第13話 ヘシリ


 夕飯を食べたあと、俺たちはお風呂に入る。

 風呂は大浴場がついていて、みんなで入った。

 そしてもちろん、風呂のあとはお楽しみだ。

 みんなで超巨大なベッドを買ってあった。

 巨大ベッドの上に乗っかり、4人で大サーカスだ。

 俺は朝までくたくたになるまで、行為に励んだ。


 翌朝、目が覚める。

 イオンが朝ごはんを用意してくれていた。


 みんなで朝ごはんを食べながら、今後の方針について話す。


「俺は、今回のことで思ったんだ。俺のこのガチャの能力は、人を助けることができる。俺はもっと人を助けたい!」

「すばらしい考えだと思います。さすがはウルトさん」


 ファルナさんが手をぱちぱちと叩く。


「そのために、俺は冒険に出ようと思う。この街だけじゃない。世界にはもっと困ってる人がたくさんいるからな……! みんな、協力してくれるか……?」

「もちろん!」


 ということで、俺は旅に出ることにした。

 市長や街の人から感謝されたのもうれしかったし、なによりも俺の能力は人助けに向いていると思ったからだ。

 さっそく、俺たちは旅の準備をする。

 まあ、家をもらったところだけど、仕方ない。

 この家は、帰ってくる場所として、拠点として使おう。


 家具を買って余った金で、馬車を買い、旅の支度をする。


 次の週には準備もできたし、俺たちはさっそく旅立つことにした。


 



 一方そのころ――。


 ウルトを追放したウルトの父、デイビット=ラマンは後悔していた。

 デイビットは追放したウルトの代わりに、ヘシリ=プーサックを養子に迎えていた。

 ヘシリは【剣聖】のスキルをもっていたからだ。

 デイビットは剣聖をヘシリに継がせようとしていたのだ。

 しかし、5年が経った今――状況は変わっていた。


「へっへっへ、今日も気分がいいぜえええええ!」


 養子となったヘシリは、剣の修行をするでもなく、剣聖の名前を使って遊び放題。

 女の子をひっかけては、豪遊。

 家の金にまで手をつけて、食べたい放題遊びたい放題のわがまま放題なのであった。

 デイビットがいくら制御しようとしても、ヘシリはいうことをきかない。


「へっへっへ、俺を養子にしたんだから、もっと俺に楽させろよな、お義父さん」

「黙れ! ちょっとは剣の練習をするなり、働くなりせんか!」

「へっへっへ、嫌だね! 俺は剣の練習なんかしなくても、剣聖だからいーの! そんなことより、さっき頼んだピザまだー? さっさと買ってきてよね」


 言いながら、ヘシリは自分のズボンに手を突っ込んで、尻をぼりぼりかきむしる。

 そしてその手で、自分の頭をがりがりとかく。

 ふけがぼろぼろと床に落ちる。

 ヘシリはその手でお菓子を食べながら、臭い臭い屁をぷーっとしまくった。


(最悪だ……最悪のやつを養子にしてしまった……)


 デイビットはただただ絶望していた。

 こんなやつはさっさと追放してしまいたい。

 だがしかし、ウルトとは違い、このヘシリは出ていけと言ってきくような奴ではないのだ。

 それに、法律上も問題があった。

 ついこの前にウルトを勘当したばかりなのに、新しくもらった養子までも追い出すなど、司法がゆるさなかった。

 それに、世間の目もある。

 さすがにウルトとヘシリと立て続けに息子を追い出せば、デイビットのほうに問題があるのではないかと思われてしまう。

 近所からどういう目でみられるかは、あきらかだった。


(ぐぬぬ……こいつをどうすれば……)


 暗殺をこころみようとしたこともある。

 デイビットは腕のいい暗殺者にたのんで、事故にみせかけてヘシリを殺そうともした。

 しかし、うまくはいかなかった。

 ヘシリも腐っても剣聖のスキルをもつ男だ。

 そんじょそこいらの暗殺者では、とてもじゃないが手に負えない。


 デイビットが頭をかかえ、どうしようかと途方に暮れていたときだった。


 となり街から、こんな噂が流れてきた。


『フィルフィラメントの街を、スタンピードから救った英雄がいる。そしてその名は、ウルト=ラマンというらしい』


 ――と。

 ウルトは今や最強のAランク冒険者で、UR武器をたくみに扱うという。

 そんな噂が、デイビットの耳にも入ってきたのだ。

 最初は困惑した。

 あの出来損ないだと思っていた息子のウルトが……?

 と。

 しかし、すぐにデイビットは考えた。

 ウルトは出来損ないだったから捨てただけだ、ウルトが有能なら、連れ戻せばいいじゃないか!

 と。

 ヘシリなんかのゴミは捨て置いて、ウルトが帰ってくれば、自分の名誉は取り戻せる。

 そう考えたのだ。

 ウルトさえいれば……なんとかヘシリを……。

 そう、デイビットは浅はかにも、身勝手にもそう考えた。

 そして、デイビットは使用人に命じた。


「なんとしてもウルトを見つけて、連れ戻すのだ!」



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