第2話

「おいおい、タツヒコ。おまえ最近どうしたんだよ。佐倉さんと最近会話してないじゃん。ケンカでもした?」


「いや、ケンカなんてしてないぞ?ただ、ちょっとな」


中学に入って以来の親友である神藤涼成かんどうりょうせいが心配を少し入り混じりた声で俺に話しかけてくる。


確かに、最近ユウ子とは話すこともおろか、目も合わせないようにしているが、ケンカではない。


ただ、俺以外との会話が少なすぎるから、もう少し社交性を身につけてもらうための致し方ない処置である。


「かぁー。いいご身分ですこと。学園のアイドル様との惚気ですかぁ?男子であんなに気安く話しかけてくれるの俺だけだぞアピールですかぁ?」


「ちげぇよ。誰がそんなアピールなんかするかよ。というか、あいつが学園のアイドルなんかつとまるかよ。せいぜいがただのクソガキだぞ」


「文武両道。品位行正。誰にでも優しいうえにあんなに可愛いんだぞ。あの人以外に学園のアイドルなんていないって生徒会長も言ってたから」


「生徒会長ってお前、なかなかに友好関係広いな。というか、品行方正だろ?」


「そんな細かいことは気にしないの!むっきー!俺もあんな女の子が幼なじみの人生を送って見たかったよぉ!」


「本気で泣くなよ、みっともない」


あいつと幼なじみってだけで、こんなに羨ましがられるなんて、こいつに言われるまでは正直気づきもしなかった。


あいつ、佐倉優子は俺の幼なじみだ。物心ついた時にはすでに一緒にいて、ずっと遊んでいた。と、思う。まあ、小さい頃の記憶なんであまり覚えていないって言うのがホントなんだが。


「まあ、お前の気持ちなんてどうでもいいんだわ」


「いや、よくねえだろ」


「それもりも、佐倉さん見てみろよ。なんか今までに見たことないほどの素晴らしい負のオーラを放ってるんだけど?やつれているとか言う次元じゃないんだけど??」


「そうだな」


「そこんとこ、どうお考えです?原因、一個しかないと思うんですけど」


「…。それは分かんないだろ」


「社交性っつったって、普通に会話してるだろ?お前以外とも」


「いや、でも…」


「お前が何を考えているのかまではわからない。でも、もうあれ以上あんな状態の佐倉さんを俺は見たくない」


「さては貴様それが本音か」


「まあ、お前がどうするかはお前に任せる。でも、これ以上アイドル様をあんな状態にしてたら、学校の男子どもに刺されるだろうから気をつけるんだな」


「俺刺されるのか?怖すぎだろ」


じゃあな、といい涼成は席を立つ。そして俺に背中を向けてどこかへと歩き始めた。いや、あいつ、授業5分前だけどどこ行くんだ?


「俺はちょっくら、トイレに行ってくるよ」


え?間に合うそれ?

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