三十二日目 転校生
「なあなあ、今日転校生が来るって噂聞いた?」
「聞いた聞いた。噂によるとめっちゃ強くて、かっこいい男子らしいよ。」
「更にはうちのクラスに入ってくるらしい。楽しみだな。」
色々なことが終わったので、またスマホの中での生活に戻った俺の耳にそんの言葉が聞こえてくる。
この時期に転校生なんて珍しい。
まー、ひとまずもう事件は懲り懲りだわ。
とりあえず向こう1年くらい平和に暮らさせてくれ。
無理な願いなんだろうけど。
「敦也と璃子。今日放課後遊びに行こうよ。」
「おっいいね。敦也どっか行きたいところある?」
「久しぶりにゲーセンとか良くない?」
「一旦栞にも聞いてみる。」
と、放課後の予定をねっているところに先生が入ってくる。
「はーい、みなさん席に座るですよー。今日はなんと転校生がきたですよ。」
ま、顔だけ見てみるかを知ってる人かもしれないし。
「どうも、転校生の
「なんでだよっ!」
おれがフルパワーで投げた辞書の角が13の額にクリティカルヒットして赤い跡を残す。
「敦也くん、転校生にいじめは良くないですよー。」
「それはすみません、気をつけます先生。」
「それでいいですよー。」
それでいいのか。
隣で璃子がどうしたの?と声をかけてくるが、俺は声にならない声をあげて後ろに倒れ込む。
海稀や栞など俺の事をわりと知ってる人は、強いというワードから連想できたらしく、あ〜と、言っていた。
まだまだ暇にはならなさそうだな。
俺の叫び声が蒼く高い空に吸い込まれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます