第16話 孤児院


 アッカムという街に着いた。

 さすがにドラゴンで街まで入るのは無理だったから、カルトは途中で小さくなってもらった。

 そして街のはずれで獣人たちを降ろし、そこからは歩きだった。

 まあ、街の中では巨大なドラゴンの影が、一瞬で消えたとかって話題になったそうだけど、まあいいだろう。


 神獣たちはみんな小さなサイズになって、俺たちの肩に乗っている。

 コハクが俺の肩で、フレアがシエルの肩、カルトがイオンの肩だ。

 とりあえず、獣人さんたちを連れて、街の中へ。

 そのまま彼女たちと別れようとしたが、獣人さんは潤んだ目で、俺にうったえる。


「これからどうしたらいいんだろう……行く場所もなくって……」

「たしかに、そうだな……」


 言われてみると、彼女たちはこれから行く場所がないわけだ。

 ここで見捨てるのも、無責任だろう。

 ということで、俺は考えた。


「そうだ、孤児院にいこう」


 アッカムの街には、大きな孤児院があった。

 行き場所のない子供たちを預かってくれる場所だ。


 俺たちは孤児院にやってきた。


「あのーすみませーん」

「はいー」


 孤児院の中から、ぴっちりとした修道服に身を包んだシスターさんがやってきた。

 シスターさん、茶髪のショートカットが似合っていて可愛いな。


「この孤児院で、この子たちの面倒を見てもらうことってできませんか?」

「あいにくですが……うちの孤児院はもう、経営が厳しくて……ここまで大勢の子供たちを引き取ることはむずかしいですね……」


 シスターに断られてしまった。

 しかし、


「いえ、なにもタダでとはいいませんよ。ちょっと待ってくださいね」


 俺は、ガチャを引いた。



《ダイアモンドスカル》

レア度 UR★★★★★★★★★★

説明 ダイアモンドで出来た頭骨。考古学的な価値もある。



 こんなときこそ、ガチャだ。

 孤児院は経営難だと言っていた。

 つまり、金があればいいってことだ。

 金に困っているってことだ。

 困っている人を助けるのが、俺の目的でもあるからな。

 孤児院を救い、獣人さんたちも救う。

 まさに一石二鳥だ。

 俺はダイアモンドスカルをシスターさんに手渡した。


「あの、これでなんとかなりませんか?」

「こ、こここここれは……!? こんな高価なもの、いただいていいんですか……!?」

「もちろんです。獣人さんたちの面倒をみてくれるなら、このくらい」

「ありがとうございます。これなら、孤児院全体を建て直したりもできますよ」


 シスターさんはほくほくの笑顔だった。

 孤児院にダイアモンドスカルを寄付して、獣人さんたちを引き取ってもらえることになった。

 よかったよかった。

 そうこうしていると、シスターさんがいないことに気づいた子供たちが、孤児院の中から出てきた。

 子供たちはろくに食べていないようすで、やせ細っている。

 さっきの寄付でなんとか状況がよくなればいいのだが……。

 子供たちはシスターさんの袖をひっぱり、


「ねえねえ、シスター、ごはんまだー?」

「はいはい、今作りますからね。今お客さんがきているので。お客さんに沢山寄付をもらいましたから、これからはもっとたくさん食べれますよ。ほら、ありがとう言いなさい」

「ありがとうお兄さん」


 俺は「どういたしまして」と子供たちに笑顔で微笑む。

 すると、子どもたちが「けほけほ」と咳をしだした。

 そのうち、子供の一人がひどい咳をしながら、倒れこんだ。


「ぐぼぉあっ!」

「お、おい大丈夫か……!?」


 シスターが子供を支えながら、言う。


「最近、子供たちの栄養不足で、かなり困っているんです……。寄付が少なくて……」

「ちょっと待ってろ」


 今にも死にそうな子供に見かねて、俺は再びガチャを回した。



《スプラッシュ回復ポーションαアルファ

レア度 UR★★★★★★★★

回復 範囲回復5000

説明 指定した範囲に、回復ポーションの雨を降らせる

 


「これを子供たちに」

「これは……!」


 俺はスプラッシュポーションをつかった。

 みるみるうちに、子供たちのやつれた顔が、元気になっていく。


「ありがとうございます。なにからなにまで……」

「いえいえ、このくらい。お安い御用ですよ」


 だがこれだけじゃ心配だ。

 この獣人たちが安心して暮らせるように、この孤児院にはもっと寄付をしないと。

 俺はガチャを回した。



《ボムボム獣の肉》

レア度 UR★★★★★★★★

説明 非常に栄養のある魔法の食材(調理済み)

 


「これ、皆さんで食べてください。栄養がつきます」

「あ、ありがとうございます」


 それから、さらにいくつか換金できそうなアイテムを渡す。

 これで、しばらくは金にも困らないだろう。


「じゃあ、俺たちはこれで」

「本当に、ありがとうございました」


 シスターさんや獣人さんたちからお礼を言われ、俺たちは孤児院をあとにする。

 せっかくアッカムの街にやってきたことだし、今度はこの街をいろいろ見て回ろうかな。

 きっとこの街にも、俺が助けられる人はまだまだいるはずだ。



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《大事なお願い!》


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