第15話 獣人


 盗賊たちにアジトに案内させる。

 あ、ちなみにだけど、案内役以外の盗賊はその場で始末しておいた。

 

 しばらく森の中を歩くと、洞窟らしきアジトに案内された。

 思った通り、そこには檻の中に入れられた奴隷がいた。

 奴隷は、ぜんぶ獣人の女の子だった。

 彼女たちはボロボロの状態で、檻の中に入れられている。


 俺は怒りをおさえるのでやっとだった。

 いたいけな獣人の少女たちを捕らえて、傷つけて、ゆるせない。

 獣人の何割かは、怪我をしていた。

 片手を失っている子や、眼を失っている子。

 まだ年端も行かない少女たちばかりだ。


「それで、仲間はこれで全部なのか?」

「あ、ああ……これで全部だ……おねがいだ! 俺の命だけは許してくれ……!」

「まあ、案内してくれたからな」

「な? そ、そうだろう……?」


 案内役の男とそんなやり取りをしていると、洞窟の奥から、一人の盗賊の男が歩いてやってきた。

 男は、なにやら袋のようなものを後ろに引きずっている。


「っち、乱暴に扱ったら壊れちまったぜ……って、な……なんだこの男は……!?」


 やってきた盗賊は、俺を見て剣を抜く。

 そして、引きずっていた荷物を床に落とした。

 そのときに、わかったのだが、男の持っていたものは、たんなる袋ではなかった。

 それは、獣人の女の子の死体だった。


「下衆が……」


 俺は怒りが沸き上がってきた。

 こいつらは、とんでもない外道だ。

 容赦はいらない。


「死ね……!!!!」


 俺は剣を抜いて、案内役の男もろとも、盗賊をぶった切った。


「ぐあ……!!!!」


 ――ズシャ……!!!!



 ◇



 さてと、盗賊は蹴散らした。

 洞窟の奥にまだ何人か残っていたが、そいつらも始末した。


 盗賊団が集めていたお宝は、とりあえず馬車に詰めておこう。

 あとで売って、ガチャの足しにでもしよう。

 

 それから、鍵をみつけたので、それで獣人たちの檻を開けてやる。

 獣人たちは、最初はなにをされるのかと、俺を警戒していた。

 そりゃあそうだろう。

 きっとこれまでに、ひどいことをされたのだろう。

 だが、


「もう大丈夫だ……!」


 とやさしく手をさしのべてやると、おそるおそる檻の外へ出てきた。

 そして、俺はガチャを回した。

 獣人たちの怪我を癒してやらないとな。


 

《スプラッシュエリクサー》

レア度 UR★★★★★★★★★★★

効果 HP全回復、けが全治療、その他。

説明 あらゆる状態を治す万能治療薬。

   範囲回復。



「おお……! これならいっぺんに治せるな!」


 俺はさっそく、そのスプラッシュエリクサーをつかって、獣人たちの怪我を癒す。

 すると――


「うわぁ……! 怪我が治った……!」

「ほんとだ……! すごい!」

「お兄さん、ありがとう!」


 獣人たちはみるみる笑顔になった。

 だが、けがは治っても、心身ともにかなり弱っているようすだった。

 すると一人の少女が、ぐぅーとお腹をならした。

 どうやら腹も減っているらしい。

 ろくに飯を食べていないんだろうな。

 かわいそうに。

 俺は、ガチャを回した。

 なにかいいものが出るといいんだけど……。



《ドッスントカゲのしもふり肉》

レア度 UR★★★★★★★★★

説明 頬が落ちるくらい美味しい肉(調理済み)



「おお……! これはうまそうだ!」


 俺はさっそく、それを獣人たちにわけてやった。

 獣人たちはみんなで肉にかぶりついた。


「うん! お兄さん、これおいしいよ! ありがとう」

「それはよかった」


 獣人たちは腹が満たされて、みんな笑顔だ。

 ここいらで事情をきいてみよう。


「それで、お前たちはなんで盗賊につかまっていたんだ……?」

「それが……村が襲われて、いろいろ物資を奪われて……男たちは殺されて……村を焼かれたの……。もう帰るところもなくて……」

「そうだったのか……かわいそうに……。だったら、とりあえず俺が近くの町まで連れていってやるよ」

「ほんと!? ありがとう! お兄さん、なにからなにまで」


 だが、獣人たちは軽く30人ほどはいるぞ。

 こいつらを運ぼうにも、馬車には乗りきれない。

 なにか他に手段があればいいんだが。

 よし、こんなときはとりあえずガチャだ。

 ガチャさえ回せば、だいたいなんとかなる。


「えい! 出でよ! 確定URガチャ! なんでも出てくる魔法の力ァアアアア!!!!」



《神獣 レッドドラゴン》

レア度 UR★★★★★★★★★★★

種別 神獣

説明 テイム主の頼もしいお供となる忠実なしもべ

   古から存在する神獣種の代表格


 

「グオオオオオオオオオオオオ!!!!」


 現れたのは、超巨大なドラゴンだった。


「おぬしが我の主か? よろしくたのむ」

「お、おう……よろしくな。それにしてもデカすぎだろ……」

「小さくもなれるぞ」


 すると、レッドドラゴンはみるみるうちに縮んで、馬くらいのサイズになった。


「おお、コハクと一緒か」

「我の肉体は、魔力の影響を受けているからな。魔力をコントロールすれば、肉体の大きさなど軽く調整できる。ほら、もっと小さくもなれるぞ」


 すると、今度は手乗りサイズにまで小さくなった。

 手乗りドラゴンだ。かわいい。

 俺はとりあえず、ドラゴンにカルトという名前をつけた。


「じゃあ、カルト。この獣人さんたちを街まで運んでもらいたいんだが。それにみあった大きさになれるか? 30人いるから、かなり大きくならないとだめだと思うけど」

「もちろんだ。任せろ!」


 カルトは、こんどは入道雲くらいの大きさまで変身した。

 よし、これで獣人たちを運べるな。

 獣人たちは、おそるおそるカルトの巨大な背中に乗りこんだ。


「じゃあ、最寄りの街まで出発!」



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《大事なお願い!》


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