したエネルギーで増殖を行い圧倒的な物量ですべてを吸収し、それらのコピーを行う。別名星喰らい。





わーお。



う、宇宙人だ。地球産ですらない。


しかも友好的じゃないよ、どう考えても人類に対して敵意ましましだよ。


………あーーーーーー、初のSSRが首無しでよかった。こんな奴の仲間が5体とかマジでやばかった。






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