第17話 アッカム


 アッカムの街の中央にある広場にやってきた。

 そこでは市場が開かれていて、いろんなものが売っている。

 いろいろ珍しいものも売っているから、目移りしてしまう。

 俺たちはしばらくブラブラ買い物を楽しんだ。

 すると、市場でなにやらもめている人がいた。


「頼む! 明日までに用意しなきゃならないんだ……。お嬢様のお披露目デビュタントパーティーでね。URの果物をなんとしても必要なんだ……!」


 そう言って商人に頼み込んでいるのは、貴族の家の使用人らしき男だ。

 しかし、商人のほうはあてがないようで、


「そうはいってもねぇ。今はどこもURの果物なんて……。時期じゃないよ……」

「そこをなんとか! 頼む……!」

「うーん、うちもねぇ昨日ならなんとか用意があったんだけどねぇ……最後の一個が売れてしまって……」

「そんなぁ……!」


 どうやら、URの果物がどうしても必要な状況なのに、それが手に入らないと困っているようだ。

 ここは、俺が力になれるかもしれない。

 URの果物なら、なんでもいいのだろうか。

 俺はガチャを引いた。


「えい!」


 

《虹色パイナポー》

レア度 UR★★★★★★★★★★

説明 虹色の果物。たいへん貴重。すっぱい味がする。



「よし、これなら……」


 俺は虹色パイナポーを手にもって、先ほどの男性に話しかける。


「あのー、すみません」

「ん? なんだね」

「よかったら。この果物、使ってください」

「こ、こここここれは……!?」


 男は目を丸く見開いて驚いた。

 

「い、いいのかい……? こんな貴重なもの譲ってもらっても」

「はい、人助けになれば、それがなによりです」

「で、でも……じゃあお礼にお金を……」

「いや、別にいいですけどねこのくらい」

「いやそうはいかんよ」


 男はいくばくかの金を手渡してきた。

 ガチャを引いてもお釣りがくるくらいの大金だ。

 これははからずとも儲かってしまったな……。


「本当にありがとう。感謝してもしきれないよ……。あやうく首が飛ぶところだった……。これで、お嬢様に恥をかかせないで済む」

「それはよかったです」

「私はこうみえて、貴族家の料理人なんだ。それで、デビュタントの料理を頼まれていてね。どうしてもURの果物が必要だったんだよ。あ、そうだ。お礼もかねて、ぜひ明日パーティーに来てくれ。私がとびきりの料理をふるまうよ」

「それは……ありがとうございます!」


 ということで、俺たちは翌日、貴族家のパーティーによばれて参加することになった。

 料理はどれもおいしかった。

 貴族の令嬢さんも綺麗で、素敵なパーティーになったと思う。

 パーティーを成功させる手助けができて、本当によかった。





 再び俺たちは広場にやってきた。

 まだまだ市場は盛況で、見て回るものがたくさんある。

 サーカス小屋なんかもあって、俺たちは楽しんだ。

 するとまた、噴水のあたりで右往左往し、困っている人を見つける。

 困っている人は、助けなくちゃな。

 俺はタキシード姿の男性に声をかけた。


「あの、どうしたんですか……?」

「それが……指輪を落としてしまったんだ……」

「指輪……?」

「これから彼女と待ち合わせをしていて……プロポーズする予定だったんだ。それがどうしてこんなことに……ああ、なんて不幸なんだ……」


 男の人は今にも死にそうなほど青ざめた顔をしていた。

 たしかに、そんな大事な指をなくしたら、そうなるか……。

 ここは俺の出番だ。


「ちょっとまってくださいね」

「え……?」


 俺はガチャを引いた。

 

 

《天使の指輪》

レア度 UR★★★★★★★★★★

説明 天使のモチーフが施された指輪。

   魔力を回復する効果がある。



「はい、よかったらこれ使ってください」

「こ、これは……!?」


 俺は天使の指輪を手渡した。


「い、いいのかい……!? こんな高価なもの……」

「いいんです。それよりも、急がないとだめなんでしょう? さあ、はやく待ち合わせに遅れる!」

「あ、ああ……。この恩は絶対に返すから……!」


 男性は今支払える金もお礼もないからと、俺に名刺だけを渡して行った。

 まあ、俺としては別にお礼なんかいらないんだけどな。

 後日、男性から改めて礼がしたいと言われた。


 それから数日たって、俺は男性に呼び出された。

 またあの噴水のところで待ち合わせだ。


「ほんとうにあのときはありがとう。おかげで助かったよ……。これ、ささやかながらお礼だ」

「どうも」


 俺はいくらかの小切手を受け取った。


「それで、上手く行ったんですか?」

「ああ、もちろんだ。それで、ぜひ君たちにも式に出てほしい」

「それは、もちろんよろこんで」


 ということで、俺たちはまたまたパーティーに呼ばれた。

 結婚式パーティーは素敵だった。

 ウエディングドレス姿のお嫁さんが、光り輝いていた。


「いつか私も着たいわね……」


 お嫁さんを見ながら、シエルがうっとりして言う。

 

「ぼくも、憧れるな……」

「私もです……」


 イオンとファルナさんも、俺のほうを見てそんなことを言ってくる。

 もしかしてこれ、俺に圧をかけられてる……?


「そ、そうだね……俺らもそのうち結婚したらね……」


「「「はい!」」」


 3人からものすごい圧を感じる俺だった。



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《大事なお願い!》


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