第11話 べへモス


 俺はエリクサーを、その少女に飲ませた。

 すると少女の傷はみるみるうちにふさがり、回復する。


「こ、これは……?」

「大丈夫か……? 君、名前は?」

「ぼ、ぼくはイオン。あの……助けてくれてありがとう……その、なんとお礼を言ったらいいか」


 俺はイオンの手をとり、立ち上がらせる。


「礼はいい。それよりも今は……あいつを倒さないと……!」


 そうこうしているうちに、べへモスがこちらへ迫っている。

 べへモス、それは大きな岩の砦だった。

 人間一人の力では、どうしようもないような存在。


「でも……ぼく、武器が……」


 イオンはさっきの戦いで、武器がどこかへいってしまったらしい。

 両親をまもるために、単身でべへモスに立ち向かった勇敢な少女。

 俺はイオンの力になりたかった。


「よし、待っていてくれ……!」


 俺は、ガチャの力をつかった。


「出でよ! 確定URガチャ! なんでも出てくる魔法の力ァアアアア!!!!」


 

《雷神剣カミイカズチ》

レア度 UR★★★★★★★★★★

攻撃力 +470

説明 雷神の力を顕現させたという剣



「よし、イオン。これを使うんだ!」


 俺は雷神剣カミイカズチをイオンに手渡した。


「こ、これって……!? UR武器じゃない……!? どこからこんなものを……!?」

「いいから、今は黙って受け取って! 一緒に協力してあいつを倒そう!」

「わ、わかった……!」


 俺たちは剣を構えた。

 まず、俺がべへモスに攻撃を加える。

 氷結剣ストロングがべへモスの岩みたいな足を攻撃する!

 いっしゅん、べへモスの足が凍りつき、動きをとめるが、すぐに元通りになって、べへモスは動きだす。


「だめか……」


 今までの並みの魔物なら、俺のこのUR武器のUR能力で、凍り付かせることができていた。

 しかし、さすがはべへモス級の魔物ともなると、そう簡単にはいかないみたいだ。

 イオンが波状攻撃をしかける。


「てりゃああ!」


 ――ジジジジジジ!!!!


 べへモスの巨体に、電流が走る!

 べへモスの身体は大きな岩みたいになっているが、ところどころに関節もある。

 べへモスの関節に、電流が走り、その部分が川のように光る。

 しかし電流が流れたのも一時で、すぐに弾かれてしまった。


「だめか……」


 単一の属性の力では、どうにも弱くて弾かれてしまうようだ。

 こなったら、一斉に攻撃するしかないな。


「よし、シエル、イオン。三人で一斉に攻撃だ!」

「うん!」「わかった!」


 俺たちは三つの属性の剣を、突き合わせて、タイミングを合わせて一斉に攻撃する。

 ――ドシャア!

 すると――

 ――バキン!

 ビリビリビリ!


 べへモスの堅い肉体にひびが入り、そこから肉片が大きく崩れ落ちた。

 べへモスの足に大打撃を与え、べへモスの進行が止まる。


「やったぁ……!」

「次は反対側の足を狙うぞ!」


 ――ズガドシャア!!!!

 足を攻撃し、べへモスのバランスを崩す。


「ギュオオオオオオオオオオ!!!!」


 痛みを感じているのか、べへモスが街中に響くほどの大声で鳴く。

 そして、そのままべへモスはバランスを崩してその場に倒れた。


 ――ズドーン!


「今だ! 額のコアを狙うんだ!」


 ――キーン!

 俺たちは三人でいっせいに、コアの部分を狙い、破壊した。

 ――バキーン!


「やった!」

「これでべへモスをやっつけたわね!」


 俺はシエルとイオンとハイタッチ。

 あとは残党を片付ければおしまいだ。

 俺たちがべへモスと戦っているうちに、ゴブリンたちの数もかなり減っている。

 コハクが一通りのモンスターを片付けてくれていたみたいだ。

 あとはもう余裕だった。

 それぞれに別れて、残ったゴブリンとオークを狩りつくす。

 しばらくして、ようやく街に真の平和が訪れた。


「ふぅ……一時はどうなるかと思ったが……なんとかなったな……」

「それにしても、いったいなんでこんなことに……」


 このモンスターたちはどこからきたのだろうか。

 普段こんな街の中にまで大量に入ってきたりはしないのに。

 謎は尽きない。

 街はかなり破壊しつくされていて、復旧には時間がかかりそうだ。

 一息ついて、イオンが俺に剣を返そうとしてくる。


「あの、ありがとう。あなたの名前は……?」

「ああ。俺はウルト。よろしくな。剣は、別に返さなくてもいいよ」

「え……?」

「これもなにかの縁だしな。一緒に戦った仲だ。剣もイオンを気にってる」

「あ、ありがとう……でも、こんなに高価なもの……いいの?」

「うん、いいよ別に。俺には別に剣があるしな」


 剣をうけとろうかしばらく迷ったあと、イオンは、


「じゃあ、ぼくウルトの仲間になろうかな……!」

「え……?」

「言ったでしょ、これもなにかの縁だって。ウルト、君は命の恩人だ。ぼくはきみが気に入った。これから一緒に行動しても、いいかな……?」


 イオンのような美少女に、上目遣いでそう尋ねられると、断れない。


「も、もちろん。よろしくな」


 ということで、イオンが仲間になった。



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《大事なお願い!》


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