第12話 フィルフィラメント
フィルフィラメントの街は、破壊されつくしていて、壊滅的な状態だ。
ギルドも破壊されていて、復旧の見込みはないらしい。
とりあえず、王都から支援が届くらしいが……。
俺は街のために、なにかできないかと思った。
「よし、こんなときこそガチャだ!」
俺はガチャを回した。
《時戻しの杖》
レア度 UR★★★★★★★★★★
説明 物質の時間を巻き戻すことができる
「おお……! もしかしてこれなら!」
俺は時戻しの杖を、瓦礫の山に向かって使った。
すると、散乱していた瓦礫が、もとの建物の姿に戻っていく。
「おお! これで楽々復旧作業ができるぞ!」
俺は目についた建物を、片っ端から直していった。
◇
そんなこんなで、街は無事元通り。
俺は市長から感謝状をもらう次第になった。
後日、市長のオフィスに呼び出される。
「ウルト・ラマンくん。君は今回、とても素晴らしい行いをしてくれた。べへモスを倒し、街を元通りにしてくれた。しかも、倒れた冒険者の治療もだ」
俺は、余った金でガチャを回して、エリクサーをいくつか冒険者に使用していた。
他にも、軽症のものは上級薬草で治療したりもした。
上級薬草はちょうど先のクエストで手に入れたものが大量にあったからな。それが役に立った。
「君の功績をたたえ、ここ市長として感謝状を贈る」
「いやぁ、どうも」
俺は市長から感謝状とトロフィーをもらった。
復興のシンボルとして、俺の像を立てたいとまで言われたが、さすがに恥ずかしいのでそれは遠慮した。
あと、エリクサーを出すときについでで出たサンライトクリスタルを、街に寄付したりもした。
建物は元通りでも、他にもいろいろと復興に金がかかるだろうからな。
もちろん、街の人たちからも感謝されまくった。
「ウルトはすごい! 素晴らしい人間だ!」
「街を救ってくれてありがとう!」
「俺はあいつのエリクサーで命が助かったんだ!」
などなど、街の人の声が届いています。
「それで、ウルトくん、今回のお礼と言ってはなんだが、感謝状だけじゃ物足りないだろう。街から、君にプレゼントがある」
市長はそういって、俺に鍵を手渡した。
「鍵……?」
「これは街の一等地に建っている家の鍵だ。どうか、役立ててほしい。街で一番の大きい屋敷だぞ。街のみんなも、君が街の一等地に住むことを望んでいる。君はこのフィルフィラメントの街の永久市民だ!」
「おお……! 家の鍵ですか! ありがとうございます」
なんと、市長のプレゼントはお屋敷だった。
この街にはホテル滞在だったから、まあ助かるっちゃ助かるな。
それに、なんだか定住できる場所があるのはうれしい。
帰る場所があるってのはいいことだ。
まあ、俺は別にこの街に永久に住もうって気はないんだけど。
◇
俺はさっそく、市長からもらった鍵で、家にいってみた。
家はめちゃくちゃ広くて、お城みたいなお屋敷だった。
俺一人じゃ住むのがもったいないくらいだった。
いっしょについてきていた受付嬢のファルナさんが、言った。
「この大きさなら、みんなで住めますね? ウルトさん」
「え……? みんな……!?」
「ええ、もちろん。私と、シエルさんと、イオンさん。みんなです」
「ま、マジすか……。ここに住む気なんだ……」
どうやらみんなここに住む気らしい。
まあ、ファルナさんとも身体を重ねた仲だ。
実質ファルナさんも恋人認定って感じになるよな……。
既成事実作っちゃったしな。
当然、そういう流れになるか……。
シエルも、まあ恋人だからそうなるよな……。
イオンはどうなんだ?
イオンは仲間になるとは言ったが、別に恋人じゃない。
恋人じゃない男女が、同じ屋根の下で寝るのは変じゃないか?
俺はイオンのほうを見る。
すると、イオンは顔を赤らめて、
「ぼ、ぼくは……ウルトなら……その……いいかな。お嫁さんになっても……///」
「ま、まじですか……」
どうやらいいらしい。
ということで、ここは俺たちの家となった。
だけどまあ、俺は別にこの家に永住したいわけじゃない。
まあ、当面の拠点にはするけどな。
とりあえず、今日はみんなでゆっくりすることになった。
「まだ空っぽの家だから、さみしいわね。家具とかほしいかも」
と、シエルが言う。
「そうだな。なにか買ってこよう。その前に、金がもっといるな」
俺はガチャを回した。
《黄金棺》
レア度 UR★★★★★★★★★★
説明 黄金でできた棺。考古学的な価値もある。
「おお……! これはめっちゃ高く売れそうだ!」
売れた。
めっちゃ高く売れた。
2000万Gほどになったから、しばらくはガチャを回すのにも金の心配がいらない。
とりあえずその金で、おのおの好きに家具を取りそろえた。
部屋もめっちゃあるので、適当に割り振った。
コハクのために犬用の寝床も用意した。
ふかふかクッションのペット用のベッドだ。
「じゃあ、夕飯は私が作りますね?♪」
そう言ったのはファルナさんだ。
ファルナさんはエプロンに着替えて、料理の準備を始めた。
「ファルナさん、料理が得意なんですか?」
「ええまあ、これでもながく一人暮らししてましたから」
「へぇ、楽しみだな……」
ファルナさんは家庭的みたいだ。
すると、イオンも立ち上がって、キッチンに向かい、ファルナさんの横に立った。
「ぼくも手伝うよ!」
「ありがとうございます」
結論から申し上げますと――。
ファルナさんの作った料理は食えたもんじゃなかった。
「これはひどい……」
シエルはファルナさんの料理をべえと口から吐き出した。
「ふえええ……ひどいですよぅ……」
いやマジで、これは無理だわ。
俺は男の子だから頑張って食うけど。
今後ファルナさんは厨房に立つの禁止な。
一方で、イオンの作った料理はめちゃくちゃ美味かった。
人ってのは意外な特技があるもんだ。
「イオン! これめっちゃうまいよ!」
「ふふ、それはよかった」
満場一致で、今後の食事担当はイオンに決まった。
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