第2話 野球が、風評被害!「先生?野球部の練習で、うちの子が走らされるんですよ!たかが、野球なのに!」親も、親。そこにきて、「ゆる部」。

 部活説明会での親の質問が、意味不明。

 「先生?スポーツは、安全におこなうものですよね!」

 「けがをしたら、スポーツじゃないですよね?」

 「うちの子は、安全ですか?」

 …はあ?

 本当の運動は、けがをするかもしれないとわかっていても、苦しさに、立ち向かっていくものなんだぞ!

 けがをするのが運動なんだと、言っているんじゃないんだ。

 けがをするリスクも考えながら立ち向かっていくのが運動なんじゃないのかと、言いたいんだ!

 「お父さん、お母さん!」

 「何だ?」

 「どうしたの?」

 「中学には、はげしい運動の授業があるらしいんだよ?」

 「何だと?」

 「それ、たしかなの?」

 「僕たち、苦しめられるのは、いやだよ!皆で、一緒に手をつないで、楽しくゴールインしたいよ!」

 ゆとっているねえ。

 「僕たち、疲れたり、痛い部活に入りたくない」

 「父さんにも、お前の気持ちがわかる!」

 「今度、先生に、言ってやりましょう!」

 これが、部活説明会の、変わった発言につながる。

 「先生?うちの子は、安全ですか?」

 そんなの、知らねえよ。

 「先生?野球部の練習で、うちの子が、走らされるんですよ?どうして、走らなければならないんですか?たかが、野球なのに!」

 あ!

 野球が、風評被害です!

 「先生?うちの子にやさしい部活って、ありますか?」

 「ご心配なく!」

 そう。

 あるんです。

 今の日本、こういう名前の部活が、全国で広まっている。聞いたことがあるんじゃないかな?

 「ゆる部」

 今どき世代の子たちに大人気の「ゆる部」では、こんなことをやる。

 「学校の宿題をしたり、読書をしたり、ストレッチをしたり」

 …。

 他にも、全国的に増えているのが、この部活。

 「ゲートボール部」

 フツー、ゲートボールで使うゲートは、基本、金属。大量に持ち運べば、重い。頭にぶつけると、痛い。

 でも、それだと、「疲れるの、いや」「痛いの、いや」世代は、ついていけない。

 そこで、こう変わった。

 「中学のゲートボールで使うゲートは、フンニャカとしたゴムにします」

 親の攻撃が、続く。

 「先生?うちの子が、けがをしたら、どうするんですか?」

 「学校や先生は、責任をとれますか?」

 「最後まで、ちゃんと、面倒を見てもらえるんですか?」

 「金を、払っているんですよ?」

 絶対に、有料老人ホームと、かん違いしている気がする。

 「野球部に入る男とか、ソフトボール部に入る女も、大きく減った」

 その変わった理由を、知っていますか?

 それは…。

 はい、答え。

 こんな理由、らしいですよ?

 「野球もソフトボールも、試合時間も、練習時間も長いので、あきちゃう。だから、やりたくない」

 体操部に入部する生徒も、全国規模で減った。

 その理由は?

 「体操も、技の獲得に時間がかかる。やっぱり、あきちゃう」

 う…。

 野球と体操がコラボした、伝説のマンガ、「○ッチ」には、死亡フラグが立ちそう。

 「水泳部」が人気なのは、どんな理由?

 はい、これ。

 「楽が、できるから」

 水泳の大会で泳ぐのは、スイミングクラブにいっているような人たちが、中心。

 「1チーム5人、6人の競技なら、弱いやつも参加させられる。けど、水泳のような個人競技だと、泳がないやつは、休んでいれば良い。楽」

…そう、きたか。 















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