第7話
「ならあの子と相性最悪だねー」
仲良くなれると思ったのに急に相性最悪だね、なんて言われ、驚きで一瞬意味が分からなかった。驚きの次に頭を埋め尽くしたのは疑問だった。
あの子って誰?なんで相性最悪なの?その子は悪いことでもしたの?
「ねぇ、あの子って誰なの?」
思い切って疑問を口に出してみる。
「聞きたい?」
アナがニヤニヤと挑発的な態度で聞いてくる。
「聞きたい!」
「ほんと~に?」
「うん」
凄いじらしてくる。言えない理由でもあるのだろうか。
「じゃあいいけど、ご本人様が帰還してきたから直接聞いて。」
「え!?」
あれだけ焦らしておいて自分で言わないの!?もうここまで来たら性格が悪いとかの次元じゃない気がする。
「おかえりー」
「ただいま、ってリオもいたんだ。」
「うん。ちょっと前にね。」
小さめのドアから顔を覗かせたのはジェナとネウだった。買い物にでも行っていたのか両手に紙袋をぶら下げている。
「あぁ、そうそう。リオがジェナに聞きたいことがあるんだって」
「え?」
「へ~。リオが私に、ね。何々?気になるんだけど。」
「何のこと?」
急に質問したいことがあるんだよねって回されても、何の話をしているのか分からない。そうやって私が戸惑っていると今度はアナの方が驚いていた。
「え?だって本人に聞いた方がいいって言ったじゃん」
「え!」
「何々?なんの話してるの?」
あの子ってジェナのことだったのか。でも私は聞くとも聞かないとも言ってないんだけどな。本当に人の話聞かないなこの子。
「あー。なんか私とジェナが相性最悪ってアナが言ってる理由が知りたくて。」
「え、私とリオって合わないの?」
私が疑問に思っていたことを聞くと今度はジェナの方が驚いた。なんだ。知らなかったんじゃん。
「あー。正確にはリオ本人っていうより、リオの親がね。」
「どういうこと?」
状況が呑み込めず、説明できなかった私の言葉をアナが受け継ぐ。最初からアナが説明すればよかったのに。
「教会関係者だって」
教会関係者。アナが告げた瞬間ジェナの表情が固まったように見えた。そして今まで見たことのない表情をした。笑ってるのに、目の奥が笑っていない。横を見ると、ネウは一見変わっていないように見えたが目の奥が冷えていた。さっきまで普通に話していたアナは困ったように笑っていた。たった一言で空気感が変わって少し恐怖さえ覚えた。
「あー。なるほどね。」
「そーなのよ」
「、、、」
ネウは声を出さない。三人とも何かを考えこんでるような表情のまま沈黙が続いて、時間の流れが遅く感じた。
「な、何かダメなことでもあるの、、?」
重たい空気感に堪えられなくなって問うと、ジェナが絞り出すように声を出した。
「私たちは別にいいんだけど、リオがまずいかもしれない。」
普通ではない空気感に戸惑いを感じつつ、私が嫌がられている訳ではないことに少し安堵した。でもまずいことってなんだろう。
「私たちは裏切り者だから。」
ここで私はやっと三人が悩んでいる訳が分かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます