第14話 盗賊団


 俺たちは、旅に出ることになった。

 だが、旅をするには馬車がいる。

 馬車を引くには馬がいる。

 まあ、ここで普通の馬を買ってきてもいいが、それだとつまらない。

 コハクに引かせてもいいが、フェンリルに馬車を引かすのも変だろう。

 そんなのきいたことないしな。


 ということで、なにか新しい神獣を仲間にしたいと俺は考えた。

 コハクもガチャで出たわけだし、他にもガチャで仲間になる神獣はいるんだろう。

 ガチャはどうやら俺にとって必要なものが出る仕様のようだし、今ガチャをひけば、ちょうどなにか神獣が仲間になるんじゃないかなと思うのだ。

 というわけで、俺はガチャを引いた。


「来い……! 馬車を引ける神獣……!!!!」


 

《神獣 ファイアペガサス》

レア度 UR★★★★★★★★★★

種別 神獣

説明 テイム主の頼もしいお供となる忠実なしもべ

   古から存在する神獣種の代表格


 

「おおおおお……!!!! かっけえ!」


 ファイアペガサス。

 それは真っ赤な炎に包まれた、神々しい馬のような生き物だった。


「あなたが主か。よろしくたのむ」

「おお、よろしくな……!」


 俺はファイアペガサスに、フレアという名前をつけた。


「それで、我はなにをすればいいだろうか?」

「よし、お前はこの馬車を引いてくれ」

「………………」


 俺がそういうと、フレアはすごく微妙な顔をこちらに向けてきた。

 なにかおかしなことを言っただろうか。


「主……仮にも神獣に馬車馬の真似事をしろと申すか……うん……ま、まあ……いいんだけれど……うん……その、なんというか……うん、まあ、いいですけどね……」

「あれ、嫌だった……? ごめんごめん」

「いや、主のためなら、喜んで馬車馬にでもなんでもなろう」


 なんかちょっと渋られたが、まあいいみたいだ。

 フレアは馬車を引いてくれる。


「あ、フレアの身体にまとってるその炎。馬車に燃え移らないかな? 心配だ」

「ああ、これはただの炎ではなく神炎なのでな。燃え移る対象はこちらでコントロールできる。安心してほしい」

「そっか、なら大丈夫だな」

「まあ、一度燃え移ると対象が燃え尽きるまで消えない炎だがな」

「こ、怖いな……」


 ということで、ファイアペガサスのフレアに馬車を引いてもらって、旅は出発となった。

 俺、ファルナさん、シエル、イオンの4人で馬車に乗る。

 フレアのちょっと前を、コハクが先行し、敵がいないかを見張る。

 敵がいたばあいは、コハクが先に蹴散らしてくれる算段だ。


 しばらく草原を突っ走る。

 そして、山の中に入っていった。

 山の中は道もデコボコで、スピードを落とさなくてはならない。

 すると、周りにいくつかの気配を感じる。

 モンスターではない、人間の気配だ。


 コハクが立ち止まり、訊いてくる。


「主、複数の人間の気配を感る……が。どうする……?」


 モンスターなら構わずに蹴散らせばいい。

 だが、人間ならそうもいかない。

 相手次第では、敵意がない場合もありえるからな。

 まあ、この場合はどうやら敵意がありそうだけど……。

 

 俺は馬車から降りて、


「おい、隠れているやつ。出てこい! なにか用事か? もし敵対する意思があるなら、容赦はしないが」


 そう言った。

 すると、草むらや木の陰から、ぞろぞろと男たちが出てきた。

 どうやら格好からして、盗賊のようだ。

 盗賊たちはだいたい15人くらいで、それぞれにナイフなどで武装している。


「へっへっへ、悪いことは言わねえ、すべての荷物と女を置いて、お前はどっかに行きな。そうすれば、なにも命まではとらねえよ」


 盗賊のリーダー格らしき男が、ナイフをなめながらそういう。


「それは、敵対するということで構わないか?」

「もちろんだ! ごちゃごちゃいうなら、てめえはここで死ねえええ!」


 盗賊団が一気におそいかかってくる。

 俺は、コハクに命令した。


「コハク、やれ」


 ――すると。


「――ワン!」


 コハクはその瞬間、威圧を使った。

 コハクほどの神獣ともなると、威圧するだけで、普通の人間はまともじゃいられない。


「ワォオオオオオオオオオオン!!!!」


 コハクが吠えると、盗賊団たちはいっきに気圧され、その場に跪いた。

 コハクの威圧で、彼らは動けなくなる。


「っく……貴様! なにをした……!」

「さて、ここでこのまま全員殺してもいいが……お前たち、盗賊団なんだろう? アジトに案内してくるかな?」


 俺は暗黒微笑でそう言った。


「ひぃ……!」

 

 盗賊団だということは、きっと他にもいろいろと悪さをしているのだろう。

 俺が旅に出たのは、人助けのためだ。

 そして、盗賊団ってのは悪いやつらだ。

 悪いやつらはみんなつぶしてしまったほうが、世の中のためになるよな?

 それに、こいつらは女を攫おうとしていた。

 こいつらのアジトにいけば、奴隷なんかがとられられているかもしれない。

 


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《大事なお願い!》


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