十二日目 阿紫上敦也の日常

「敦也、どういうことか説明してくれるよね?」

目の前には凄絶な顔の璃子。


その前には床に正座した俺。


『冴える』は引っ込んだのでいつもの状態。


ちょっと膝が痛いとかは気にすることでもない。


璃子に比べたら!


怖い…。


「まず、敦也は第一位だったの?」


「申し開きの余地もございません。」


「じゃあ最初から黙ってて私に目の前でファンコールさせたわけだ。」


何か尋問始まってない?


「璃子としては嬉しくないの?」


「第一位が近くにいて嬉しいのと、こんな奴が、って言うので半々かな。」


クラスメイトは黙ってやり取りを見る。

助けてよ!


かれこれ数十分のお話(?)の末にようやく解放される。


下校中。


「そういえばさ、飛ばされた第四位。大変だったらしいよ。」

と栞。


確かにちょっと申し訳ないとは思っている。


「レベル5の中でも敦也のファンは多かったから、割とすぐ降伏したのかもね。」

と続ける。


「へー。ファンねぇ。」

璃子がなんか怖い。


「まだ根に持ってるの?なんか怖いんだけど。」


「いーやー?」

なんでいちいちそんな怖いの?


璃子の視線から逃れるようにして首を上に向ける。

視界いっぱいの青空が目に痛い。

こんな日々はどれくらい続くのだろうか。

俺にも分からないが、これだけは言える。



俺の日常は、これから。

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