第11話 助け、殺して、人でなし?
やっと、黒いものの調査に妖精の集落に来れたけど、黒いものの正体、他人じゃなくてボクかもしれない。
それにしても、妖精達に聞き込みしてる最中、お肉とか色々焼いてる匂いがしてたし、皆、今日は広場でお祭りーみたいなことも言ってたし、ちょっと見に行こうかな。
お祭り会場たる広場で人だかりを見かけて、ぴょんぴょん跳んでも、看板になんか文字があることしか分からないので、ほとんどずっとボクの隣にいるハンナちゃんに、看板になんて書かれてるか分かるか聞いてみる。
「えっと、解体ショーってありますね」
解体ショー? マグロ……いやイノシシとかかな、森だし。
ハンナちゃんの目線より少し高めに魔法で浮遊すると、あれ、あの顔……確か、前にゴブリン退治のときに、いた人達……?
「どうするハンナちゃん、ここ滅ぼす? 滅ぼす?」
「きゅ、急にどうしたんですか、ロビンさん?」
「背伸びしたら見えるかな? ほら、あそこの二人」
と言って、ボクが解体ショーの台の上にいる二人を指し示すと、ハンナちゃんは「あ……いや、だとしても滅ぼすのは、さすがに……」って止めてくる。
「じゃあ一回外に出て、あれ助けるから、祝福の解き方教えて」
「え、えっと、祝福の言葉を逆から唱えれば解けますけど……どうするんですか?」
見てれば分かるよ、とボクはハンナちゃんに、そう言い残し、この集落のすぐ外に
視界の高さに軽く感動するのも程々に、集落のそばにしゃがんで目的の二人を探す。
……確か広場の、あの辺りだね。
よっこいしょ、っと前衛冒険者の男女二人が載ってる台を取り上げる。
二人が、きっちり目に台に拘束されてるおかげで、多少斜めっても落ちないで済んでるとこはグッジョブと褒めていいかな?
集落の外の地面に置いたミニサイズの二人に向かって祝福の言葉を逆から唱えてみる。
あ、元の大きさぐらいになった。
ちょっとごめんね、と脈を取ったり、二人の目をこじ開け瞳孔の変化を見たりと生死を確認すると、死んではないようなので、軽い気付けの魔法を二人にかける。
あ、そうだ、ハンナちゃんも集落から脱出させないと。
ボクの予想が正しければ、今頃集落がパニックで、ハンナちゃんが揉みくちゃにされちゃってるかも。
それで、ボクが集落の広場の辺りを覗き込むと、やっぱりハンナちゃんが他の妖精達と揉みくちゃになっていた。
ハンナちゃんを両手で包めるように、ハンナちゃんの周りの妖精を消し飛ばし、ハンナちゃんを助け出す。
ハンナちゃんを助ける最中、なんかいろいろ投げられたり撃たれたりした気がするので、向こうにそっくりそのままお返しするバリアを動線を覆うように張っとく。
集落から取り出した、ボクの手に乗るサイズのハンナちゃんをなんとなくジッと眺めてたら、ハンナちゃんが急に大っきくなって、ボクはハンナちゃんをお姫様だっこする姿勢に変わる。
ハンナちゃんを下ろして立たせると、最初に出した二人が目を覚ます。
「あれ、確かお前は、いつか俺の
「どこを覚えてんの全く。それより、なんでキミらあそこにいたの? 危うく解体されるとこだったよ?」
「か、解体?! 演武を見せてくれって頼まれて、ご馳走されて……そこからの記憶がない」
ごちそうに睡眠薬でも混ぜられてたんだろうね。
それにしても、この集落の妖精、ろくな奴がいないな……、人間に友好的、とか、人に害をなすのは稀、とか本にあったのに、よりにもよって稀な方が最初に会う妖精だなんて……やっぱ、滅ぼそうかな、この集落。
いや、元々ボクはボクと同等以上の魔力量を持つ奴が森に出たって依頼を見て話を聞こうと、ここに来たから……いや、やっぱり報酬たんまりありそうな家と依頼主代表さん拉致ってから、この集落滅ぼそっと。
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