第4話 ボクを化け物呼ばわりした妖精の謎を、ハンナちゃんと考えてみる

 森へ採集依頼と狩りの依頼をこなし、なんやかんやでハンナちゃんと一緒にギルドに帰って、それぞれ取ったものを渡して報酬を受け取ったボクら。

 ギルドに併設された格安食堂で、ボクは夕食に鶏手羽唐揚げ定食を、ハンナちゃんは精進定食を食べている。


「ねぇハンナちゃん、妖精さんって人がおっかない化け物に見えてるの?」

「人そのものがおっかない、というより、

 妖精は、生き物の魔力で生き物の種類や性質などを判断しているから、ロビンさんの魔力がおっかないとか……?

 その、冒険者カードを見せてもらってもいいですか?」


 ボクはハンナちゃんに、いいよ、と手羽唐揚げを握ってた手を綺麗にして、冒険者カードをボタン付き胸ポケットから取り出し、魔法関係のあれこれが載ってる画面にして渡す。


「MP1200?! MPに四桁とかあるんですか……!?」

「ボクも最初ちょっとびっくりしたよ。

 けど、よく考えてみたら、故郷では魔法の使用回数=魔力量の十倍って気付いて、それがおもてに数値化されただけって納得したよ」


「たぶん、魔力の多い、強い生き物が森にいないなか、MP四桁の生き物に出会ってびっくりして、思わず化け物って呼んじゃったんだと思います」

 ボクはハンナちゃんの言葉に、そっかー、と返事しつつ、あの妖精達がハンナちゃんをいじめた理由を考える。


 妖精が生き物を魔力で判断するって言うなら、ハンナちゃんの魔力量……もといMPがどのぐらいか知る必要があるかな。


「よかったらハンナちゃんの魔りょ……MPの値も見せてくれる?」

 そうボクが頼むと、分かりました、とハンナちゃんが冒険者カードを見せてくれる。

 えーっと、400か。ボクの地元人平均の250より多いのに、いじめられるって分かんないな……。

 そんなに妖精ってMP多いの?

 ハンナちゃんにカードを見せてくれたお礼を言って、最後の手羽唐揚げを解体し食べながらまた考えてみる。


 まあでも、そうじゃなきゃ、フェアリー母乳&精液ミルクやフェアリー愛液&カウパー腺液シロップが売り物にならないか……。


 あれ、でもそれだと、「人間と友好的」ってあの本の記述と矛盾しない?

 ボク以外でMPが四桁の人間って滅多にいないはずだし、400でいじめられるってことは平均の250でもいじめられるってことにもなるし。


 ……そもそもハンナちゃんが人間じゃない、こう、エルフとかドワーフとか、そういうザ・ファンタジーな亜人種だったら、前提考え直さなきゃだけど、そこは今考えても仕方ないね。

 ハンナちゃん、屋内でも大っきい魔女帽子被ってて髪のボリュームも多いからエルフ特有の尖り耳とか全然見えないもん。


 ボクが先に冒険者カードを、MPの他に種族とかも載ってるステータス概要画面じゃなくて魔法関係の画面にしちゃったせいで、ハンナちゃんの種族の謎は残ったまま。


 うーん、まあ、その辺はまた今度考えるとして、今日はもう寝よう。

 ハンナちゃんとギルドの斜向かいの宿で別々の部屋に泊まって、ボクは寝ることにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る