あっという間にレベルアップ

夏空蝉丸

第1話

 スライムが襲ってきた。通常色の青、大して強くない奴。はっきり言ってかなり美味しい。これでレベルアップできる。


 スライムの動きは緩慢だ。恐れるところは何もない。俺は剣を下向きに構える。襲う気があるのか無いのか、意図が理解できないように左右に動いているスライムを俺は一刀両断する。


 狙いは互い寸分違わずに直撃し柔軟性のあるスライムの皮膚を容易に切り裂き二分する。これで終わりだ。ゴールドスライムのように核を破壊するまで死なない。なんてことはない。飛び散る酸を浴びなければ怪我をすることもない。


―― トゥトゥルー ――


 レベルが上った音が聞こえた。これで俺もレベル10000だ。とうとう大台に乗った。5桁だ。冒険者としてかなりものものじゃないだろうか。ほんと、この世界ではレベルが簡単に上がる。こんなに簡単にレベルが上っていいわけ? って聞きたくなる。


「よお、どうよ兄弟」


 俺が森を探索していると、俺と同じようなソロ冒険者が話しかけてきた。こいつもこんなところをウロウロしているなんてかなりの実力者に違いない。


「ぼちぼちだな。そっちはどうよ兄弟」

「レベル9800になったぜ。だが、ここの先はちょっとヤベえぜ。流石の俺でも一人だとちょっと危なすぎると思って進めなかったんだ。良かったら一緒に攻略しないか?」

「分け前は半々で良いか?」

「別にそれでいいぜ」


 俺はソロ冒険者と即興パーティーを組むことにした。これより森の深淵部に進むにはリスクヘッジをいくらしたとしても足らないってことは無いはずだからだ。


「敵の気配だ」

「おうよ」


 俺は剣を構える。またまたレベルアップのチャンス。と考えていると現れたのはウォーウルフが一体。


「おい、ウォーウルフだぞ兄弟」


 俺が声をかけると既にソロ冒険者は逃げ出している。


「ちょっと待てよ」


 俺も慌てて逃げ出す。こいつを倒すにはレベルが100000くらいないと無理だから。


 

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