第3話
毎日が憂鬱になった。最近見なくなっていた、あのトラックの悪夢をまた見るようになった。また、生きていることに絶望しそうになった。
こんなのは、幼稚園以来だ。しっかりしないとな。
ーーピロンーー
あの決別を受けてからもうすでに8日間がたっていて、その日の放課後を迎えていた。ボクは未だに心の整理をつけられていない。
『今日一緒にゼリアでご飯でも食べね?』
携帯メッセージ。誰からかと思ったら達彦からだった。
正直、ボクは自分が許されるとは思ってない。たぶん、この誘いも何か違う意図があってのものなのだろう。
ボクが達彦にした仕打ちを考えれば、彼のこの提案を退けることはできないに等しい。
でも、もしこれがボクへの今までの恨みつらみを晴らすための呼び出しだとしたら、行きたくない。
例え親友じゃなくなったとしても、あいつとの思い出は、楽しいままのものでいさせたいから。
だからボクはこのメッセージを無視した。ついでに、あいつのアカウントもフレンド帳から消してやった。
あいつはやっぱり優しいから。幼なじみのフレンドメッセージも消さないほどに優しいから。だから、何の気兼ねもないように僕がやんなきゃだめなんだ。
『フレンドを削除しますか』にはいと答え、津久井達彦をフレンド帳から消す。これであいつとの関わりは何もなくなった。
これであいつはボクなんかに縛られることなく、これからの学校生活を楽しめる。
ボクは…。ボクは何だろうな。人に対して優しくしないといけないことを学べたかな。前世では全くこういった絶縁宣言などなかったから。いい経験になったのかな?うん、いい経験になった。
ポフン、と布団にダイブする。ボクの体が、柔らかい布団に包まれ、少しの間悩み事を忘れさせてくれる。
自業自得だと言うことは理解している。それでも、もう一回だけでも、やり直したいな。
こう考えると、ボクって幼稚園以来ずっとあいつに依存していたのかもな。でも、仕方ないじゃないか。
死の恐怖、生への恐怖。それらがどうあっても拭われることなくボクの頭の中に巣食っているんだ。
怖い。怖いんだよ。最近は自分が本当に生きているのか毎朝鏡と睨めっこして。
でも、生きていることに嬉しさを抱いている自分を嫌悪して。
「ああ、地獄だ」
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