第三話

 スキルのおかげで結構強くなった。大人にも勝てるくらいに。

 魔物の暴走スタンピードを単独で討伐出来たのもスキルが上がったからだ。


 正直に言うと“黒い何か”を使えばもっと楽に狩れる。が、この力、見たことも聞いたこともない。


 スラム街の情報の通達速度は尋常じゃない。色んな噂をしている(真偽不確かのものばかりの為、事実とは限らない)。

 だから誰にも知られてはいけない。知られたらいけない理由は無いような気のするが、気のせいだ。


 ー絶対に言えることとして、マッド共にはバレたらまずい。


 マッドっていうのは、言葉通り行きすぎた信仰をする狂信者を始めとする、スラム街に堕とされた狂人達の総称だ。狂人の中で狂信者の人口が一番多いと言われているため、マッド=狂信者として使われることが多い。


 ー今回は違うけどね。

 僕が言っている奴らは狂魔術師マッドマジックキャスターのことだ。奴らは特殊な能力、通常の人間にはない能力などを有している人間を特殊実験体ユニークと呼び、平気で人体実験を行う。

 ーだからこそスラムに堕とされたのだろうけど。


 今の自分には“黒い何か”という“通常の人間にはない能力”があるため、バレたら実験体にされてしまうからね、バレるわけにはいかないのだ。


 ー・・・ダメな理由あったわ


 「団長 今、大丈夫ですか?」

 気付かないうちにガルスが近くまできてたのか。

 「大丈夫ですよ ガルスさん どうしました?」

 「定期会議の時間です」

 あー 忘れてた... 一応団長だからサボれないからな〜

 「それと団長 敬語は不要と何度言ったら聞いてくれますか?」

 「ガルスさんだって敬語を使ってるじゃないですか」

 「団長は自分の立場をよく考えてください」

 あんたは元団長だろ? と思いたいところだが、ガルスはいま、副団長だから僕の方が上なんだよな。


 え? 話してる時と頭の中で違うって? 敬語があるか無いかじゃない? 知らんけど


 「考えとく じゃ 行こっか」

 「...分かりました 行きましょう」


 ということで今から面倒な会議です。

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