ハンナちゃんと一緒、思い浮かぶのは死への道標

第18話 帰りたい×2、故郷でマナが待っている(マナの現状知らないけど)

 城のオークを倒して帰ったら、お風呂でハンナちゃんと再会した。

 ボクがお風呂から出た後、ボク以外の男にハンナちゃんがご奉仕して、ハンナちゃんを狙う男が増えると思うと我慢できず、キャサティーさんはじめ、部隊の皆を滅ぼし、ハンナちゃんを連れ出したボク。

 あれから、ボクとハンナちゃんは、あの王都から遠くにある大きめの国で暮らしている。


 不思議だね。ハンナちゃんの身体にかけられた呪いとかの療養も兼ねて、一緒に暮らしてて、目の前のハンナちゃんより、マナのことが頭をよぎるんだ……。


 出勤も兼ねてハンナちゃんを医院まで送るときも、仕事が終わって一緒に帰るときも、

 一緒に晩ご飯作って食べてても……ハンナちゃんが寝てるのを眺めてる時も、目の前のハンナちゃんがマナにしか見えないの。

 うっかりマナって呼びかけたことも何度かあるし――本当に呼んだことは、かろうじてないけど――。



 ……マナのことを思い出した日はひどかったな。

 エッチの時、ハンナちゃんが「ロビンさんとの赤ちゃん欲しい……」って言ってきて、ボクは返答を考えるより早くヤダって答えてさ。


 同時にマナに関する嫌な思い出で頭がいっぱいになって、気づいた時には外の公園のベンチに座ってた――断片的な記憶は、ハンナちゃんを傷つけるようなことは言ってない・してないって――。


 目の前にハンナちゃんがいないと、マナに関する後悔や自己嫌悪で、ベンチ近くのあかりすらほとんど感じられなかった――そもそも灯り自体も切れかかってたのか、たまに数秒、本当に真っ暗になったけど――。


 自分を強く抱きしめながら呼吸してると、幼いマナの温もりと匂いを感じる。自然に腰も上下する。

 普通物を入れないところに、自分の手首より太いものが入ってる感覚から来る、喘ぎというより呻きに近い声も聞こえてくる。


 ……ふと周りに、人やカメラの類の有無や接近の気配がないか探知してみる。

 問題なさそうなので、ズボンのチャックを下ろし、相棒を外気にさらす。

 ……あのあかり、恥じらいの概念がある生娘でも憑いてたのか、真っ暗になっちゃった。


 暗いと外気の冷たさが、ますますしみる。

 ズボンのポケットを探ると、相棒用外套が出てきたけど……どっちが相棒側かな?


 判別つかないなりに、どうにか開封・装備しようとしてボクは気づく。

 ……やっぱ裏表逆だなぁ。

 ゼリーが増し増しすぎるし、おろせないし。……これが本番じゃなくてよかった。


 改めて巻きおろして、両手で相棒をそっと包み込み温める。

 うっかり相棒に付いたゼリーからボクは、大きくなったマナと身体を重ねた記憶と、吐きそうな絶望が呼び起こされて、腰と動悸が止まらない。

 あの絶望の原因がマナじゃないことも噛み締めながら、このまま死ねそうなぐらいの激情におぼれ――。



 ――――息、自分の息がうるさい。――視界が白く明るく、だんだんピントがあっていく。

 ああ、灯りが、灯ってる。

 ……うなだれてる相棒を白濁とした激情から引き離す。

 まだ濡れてる相棒を左の指で拭って舐めて、特に言うほどの味がしなくて、黙々と相棒をズボンにしまう。


 今何時か時計を探しても見当たらなかったので、時計魔法を呼び出す。

 ……さすがにハンナちゃんがボクを心配するかな。

 ……この公園までどう辿り着いたか全く思い出せないので、瞬間移動テレポートでハンナちゃんが待つ家に帰って、手洗いうがいして寝た。

 ――ハンナちゃんの様子を見るに、ボクがひどいことをした痕跡は見当たらなかったから、行動面はとりあえず大丈夫そう――。



 ……どうしたらボクはモンス島に帰れるかな? 

 ……ハンナちゃんを、いつ、どうやって殺そうか。

 ハンナちゃんを殺してモンス島に帰れたら、マナに会えるかな?

 いや、会える会えないじゃない、会わなきゃ。

 何をしてでも、マナに辿り着くまでの道のりが、嘘や血にまみれるとしても、会わないと。

 もしマナが、ボク以外の誰かと幸せに過ごしてるなら……「キミが幸せなら、それでいい」と、今度こそ自殺しよう。

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