【完結】普通のts少女
まるべー
第1話
ボクの今世の名前は
「あのさ、ユウ子。もう、話しかけないでくれない?」
そして、そんなボクは今、転生して以来の幼なじみ兼親友とケンカをしているのだった。
ボクが転生した理由は、ただの交通事故によるものだった。
まあ、ただのって言っても、あのでかいトラックが前から突っ込んでくる恐怖感は、今でも夢に出てくるほどに自分にとっては最悪なことだったが。
そんなこんなで恐怖と激痛のもと一度この世を去ったボクは、正直、生まれ変わったことに絶望していた。
だって、よく考えてみてほしい。もう一度あの恐怖をボクに味わえと言うのだぞ?死に対する恐怖、激痛。生きて何かをすると言うよりも、あのまま死ねた方が楽だった。
でも、ボクには自殺なんてする度胸はない。それに、今世の親もなかなかにいい人だった。
前世を持つせいで他の子供とは違う奇妙な子供だったにも関わらず、ちゃんとボクに愛情をもって接してくれたのだ。
そんな人たちを悲しませるのは、もっと嫌だった。
そんな時だった。あいつが話しかけてくれたのは。
ボクがいつも通り幼稚園で一人ぽつねんと死んだように部屋の隅で丸まっていた。まあ、言い訳じゃないけど当時のボクは自己嫌悪しかしていないような人間だったからね。遊びに誘われても、関わろうとすらしなかった。
でも、当時転園してきた
そんなことはいけないはずなのに。人様の子供を一人殺して、その場所を奪い取ったようなボクが、そんな感情を抱いてはいけないはずなのに。
でも、そんな僕の
あいつといる時だけは、生まれ変わったっていう恐怖を味わうことなく、心の底から楽しむことができた。
だから、だろうか。前世からの悪癖で、あいつのこともいつしかコンプレックスを揶揄うようになってしまったんだ。やれ忘れ物したんだとか、やれ僕に腕相撲で負けるのとか、やれ定期テストで3点取ったとか。
あいつは優しい性格だ。でも、こんなにさんざん言われたら、たとえ幼なじみだとしても嫌になるだろう。
実際、今がそうだ。もう、なんだかんだで7日間も会話していない。目すら合わせてくれない。
あれは、ケンカですらない。彼の、ボクに対する決別だ。
ボクは本当に、嫌われたんだ。
言い訳なんてしない。でも、また親友に戻りたいよ。
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