第17話 キミと二人でいたい。だからいつかじゃなく、今――

 ボクないしボクらが、城のオークを倒して、キャサティーさん専用のテントで諸報告をする。

 報告が終わり、食事場兼集会場のテントに向かおうとしたボクは、

 キャサティーさんに唐突に、胸かまた、どちらが好みか聞かれた。

 胸か股? 胸かモモなら好きな鶏肉の部位の話かな、と思うけど、股?


 質問してきたキャサティーさんに恥じらいが見当たらないから――もしかしたら、この部隊ではキャサティーさんが性処理とか当たり前のことで、今更恥じらいも何も、って感じかもだけど――、

 ボクは好きな鶏肉の部位を聞かれたと思うことにして、タンパク質欲しさから胸を選ぶ。


 今日は週に三日あるお風呂の日。

 しかも、今日は貞操帯なしで一人ずつ入れると聞いて、皆盛り上がってた。

 いつもは雑居房ならぬ雑居テントごとに入るから、新鮮だよね。

 一番多くオークを殺したのがボクとのことなので、ボクは一番風呂をいただくことになった。



 脱衣場のテントに入って服を脱いで、布一枚隔てたお風呂スペースに降りると、まさかの人が裸で待っていた。

「ハンナちゃん……?!」

「ハンナちゃん? ほ、本物のロビンさん!」


 ハンナちゃんに「会いたかった」と強く抱きしめられて地味に痛いのと、

 大きくて長いおっぱいで、わりと息苦しいのが、ボクに目の前が現実だと実感させる。

 ハンナちゃんに、さすがに苦しい、って言うと、ハンナちゃんは、軽く謝りながらボクから離れる。


「ボクと離れてた間、何があったの? 会って早々、いきなりボクに抱きつくなんて」

「えっと、その……体、流しながら話しますね」

 ハンナちゃんが流しながら話したことを、ざっくりまとめるとこう。


 ボクと別れてからハンナちゃんは、あの王都のギルドから依頼を受けて、依頼人のいる王都からもオークの城からもそう遠くない町で話をしてたんだって。

 で、あのオーク達が町を襲って、ハンナちゃんはじめ、町の若い・若そうな女を片っ端からさらって城に連れ込んで、その人達を慰みものというか孕み袋というか、

 とにかくひどい扱いを強いて、いっぱい苦しませたり死なせたりしたんだって。


 そんな中、ハンナちゃんが心の支えにしてたのがボク。

 複数のオークや、周りの女が産んですぐのゴブリンになぶられ、ねぶられ、孕まされ、産まされても、ずっとボクを想い続けてたって。



「ところで、お風呂に入る前にキャサティーさんから聞いたんですけど、ロビンさんは、胸が好きなんですって?」

「ん? まあそう答えたけど」

「……じゃあ、今から胸で洗いますね」


「ん? 胸? それってどういう……!」

 お、おっぱいをボクの背中に当てて洗ってる!?

 ハンナちゃんに後ろから抱きつかれ、ハンナちゃんの色っぽい吐息混じりの声が聞こえながら、前の上半身を優しく手で洗われているボク。

 服と貞操帯を脱いだ時点から半勃ちで、ハンナちゃんが裸で抱きついてきて七分勃ちだったけど、ここまでされたらフルになるしかないよ!?

 それに、ボクでさえ出すのを耐えるのがギリギリ、並みの男ならもう出しちゃえる……!

「ロビンさん、我慢しなくていいんですよ?」

 それからハンナちゃんは、おっぱいでボクの腕や脚、もちろん棒も洗体してきて、ついにボクも我慢の限界で、出る……!


 ……石鹸やらボクが出した液やらをシャワーで流し、ボクとハンナちゃんは、二人で同じ浴槽に入ってる。

 流してすぐ、ハンナちゃんが四つん這いになって「ロビンさん、もっとしません?」なんて、うっとりしたハートな瞳や胸の谷間の奥や尾てい骨辺りを桃色に光らせ、モノ欲しそうにしてたのをボクが制して、浴槽に入ってる。

 浴槽の中で、手をボクの棒に伸ばそうとしたので、手枷を付けさせ、ふとももの上辺りに固定させる。

 エッチなことより先に、聞かなきゃいけないことがある。


「ハンナちゃん、その胸とかお尻にあるの、どういうおまじない? ボクが視認できただけでも、強度の催淫、性感増強、あと母乳噴出とかあったんだけど」

 そう聞くとハンナちゃんは「ここにもありますよ?」と下腹部で淡い桃色の光を放つ紋章を見せてきた。えっと、強度の催淫、蜜源泉化、受精促進、卵子増配、産期短縮……うわ、こわ。

「……あそこの術師の魔物にでもかけられたの?」

「母乳と蜜源泉以外は、はい……」

「……ボクがお風呂から出た後も、キミはここにいるの?」

「キャサティーさんが『もういい』って、わたしに命じるまでは……」

「………………」



 ……お風呂から出て、体を拭いて服を着て、脱衣場のテントの出入り口から顔を出す。

 ……目の前が、虫でいっぱいだったので、ボクは「あ、忘れ物しちゃった」と言いながら、遮音魔法を風呂場側の脱衣場から張り巡らせながら戻る。

 とはいえ、ただの虫に人語が伝わるはずもなく、侵入した虫を手早く毒で消し殺し、出入り口をくぐってすぐの所に殺虫魔法陣を仕込む――もちろんボクが踏んでもノーダメージ――。


 あ、そうだ、夕飯の支度を手伝ってあげないと。

 今日のメインはポークと聞いて、「えー、ボク、今日はチキンの気分だったのにー」なんて他愛ない会話をしながら支度する。

 支度と言っても缶詰とかレトルトパウチとかを温めて、プレートに盛るだけなんだけど、どこからか入ってくる虫を隙あらば消し殺す。


 夕飯当番じゃないから雑居房ならぬ雑居テントでのんびりしている人達にも、次お風呂だよーと三十分置きに触れ回る。早いとか遅いとか言われても気にしない。

 そうそう、触れ回る過程で、キャサティーさんは自分のテントに専用のお風呂があるって聞いたので、キャサティーさんのテントを訪ねる。


 わざわざどうした? とか聞いてくるキャサティーさんの机の上に、ボクは退職届を二人分――ボクとハンナちゃんの分――を投げ渡す。

「は? ロビン、お前は死ぬまで――」



 ……うーん、下はいけそうだけど、上は男物の方がいいかな?

 でも、ボクシャツはちょっと無理かも。

 おっぱいがすごすぎるから。

 あと、タオルとかも持っていかないと……。

 それにしても、チキンの保存食が、この前ので無くなってたのは予想外だったな~。


 ボクは、ハンナちゃんに必要そうなあれこれを持って、脱衣場のテントに仕込んだ、いろんな魔法を解き、「ハンナちゃん、お疲れ様」と声をかけながら、テントに入った。

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