第3話
あれからどれくらい時間がたっていたのだろう。見慣れた街に戻ってきたころには空は赤く染まっていた。
「もう夕方だぁ」
どうしよう。怒られるんだろうな。
「うわぁ!久しぶりの町だ!」
「、綺麗。」
私が途方に暮れている隣で二人がはしゃいでいる。それがなんだか憎らしくてわざと口調を強めて問いかける。
「ここまで連れてきてくれるのは感謝してるけど、あなた達は何者なの?」
「別に誰でもよくね?」
わりと緊張してたのに軽く返されたのがなんだか悔しくて、言い返す。
「良くないの!」
「へ~え。何が?」
「何かが!」
「へえ~」
私が全力で反論しても、被っているフードをいじりながら適当に返事をしてくる。この人、かなりイラつく。
「まぁ、時間が時間だしもう帰ろうよ。」
私たちの会話を遮るようにイヤリングの女の子が口を開いた。
「そんなに口喧嘩したいなら、今度やればいいじゃない。私もまたお話ししたいし。私はジェナ。」
「、、、」
呆れたような物言いに優しい口調。この人、めっちゃ馬鹿にしてくるじゃん。
「まー、別に喧嘩してたわけではないし、したいわけでもないけど、また会って話はしたいな。あたしはアナ。よろしくね~」
「、ネウ。」
「り、リオです。」
突然始まった自己紹介に戸惑いつつも名前を言う。
「へー、リオっていいじゃん」
「、ありがちだけど、かわいい名前。」
「めっちゃいじってくるじゃん!」
「ふふっ、楽しそうだけど続きはまた今度ね。」
「わかってるって!うちらいつもあそこにいるから遊びにきてね!」
「あ、ちょっと!」
「じゃあまたね!」
「待って!」
私が止めるのを無視して三人は歩き出し、気づいたら人混みに紛れて見えなくなっていた。
「帰らなきゃ、、」
私は重たい足を引きずるように歩き出した。
「はぁ」
たった一日の間に起こった非日常を思い出し、ため息をついた。
確かに刺激的な出会いを求めてはいたがこんなに疲れるものだとは正直思っていなかった。母さんは怒りはしなかったが異常なほど心配していたようで、家につくと質問攻めにされた。でも教会関係者である母さんに正直に裏通りにはいってきたとは言えず、適当にごまかしていたら余計に不安そうな顔をされて少し心が痛かった。
それにしてもジェナ達はいったい何者なのだろう。裏通りの住民はもっと狂っていて理性のないような人達を想像してたし、教わってきたけど、ジェナ達はいかにも普通の女の子だった。そもそもなんで裏通りなんかにいたんだろう。
「また行こうかな、、、」
もちろん裏通りは怖かったし不気味だったけどそれ以上に、、、
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